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一角獣はアセクシュアル  作者: Locoxxxx
11/23

アフターパーティ

モイラとバズとムネチカが帰路に着いたのは、金曜日の夜から四十八時間以上経った、日曜の夜だった。

廃倉庫の入り口には、まだまばらに客たちが残っていたが、キーモとエイプリルの姿はもうなかった。


「いやー派手な誕生日会だったねー」モイラが伸びをする。


「こんなに長いだなんて!二日だよ、ふ・つ・か!」歩きながら、ムネチカは耳に指を突っ込み揺すってみる。

「あー」と声を出してみるが、いつものようには響かない。完全に鼓膜がバカになっていた。


ムネチカにとって初めての事だらけの週末。

いきなりドラッグディーラーの住処へ連れて行かれ、廃倉庫でのスクアットパーティへゆき、爆音で鳴るテクノミュージックのただなかで性別不明の少年にファーストキスを奪われ、違法なブツをさばき、最後は床で寝てしまった。

途中、目を覚ますと、かたわらにモイラの姿があった。つぎに目を覚ますと、今度はとなりにバズが座っていた。

寝心地は最悪だったけれど、守られている気がして、なんだか嬉しかった。


ともあれ、疲れた足をなんとか動かし、バス停へ向かいながら歩いていると、バズからマリファナの入った巻き煙草がまわってきた。

かるく吸い込んでみる。

煙の塊が肺を圧迫して、強烈かつ独特な植物の匂いが口の中に広がる。ムネチカは思い切り咳き込んだ。

「なにー、はじめてなの?」弾けるように二人が笑った。




「あ」モイラが間の抜けた声を出して立ち止まった。


バズとムネチカもすぐに足をとめた。

オールドストリートの通りに立つ道路標識に、ブランコがぶら下がっているのだ。


「なにこれー」モイラがはしゃぎ声を上げて飛び乗った。


「だれだ、こんなとこにブランコつけたやつは」

バズがいぶかしむ。


「ははははー、なにこれー、やばー」モイラは大きく揺れながら、気でも違ったかのように笑い続けている。


「ムービー撮ってー、ねー、撮ってー、ぎゃはー」


バズが面倒くさそうにスマホを向ける。


「ムネチカも乗りなよー」


最初は恥ずかしそうにしていたムネチカだが、あまりにも楽しそうなモイラを見て、自分も乗ってみ

たくなった。


「ぼ、ぼくも乗りたい」


いったい誰が備えつけたのか、都会の一角にポツンと吊るされたブランコに乗り、ムネチカは思い切り勢いをつけて揺れ始めた。


「気持ちいいでしょー!」地上からモイラがさけぶ。


(いや、気持ち悪い)


次の瞬間、ムネチカは宙に向かって、派手に嘔吐した。


慣れないビールと、初体験のドラッグ。そこへ、さっきのマリファナがトドメを刺したのだ。

バズはスマホを構えたまま「きったねー」と後ろへ飛び下がった。


「ばっかじゃん」モイラは歩道にへたり込んで笑った。


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