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乙女ゲームの主人公に転生しましたが壁になりたい件について。  作者: じゅん
ある日目が覚めると乙女ゲームのヒロインになっていた件
10/15

ヒーローは遅れた頃にやってくる?②

「お嬢様!!!」


倉庫へ突入してきた青年の脇からニュッと見知った顔が覗く。


「マキナ!」


私は安堵からか、半ば裏返ったような声で彼女の名を呼ぶ。

すると青年のマキナの間から

また1人。こちらを覗く人影が見えた。


「あいつで間違いないな?」


逆光になってしまいよく見えないが

声からしてどうやら男性のようだ。


「は、はい!そうです·····どうかお嬢様を、お助け下さい!!」


マキナに懇願されその人がクイッと顎で合図を送ると深緑髪の青年がこちらに向き直る。

と、次の瞬間。

5mはあったはずの青年と私たちの距離が一気に詰められ、身構えていた頭の首に青年が手刀を落とすと、頭は糸の切れたあやつり人形のように地面へと崩れ落ちていった。


なんとも呆気ない終わり方に私はあんぐりと開いた口が閉じないでいた。

そんな私を余所に青年は入口の方へと向き直ると

「終わりました。」とよく通るハスキーボイスで呟いた。


それを聞いた途端、マキナが「お嬢様!!!」と私に駆け寄ってくる。


「マキナ!」


という私も身動きさえ取れれば熱い抱擁でも交わしたい気分なのだが、·····何分身体をぐるぐる巻きにされているため身動きが取れないでいた。


その場で身悶える私に青年は数秒こちらを見つめると無表情のままスっと左手を下から上に振り下ろした。


するとどうだろう。

きつく結ばれていたはずのロープが最初から結ばれてなどいなかったようにハラリと地面へ吸い寄せられていく。


またまた呆気に取られている私にマキナはもう一度「お嬢様!!」と叫ぶと今にも泣き出しそうな顔で抱きついてきた。

自分でも驚くほど私はそれに安堵していた。

一緒に居る時間は短くとも、身体に刻まれた記憶なのか、

首の後ろに回された腕が震えているのが分かる。

かくゆう私の腕も力が抜けてしまいマキナを抱き返すことはできなかった。

強がっていたものの内心いつ殺されてもおかしくない状況にすごく怖かったからだ。

ゲームの中だとは分かっていても、人に殺されるのは、やはりいい気がしない。

寧ろ自殺志願者でもなければ喜ぶ人の方が珍しいだろう。


私がそんなことを考えてうんうん頷いていると震えるマキナの手が私の肩におかれ、グイッと勢いよく距離をとった。


「お、お嬢様、大丈夫でしたか?!お怪我などされていませんか?!本当にご無事でなによりです、どうして私が止めるのをお聞き下さらなかったのですか!!本当に、どれだけ心配したことか、ああでも本当にご無事でよかった」


捲し立てるように言うマキナに私は仰け反り驚くと素直に「ご、ごめんね、心配かけて、」と謝罪の言葉を口にした。


しかし、それがダメだったのか。

結果火に油を注ぐこととなった。


「心配した事を怒っているのではないのです!!

私は護衛という立場にありながらお嬢様がお1人で行かれてしまい、その間にこのようなことに陥った自分の不甲斐なさに倦厭しているのです!!」


突然自責の念にかられ出したマキナに私は「いや、それはー」と講義の言葉を入れようとするも瞬間マキナの腕を掴むように大きな腕がニュッと現れ、私たちは同時に身体を強ばらせた。


·····も、その手の正体は以外にも先程から無言で私たちのやり取りを聞いていたあの深緑の髪の青年だった。

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