表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある星物語 Returns   作者: さゆのすけ
11/35

第十歯 ホタルスイッチ

「ひい、ふう、みい…うん、30秒」


ふいに声がして、3人は屋根を見上げた。

声の主から一直線に霜が伸びて、巨大化した雑草がパリパリと凍りつく。


「せーのっ」


屋根から飛び降りた青年がトンッと着地すると、同時に巨大な雑草は粉々に砕けた。

彼は青い髪を揺らして、飄々とした笑顔を頭上に向けた。


「終わ―」


青年に向かって、大蛇が濁流のように壁を這い降りてくる。

その大きく開いた口が、覆い被さるように青年を丸呑みすると、ぼふんっと鈍い音がして、あたりは紫煙に包まれた。


煙が消えると、そこには妖艶な女性が立っていた。

緩やかなウェーブの黒髪が、彼女の白い肌を際立たせる。

彼女が手櫛で髪を整える隣で、青年がゴホゴホと咳き込んでいる。


「なにするんですか、楊さん」

「イチ君、かわいいから…うふふ、食べちゃった」

「そんなアクが強いの…お口直しは残ってないですよ?」

「あらん?」


楊はイチの頬に手を添えると、ぐいっと引き寄せた。

イチの高い背が屈んで、ふたりの鼻先が触れる。


「おかわりが欲しいくらいよん?」


楊の舌がチラッと覗いて、、鮮やかな唇をなぞる。


「あはは…お腹壊しても知りませんよ?」


楊の肩をそっと押し戻して、イチが苦笑する。

楊は辺りをぐるっと見回して、「はあん」とため息をこぼした。


「跡形もないわねえ。草刈り、あたしもしたかったわん」

「知りませんよ」

「遊び足りないわぁん。イチ君、お相手してくれるかしらん?」


じりじりと壁に追いやられて、イチは困ったように笑うと「ふう」とひと息吐いた。


「俺なんかに、楊さんのお相手は務まりませんよ。それに…」


イチが青い目を伏せる。

そっと向けられた瞳から温度が消えて、寒気を感じた3人がはっと我に返る。


姫魅の顔から血の気がひいて、慰鶴の落ちつきがなくなる。


「すぐに忙しくなります」

「あらん。忙しくなるのは、お肌が荒れるからちょっと…」

「知りませんよ」


楊の憂い顔に、「きれいな女…」と蛍は息を呑んだ。


「えーっと…楊おばさん、イチさん?どうしてふたりが…この街は管轄外じゃなかった?」

「んー…今は、楊さんと俺の管轄」

「緑辰隊が隊長不在なのよん…次が決まるまでは、あたしとイチ君の」

「ただの担当地区です」


きっぱりと言い切るイチに、楊は「んもう、いじわるねん」と楽しげに笑っている。


「へ、へえ…大変だねえ」

「それなりに。そんなことより、慰鶴」


慰鶴がぎくりとする。


「欠席が続くと思えば…おまえ、なにしてんの?」

「えっ!?えっと、あれぇ?ピ、ピクニック?」


イチが頭を抱える。

惚ける慰鶴に、今までの余裕はない。

動揺する慰鶴に、蛍は「慰鶴の知りあい?」と耳打ちした。


「え?う、うん…楊おばさんとイチさん」


慰鶴のざっくりした説明に、姫魅がひきつった表情で付け加える。


「平和維持軍紫巳隊の楊隊長だよ。イチさんは維持軍の…」

「維持軍の…隊長!?」


蛍の目に、ぎらりと光が宿る。

なにかのスイッチがオンに切り替わる音が、姫魅には聞こえた気がした。


「楊さん、イチさん、ごきげんよう。私、慰鶴さんにお世話になっております、蛍と申します」


「あらん、ごきげんよう。きれいなお嬢さんねえ」


初めの自由に書くスタイルに戻したく、思いつくままに書いたので…。

文章とか、話の終わりとか、何かと中途半端ではありますが、勢いで書くのがとある流ということでもにょもにょ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ