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一角獣はアセクシュアル  作者: Locoxxxx
13/23

週末

いつものように週末がやってきた。


モイラはまるで子供のようにはしゃいでいた。

なんでも今夜のメインDJは、モイラの大のお気に入り、クリス・フレイザーなのだそうだ。

地下鉄でエレファントアンドカッスルへ向い、そこから歩く。歩く。ひたすら歩く。

モイラに遅れをとらないように早足で、


「楽しそうだね」と、横からムネチカは語りかけた。


「とーぜん!」


「クリス・フレイザーってそんなに凄いの?」


「あたしにとっての神様!見た目はキューピーさんみたいなオジサンなんだけどね」


「そんな凄い人がスクアットパーティに来るの?」


モイラは首がとれそうなほど大げさにうなずいた。よほど嬉しいらしい。

 

やがて、目前に列車の高架が現れた。高架下にはレンガ造りの古びた壁がずっと続いている。

壁ぞいに歩いていくと、少し先に人影が溜まっているのが見えた。


「今夜もドラッグ売るの?」


「ううん」


ムネチカは何気なく「なぜ?」と訊いてみた。


あのね、といってモイラは人差し指を立てながら、


「パーティにもいろいろあってね」と、教師のようなそぶりで説明をはじめた。


「前に行ったところみたいに自由な場所もあれば、怖い連中がドラッグを売るためにパーティを開くケースもある。そんな場所は要注意。勝手に商売なんかしていると、身包みを剥がされて、ボコられて放り出されちゃうよ」


「今夜のパーティは、どっち?」


モイラはケタケタと笑いながら、


「ダメなほう」

と、言った。


「笑えないよ」ムネチカはうなだれた。


入り口には、空港でよく見かけるタイプの金属探知機があった。

雰囲気が重々しい。バウンサー(警備員とういうか、用心棒)の数も多い。


中へ進むと、バズとキーモが先に来ていた。

モイラは二人の頬に自分の頬を寄せて挨拶した。


「今日こそ合法的に楽しむんだね」ムネチカの問いに、


「そんなわけないじゃん、バーカ」とモイラが振り返る。


各々にエクスタシーが入ったビニールのパッケージが手渡された。


「おかわり自由だからね」モイラはウィンクし、


「いくよ」というなり、メインフロアへ向かって歩き出した。


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