盗賊と立場②
「.....ここは?」
男性が誘導してきた先。
薄暗い倉庫のような場所で、見知らぬ男性がもう1人立つ他、マキナの姿はどこにも見当たらないようだった。
男性が不敵な笑みを浮かべると暗がりから1人、2人と数人の人影が蠢くのを感じた。
いい気がしないー
私が一歩、後ずさると。
ギギギギギギギ
と音を立てすごい勢いで倉庫の扉は閉められた。
(しまった!!!)
そう思った時には時すでに遅し。
今入ってきたばかりの重そうな木製の扉は気付けば完全に閉ざされてしまっていた。
私はキッと男達を睨みつける。
「どうして私を閉じ込めたんですか?目的は?」
私の言葉に男性はさも愉快そうにケラケラと笑い、「どうしてかって·····?」と言いながら前髪をかきあげた。
「そんなの、貴女がユーフォビア公爵令嬢だからに決まっているじゃありませんか!」
男性が高笑いするのを皮切りに、周りにいた男達も次々に気色の悪い笑い声を上げた。
しかし、私には1つ。どうしても腑に落ちないことがあった。
「·····お金目当ての犯行なのはわかったけど、どうして私が公爵令嬢·····しかも、ユーフォビアの者だと分かったんですか?」
私の言葉にまた男達はケラケラと笑い出す。
「お嬢様はそんなことも知らないのか?」
「おいおい、辞めてやれよ。きっと親が何も教えてくれなかったのさ。ぷーっ!」
なんてヤジが飛ばされてくる。
男性はそれに右手を上げ騒ぎ立てる男達の方へ向けると先程のヤジがうそのように皆一様にシンと静まり返った。
私が何事かと見回していると男性は口を開いた。