第3話「悲劇の始まり」
0:《場所》ウェブネシア内
ティファニー:ロキ、久しぶりだな! あれ? 元気がなくないか?
ロキ:ティファ二ー……いや、アールと喧嘩した……
ティファニー:お前らしくない。デリカシーない事でも言ったのか?
ロキ:ああ、俺のせい……
ティファニー:そうか。でもお前なら大丈夫だよ。ロキ。リリースしたての時からの、お前の最後の友人として、私が保証する
ロキ:そうだよな。俺と二郎とお前でよくつるんでたよな
ティファニー:そうだ! 私達は非リアで学校に友達居ない仲間だ!
ロキ:ありがとう。ティファニー。お前のお陰で元気出たわ。やっぱお前は親友だ
ティファニー:ああ、頑張れ! ロキ!
ロキ:アール! 久しぶりにログイン通知あったから、会いにきた! こないだはごめんな……
開智:相互フォローの相手はログインするとアプリ内外問わず、通知をとる事ができる。アプリ外だとスマホに通知が来る
アール:ううん…… こないだのビンタで暴力行為に抵触して一週間アカウント停止になっちゃっただけだから
ロキ:あ、そうなのか……俺のせいでごめん……
開智:一時的な停止はアカウントが残るため、フォロー数も変わらないため気付きにくい
アール:私が垢BANになっても問い合わせなんてしないよね? ロキくん、だって所詮ネットの暇つぶしだもんね?
0:刺々しい態度でアールはコマンドを表示した
アール:そうだよね。もういいや。私、ロキくんのフォロー外すね。ロキくん、相互気にしないタイプだと思うけど、別に外し返してもなんも思わないから
ロキ:え……? ちょっと待って!
開智:振り返ることはなく、アールはツカツカと歩いて行った
凛子:怒りに任せて、私は大切な友達にひどいことをしてしまった……
0:《場所》アールのハウス
アール:じゃあみんな! 次の曲行くよおおおおお!
凛子:フォロワーを1000人増やした初の歌LIVE以来、一度もしていなかったLIVEを頻繁にやるようになった。ロキくん、二郎くん、ハイネちゃん達を失った寂しさを埋めるかのようだった
開智:アールのLIVEの通知がよく来るようになった。LIVEでファンと交流するより、相互の友達でおしゃべりした方が楽しいと言っていたのに
凛子:あれからロキくんと関わることはなかったが、ロキくんのフォローはいつまでも私のフォロワー欄から消える事はなかった
アール:今日は歌う気も起きないなぁ……ランキング上位の適当なLIVE見ながら勉強するか……
アール:ランキングは……5位引退枠だ……引退枠ってみんな詐欺するよなぁ……あれ? この人……
凛子:引退枠をしていたのはロキくんだった
0:《場所》ロキのハウス
アール:ロキくん!!! はぁ……はぁ……はぁ……(走った息切れ)
ロキ:アール……!? どうして……? 俺の事嫌いになったんじゃ……?
アール:やめないで! ロキくん! ロキくんまでやめたら私は……!
ロキ:みんな、ごめん………! LIVE、中断する!
0:《場所》アールとロキはその場で作ったプライベートルームに居た
アール:プラベルーム……懐かしいね……
ロキ:ああ、二郎とハイネのルームに招待されて、4人で遊んだよな……
0:気まずい沈黙
ロキ:………
アール:………
ロキ:ごめん! 僕、アールを励ますつもりで心にもない事言った……
アール:分かってるよ……私こそフォロー外してごめん
ロキ:大丈夫だよ……気にしてない……
アール:気にしてないとか嘘! 引退にまで追い詰められてたでしょ!
ロキ:大切な親友を3人も失って、俺どうしたらいいかわかんなかったんだよ……
アール:私がいるじゃん! まだ私は目の前にいる!
ロキ:アール………ごめん………(ロキは鼻をすすり出し泣く)
凛子:男の子が泣くのを、私ははじめて見た
凛子:しばらくして、ロキくんは落ち着いた
ロキ:ああ……最悪だ……好きな人の前で泣くなんて……
アール:え?
ロキ:へ?
アール:………
ロキ:………
アール:今……なんて……?
ロキ:なんも……?
開智:やばい………勢いで本音が漏れてしまった
アール:いや、なんもない事ないよね? もっかい言って?
開智:アールの圧がやばい……これは逃げれない………もう一度言うまで問い詰められる……
ロキ:いや! 泣いて隙だらけになっちゃったって事だよ
アール:(すごいスピードで返事)そういうの要らないから
開智:くそ……! 逃れられないのか! こうなれば!
ロキ:ああ! 俺はアールが好きだよ! 絶対に言うつもりはなかったんだよ!
アール:私もロキくんのことが好きだよ
ロキ:はあ!? も……もちろん友達としてだよな?
アール:ん? 友達としても好きだけど、これは恋愛感情としてもだよ?
アール:ねえ、ロキくん、私達付き合わない?
開智:親友の二郎と同じく、人生はじめての彼女はウェブネシアでできた