北野武と怪人二十面相
本文にて、敬称を省いているところが多々あります。ご了承ください。
江戸川乱歩で好きな作品と聞かれると、「二癈人」や「二銭銅貨」が思い浮かぶんですが、少年探偵団シリーズも大好きだったりします。
さて、そんな少年探偵団シリーズきっての悪役と言えば怪人二十面相なんですが、私にとっては怪人二十面相は「俳優 北野武」のイメージで固定されています。
2002年にTBS系列で放送された一話完結のドラマ「明智小五郎対怪人二十面相」を覚えている方はどれくらいいるんでしょうか。
私としてはインパクトがありすぎて、恐らくは生涯忘れることの出来ない怪作です。
今日は多少のネタバレを含みつつ、この思い出の作品について語っていきたいと思います。
この作品は江戸川乱歩原作でTBSで制作放送されたものです。明智小五郎は1925年発表の「D坂の殺人事件」で初登場、怪人二十面相は1936年に少年向け雑誌「少年倶楽部」にて少年向けミステリー小説として発表され、明智小五郎と少年探偵団のシリーズはミステリー好きな子供たちの愛読書になったことは言うまでも無いことと思います。
さて、そんな大人気のキャラクター二人を日本を代表するベテラン俳優とコメディアンが演じて話題となったのが、「明智小五郎対怪人二十面相」でした。
主演は怪人二十面相役におわかりと思いますが北野武さんが、明智小五郎役には田村正和さんが配役され、その他の出演者も、宮沢りえ、西田敏行、叶美香と豪華な顔ぶれでしたね。
ストーリーは原作の江戸川乱歩のものと異なりオリジナルな展開でしたが、中々に面白い設定で、ストーリー自体も江戸川乱歩好きな私でも楽しめるものでしたが、それ以上に面白かったのが、「北野武」が演じる怪人二十面相でした。
冒頭の方で洋館に集まった紳士淑女たちの前でタキシードにマントの怪人姿の「北野武」が壁を走りながら、ワーハッハと高笑いするシーンがあるんですが、それを見た私の正直な感想は
「タケちゃんマンだっ! 」
でした。
いや、結構シリアスな重い話なんですけどね。なんか、北野武の姿が「コメディ」に脳内変換してしまうんですよね。
で、ラストのクライマックスシーン、明智小五郎と怪人二十面相が対峙する緊迫のシーンでは、怪人二十面相が過去の真実を語りながらフェイスマスクを剥ぐんですが、何とっ、その下の顔は明智小五郎そっくりっ! つまりは田村正和の顔なんですが。
絵面としては怪人姿の田村正和VS探偵姿の田村正和なんですね。
そして、怪人姿の田村正和は勿論、アフレコだと思うんですが北野武の声な訳ですよ。
その上、中身は北野武だよー、アピールのためか、北野武がよくやる、肩を上げつつ、首をクイッてやる仕草までするんです。
このドラマ、怪人役の北野武が、何故かこの仕草をよくしていて、「怪人役なのか素の北野武なのか、なんでこんな演出すんの? 」と思って見てたんですが、なるほど、このための伏線(困惑)だったのかと(笑)
このシーン、怪人二十面相誕生に纏わる、悲劇を明智小五郎に対する憎しみと共にぶちまけるシーンなんですよ。
ですから、怪人二十面相(見た目田村正和、中身北野武)も憎々しげな表情でそれは鬼気迫る演技なんですが、声は北野武。そして、アフレコしてる北野武の声の演技も実に素晴らしい。 ……なんですが。
はっきり言います。
もうね、田村正和がめっちゃくちゃ似てる北野武の物真似してるようにしか見えない(笑)
表情は鬼気迫る迫真の憎々しげで、怒りと悲しみの伝わって来る演技なのに、声は北野武で、でも流石と言うべきか、ぴったりあってるんですよ。
その上、首クイッをやられたら、もうストーリーとか入って来ない(笑)
いや、レンタルしたDVDで何度か見直したりしてますから、ストーリーは頭に入っていても、どうしても爆笑してしまう。
とんでもないものを作ったなーと思ったもんですよ。
因みに、DVDにはメイキングや、主演者、監督なんかのメッセージが特典としてついていて、クライマックスシーンで首クイッ、を演技指導されてる田村正和(困惑)なんて貴重な映像まで見れました(笑)
でも、終始真面目に、真剣に取り組まれていて、俳優って凄いなーと思ったもんですよ。
誰か、覚えている方がおられましたら、感想まで思い出語りにいらして下さいm(_ _)m
私の周りでこの作品を覚えている人、一人もいないんですよね(^-^;
感想お待ちしておりますm(_ _)m