プロローグ
初投稿となります。
拙い文章も多々あると思いますが、読んでいただけると幸いです。
どうやら俺、陣内真の人生は間もなく終わるようだ。
思えば短い人生だった。
16歳の時に発症した謎の病で筋肉が徐々に硬直し動けなくなり寝たきりになって2年。ついには心臓に至ったようだ。
強く強く渇望したのは、健康な体そして自由に生きること。
願いはただそれだけ、そんな無念を残しつつ意識が徐々に薄れていった。
気が付くと何もない白い空間にただ一人、何の感覚もないままたたずんでいる。
どのくらいの時間が経ったのだろうか 人の輪郭のようなものが目の前にいることに気が付いた。
徐々にその輪郭ははっきりして、一人の老人の姿となった。
「どうやら気が付いたようじゃの陣内真よ」
顎に長い白髭を生やした柔和な老人が話しかけてきた。
「え~と、あなたは?それとここはどこなんでしょうか?」
「うむ、意識はしっかりとしとるようじゃな。ワシは所謂神と呼ばれておる。そしてここは神界というやつじゃ」
「では、やはり俺は死んでしまったのですね」
「あぁそうじゃ。それにしてもお主やけに物分かりがいいというか…」
ベッドの中で寝たきりとはいえ、わずかに動く指や音声認識システムの機能付きのパソコンでよく読んでいた異世界やVRMOの小説を思い浮かべつつ答えた。
「まぁ不自由な体でしたが、よく転生もののネット小説を読んでいたんで」
「なるほど、ならば話が早いお前さん異世界に行ってみる気はないかのう」
俺は神様の提案に一も二もなく飛びついた。
「えぇ~本当ですか⁉ぜひ行きたいです!」
答えつつもふと芽生えた疑問をぶつけてみた。
「神様、でも何で俺なんですか?」
神はにこやかな表情で
「まぁ普段はあまり地上には関心を持ったり干渉をしないのじゃがな。お前の強い願いが偶々ワシの元に届いたというところかのぅ」
「俺の強い願いですか?」
「うむ、生きることへの渇望と自由。まぁ誰でも持っているものじゃが、お前の無念の強さに興味を持ったということじゃよ」
「ということで、お主がいた世界とは異なるイーシスという世界へと行ってもらう」
「そこはどんなところなんでしょうか?」
「まぁ所謂剣と魔法が存在する世界でお主の世界でいうところの中世くらいの文明レベルかのう」
異世界モノの小説を思い浮かべ興奮しつつ
「魔王とか魔族とかいてそれを倒すとか」
「いやいやそんなものはおらんし、お主に勇者になれとも言わんよ」
頭に疑問符を浮かべ
「じゃーそこでいったい何をすればいいんですか?」
「只々お主の望んだように自由に生きればよいよ」
どうやら難しく考えず好きに生きればいいということらしい。
「わかりました。自由に生きてみます」
神はウンウンとにこやかに頷いた。
「今のまま送り込んだら、すぐに死んでしまうかもしれんのでいくつかのスキルと装備等を持たせようと思っておる」
「スキルですか。そういえばステータスってどうなってるんですか?」
「この世界のステータスはお主の世界のゲームの様なレベル、HPやMPそしてスキルの熟練度が分かる感じじゃな。スキルは行動により習得され、使っているうちに熟練度が増していく」
「なるほど、レベルを上げスキルを磨いていけば強くなるし、職人はいい物が作れるようになるってことですね」
「うむその通りじゃ、理解が早くて助かるのぉ」
「早速じゃがスキルを授ける」
「はい!」
「お主に授けるスキルは、言語理解、鑑定、剣術、時空魔法にポイント利用じゃ。あとは防具一式に貨幣を少々、そしてお主専用の魔剣じゃ」
時空魔法にポイント利用?専用の魔剣⁉
「神様このスキルとか魔剣ってどんな性能なんですか?」
「まぁその辺は後で自分の鑑定スキルで見てみるとよい。長くこの場にいると魂に悪い影響があるでな、それでは地上に送るぞ。楽しんで生きるじゃ」
「分かりました。自由に生きてみます」
そして意識が光の中に飲み込まれた。