第4話「創造主の願い」
夏樹:事前に受けた質問でこんな質問がありました。「なぜ高校生しか使えないのか」
夏樹:ユーザーが高校生のみで、課金も企業の広告収入も見込めないせいで画期的なこのアプリは終わります
夏樹:ですが、これは私の夢を叶えるための犠牲です
夏樹:高校時代、進学校で落ちこぼれだった私はひどいいじめに遭っていました
夏樹:「勉強ができないカス」「落ちこぼれ」「知能の低い猿」。沢山傷付きました
夏樹:学校で友達なんかできるわけもなく、私は1年生の秋、不登校になりました
夏樹:しかし、救ってくれたのは寝落ちのためにインストールしたラジオ配信アプリの同世代の仲間でした
夏樹:彼らもそれぞれ辛い経験をし戦って居ました
夏樹:私も頑張らなくては!私も戦わなくては!と思わせてくれ、私に学校に行く勇気をくれました
夏樹:彼らの言葉でいじめと戦い、高校を卒業でき、私は大学に進学しました
夏樹:だから私はウェブネシアの世界を創りました!
夏樹:下の世代の苦しんでいる高校生を救いたい。そう願い……
夏樹:個人情報の完全規制は保護者の意見を前面に配慮した結果です
夏樹:親以外にウェブネシアをやっている事を言うのも、SNSに書き込む事も禁止しています。
夏樹:まあ、禁止しなくてもユーザーの7割の子達はウェブネシアユーザーである事の恥ずかしさがあるらしく、友達には言いませんが
夏樹:すべてのユーザーは18歳となる年度の3月、アカウントデータは消える事になります。
夏樹:その時期が早まっただけです。実際、今、20歳と19歳の学年はデータを消されています
夏樹:弊社は海外の企業に買収され、独占してきたフルダイブの技術も奪われます! しかし私は願っています!
夏樹:ウェブネシアの日々がいつかウェブネシアユーザーの少年少女の人生を生きる糧になりますように。このアプリに救われた若者が1人でも居ますように!
開智:会見は終わり、俺は立ち尽くした