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乙女ゲームの主人公に転生しましたが壁になりたい件について。  作者: じゅん
ある日目が覚めると乙女ゲームのヒロインになっていた件
5/15

街へお出かけです!②

「お嬢様、やはり戻りましょう。」


何度目かの戻ろうコールがマキナから入る。

けれど私はそれに聞く耳を持たず代わりに人が溢れる市場の一角を指さし


「あれ何かな?行こう!マキナ!」


と彼女の手を引き走り出す。


「お、お嬢様!!走られては危険です!!」


彼女の制しも聞かず気になる場所へと歩みを進める。


ゲームでは何度か見た事もあるが、訪れるとなると全く雰囲気が違った。


水槽も何も無いのにひとりでに宙に浮く水の塊と、その中でふよふよと楽しそうに浮かぶ魚たち。

氷の柱の中でカチコチに凍っているオークと思しき仁王立ちの豚。

顔や触覚のある見たことも無い果物や野菜。


その全てが私には新鮮で見ているだけで楽しかった。だから私は忘れていたのかもしれない。

今の私はこのゲームの世界の主人公であり、

主人公はイベントを引き起こすものだということを。



✱✱✱✱✱✱



(すごいな...魔法も剣もあるお話なんだもんね...)


私は人が溢れる市場の中を流れに沿ってスイスイと進んでいく。

途中お菓子を数点買い食いしながら市場中心辺りまで歩みを進めると、大きな噴水の前で一息つく。


私を隠すように立つマキナに「座りなよ」と隣を指す。


「いいえ、お嬢様と同じ場所に座ることは出来ません。本来ならこのような場所に直にお座りになられるのもはばかられるところです。」


マキナはそう言うと小さく「はあ、」とため息をついた。

このような場所というのも噴水の淵というだけで、他にも何人か同じように腰を下ろしていた。


私は特に気にすることなく、道中で手に入れたお菓子を口にする。


「ん〜!これも美味しい!すごいね、仮想現実は。技術もここまで来たか!あ、マキナも食べる?」


持っていたそれは常温なのに口に入れるとひんやり冷たい不思議な食感の食べ物だった。

みかんやレモンのような柑橘系で鼻からスっと抜けるような爽やかな甘さは、早くも病みつきになりそうな味だった。


マキナの方へ差し出すも彼女は「結構です。」と首を横に振った。


シェアはしない主義のようだ。


私は「そう?」とだけ答えると再びそのお菓子を口にする。

そんな勢いでほかのお菓子も合わせ計3つ食べ終えたところで私は飲み物を買っていないことに気がついた。


「マキナ、私ジュース買ってくるから、少し待ってて。」


「え、お嬢様!1人では危険ですーお嬢様!!」


再び聞こえるマキナの静止の声。

私はそれに振り返ることなく「すぐ戻ってくるから〜」と走り出した。

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