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プロローグ

今まで気になってたところを直します。

既存の最終エピソードまで進めたあとは、新エピソードも投稿してゆきます。


船は、強い風を白い帆いっぱいに受けて軽快に進んでいる。舳先が水面を切り裂いてできる波が濃紺の水をバックに白く輝いて目に鮮やかだ。私は舷側に手をかけて、空と海の境目に微かに認められる港を、期待に満ちた眼差しで見つめている。吹き抜けてゆく風がほんとに心地よい。ほどいた漆黒の髪がサラサラと流れ、スカートの裾がハタハタとはためく。全身を弄ぶ風が、これからの暮らしを祝福してくれていうるようで、私は嬉しくなった。


10日前に最後のミッションを終えた。私自身は気づいていなかったが、長い間、私の活動を支援してくれていたAIのヘルメスを通じて、5000年の契約期間の終了と任務からの解放の連絡があったのだ。この5000年間、任務自体は私にとっては辛くて仕方がないというものでもなかったが、過酷であったことは間違いない。特に最近は、炎熱の砂漠、氷雪の山岳、密林の奥地など、条件としては厳しい場所が多くなってきていた。でもこれからは自由!しばらくは新しい生活を楽しもうと思う。


爽やかな風に吹かれながらこれからの暮らしに想いを馳せていたところに、船長が声をかけてきた。

「今日の夕方にはエルミスの港に到着するから、それまでには荷物をまとめておいてくれ。」

「船長、お世話になったわね。アイギーアの港から10日間でここまで来ることができて本当に助かったわ。船賃を払ってないけ良いのかしら?」

「気にするなって。あんたがいなかったら、俺たちはアイギーアでかなり面倒なことになっていたと思うんだ。あんたを運んだのは俺たちからのお礼だよ。」

「ま!その気持ちが嬉しいわ。ありがとう。」

「時に、エルミスの街で使える金は持っているのか?」

「あ!全く頭になかった。アイギーアで使えるお金はかなり持っているんだけど…すぐに両替できないでしょうから、困るわね。」

「なんなら俺たちが両替してやろうか?貿易船の俺たちにとっては、両方のお金が必要だからな。」

「そうしてくれたら助かるわ。ざっと5000万シルなんだけど…当分はアイギーアの方には行かないから、もしよかったら全額替えたいの。」

「随分持ってるんだな…世話になっていて申し訳ないが、手数料は1割5分でどうだい?」

「うーん…高いようには思うけどけど…、まぁいいか。港で両替できる保証もないし、レートも安い保証はないから。それに、また稼げばいいでしょう。」

「すまない。俺たちにも税が課せられるから、この金額だとサービスで、っていうわけにもいかなくてね。もっと少額だったらサービスでもよかったんだが。まさかあんたが、そんなに金持ちだなんて思ってなかったよ。」

「うふふ…人は見かけによらないものなのよ。じゃぁ、ちょっと待ってて。お金持ってくる。」

両替を済ませると、私は荷物をまとめて、港への到着を待った。


「船長、お世話になりました。ここでお別れね。」

「いや、こちらこそ世話になったよ。ところであんた、着いたばかりだから今日の宿とか決めてないだろう?お勧めの宿屋を教えようか?」

「わー、ほんと助かります。できるならお風呂のついてるところがいいわ。それとご飯が美味しいところ。」

「贅沢言ってるなぁ。まぁ、でも俺が紹介しようとしてる宿屋は、その条件に当てはまるからよかったよ。王都に通じる街道を1時間ぐらい歩いた右側にある、月のウサギっていう宿屋だ。街はずれだから割と安いし、肉料理が美味いんだ。」

「ありがとう。行ってみます。楽しみだわ。肉料理大歓迎です。じゃぁ…本当にこれで。元気でね。」

「あぁ、あんたもな。」

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