神薬についての考察 「神薬」という薬がかってありました。置き薬はパンドラの箱?
(神薬についての考察)
昭和30年代ころそのころ田舎には医者も病院もほとんどなくって
村人は富山から行商の薬屋さんが、置き薬を持ってくる
いわゆる「配置薬」に医療を頼っていた。
赤い小箱にいろんな薬袋が収まっていて、それを置いてゆく、
使った分だけその次、行商さんが来た時に払うという仕組み、
風邪薬、腹薬、痛み止め、仁丹、救命丸、などなどいっぱい入っていた。
ちなみに我が家に残る薬箱の
納品書を見ると、以下のようなん薬が入っていました。
万病感応丸
救命丸
シンネツ風薬
サントニン虫下し
清涼丹
神薬
マーキロ赤チンキ
ケロゲン
ミローン
ズバリ
ペニシリン軟膏
鯉肝丸
トクホン
目薬
赤玉はら薬
セキドメ
実母散
ユイツ
ケロリン
ノーヤク
六神丸
あんま膏
朝日万金膏
これらの粉薬がまた、硫酸紙で折りたたんで五角形にくるんであるのです、
私は子供の頃、医者に行くと
看護婦がはかりで計って粉薬を紙で五角形にくるんでくれましたよね。
あれですね
怪我をすれば赤チンキで指を真っ赤に塗ってもらい、
年に一度はサントニンで虫下し。
あの頃は皆腹には回虫を持ってましたからね。
赤ちゃんは救命丸を、頭が痛ければケロリンで、
で、清算書も入っています。
それによると、トンプク1包35円
セキドメ2包70円、
合計105円支払っていますね。
日付は昭和39年7月2日になっています。
薬の行商さんが年に一回か2回着て箱を調べて減った分を請求して支払う。
減った薬は補給してゆく。
そうして必ず?
紙風船をおまけにくれるのです。
四角い紙風船
懐かしいなあ。
さて、これらの薬の中で私にとって今だに神秘的で謎なのが
「神薬」です。
明治に村田資生堂から発売されて平成までも生きながらえて売られているこの薬。
まずそのネーミングに魅了されました。
神様の薬?なのですよ。
さて
むらた神薬の平成のころの効能書によれば
胃痛、食あたり、船車の酔い、暑気あたり、胸つかえ、めまい、気付、そっとう、痰、咳、酒の酔い。はきくだし。どくけし。
まさに万能薬?
少年だった、私はこっそり薬箱を開けてみました。
そこには「神薬」の青紫の小瓶が。
まるで魔法の霊薬の小瓶のような怪しい?小瓶。
そっと瓶のふたを開けてみました。
するとなんというのでしょうか、
ぷーんと、えもいわれぬあやしい芳香が立ち上ったのです。
気持ちをトリコにするような怪しい?香り。
後年、ETAホフマンの『悪魔の霊薬」を読んだとき
メダルドウスが霊薬のふたを開けて、芳香に酔いしれるという場面で『これだ』と思いましたね。
ちなみに神薬は濃いブルーのガラス瓶高さ7センチくらいのに入った舐め薬(粘液)ですよ。
水あめ状の薬です。それを匙ですくってなめるのです。
この芳香は今、平成のころの添付初の成分表を見ると、芳香チンキと書いてあるのでそれでしょうか。
このにおいだけでも気分がすっきりします。
明治のころには、
当時はモルヒネとかクロロホルムなどもはいっていた?ようですね。
鎮痛薬、気分安定剤として使われたようですね。
もちろん、これらは、今は禁止薬ですね。
私が舐めた、昭和30年代の神薬にはこういう成分はむろん、入っていなかったと思いますが。
そのころ、神薬のトリコになった私は腹が痛いとかうそを言っては母に
神薬を飲ましてもらいました。
添付のさじで舐めるのです。
とろりとした甘いそしてピリッとした刺激、そしてあの酔いしれるような、芳香です。
こんなすばらしい薬はないと思いましたね。
頭が痛いといっては神薬。
暑気あたりしたといっては神薬、、、、。
あっという間に瓶をカラにしてしまったのでした。
あの瓶、取っとけばよかったなあ、ぽいと捨ててしまいましたがね。
今、現在は、こうして私たちは、街中に住み、、医者もいくらでも近くにあるし大きな薬局もある。
でも、なんかこの魔法の薬箱が無性に懐かしいのです。
現代の配置薬業者のHPを見てみましたがさすがに神薬はなかったですね。
これは今で言えばリ○ビタンとかユ○ケルとかそういったドリンク類の薬のはしりだったのでしょうか?
それとも、もっと、怪しい、向精神薬・危険ドラッグのたぐいのハシリかも?
そもそも神薬は明治時代に村田資生堂が西洋からもたらされた「コロダイン」という薬の成分を参考としてそれに唐辛子ちんき、ボルボノール、メントール、さらにはモルヒネとかクロロホルムという麻酔剤を加えて
作ったものです。
もともと「コロダイン」という薬はイギリスで18世紀ころ発明されたもので
今では悪魔の薬?として有名ですが。
当時は重宝して使われたようですね。
成分は、阿片チンキ、モルヒネ、クロロホルムなどというものをアルコールで混合した鎮痛薬?だったのですね。
まあ今から見れば鎮痛薬というよりは、ただの麻薬?でしょ。という成分ですがね。現在ではヤバい薬ですね。まあ当時はこれに類した今から見ればやばい薬が堂々と売られていたのが実情ですよ。
日本だって戦後間もなくのころには「ヒロポン」が堂々と売られていたんですからね。
さてコロダインが
明治に日本に伝来した、ものを当時の日本でほぼ踏襲して真似て?作られたのが
「神薬」だったのです。
今の言葉で言えば「危険ドラッグ」?でしょうか?
相当危ない成分ですよね?
まあでも私が少年時代の昭和30年の神薬にはもちろんこんな危険成分は入っていませんよ。
明治のころの神薬は、その成分からして鎮痛効果は抜群だし?
当時は万能薬として喧伝されて売れたそうですね。
阿片ちんきに、クロロホルムでは鎮痛効果はすごいでしょうね?
重労働の人の気付けや
さらには。真偽不明ながら、ヒロポンとともに、特攻隊が気付けに飲んだ?、、というお話❓もありますね。
その後、戦後は、阿片ちんき、モルヒネやクロロホルムは禁止されて
こういう成分の神薬は、販売されなくなった?ようです。
戦後の昭和20年代ころには成分を変えて禁止薬を除いて
製造が復活・継続したそうです。
その後も現代に至るまで、数社で安全な成分のみで作られ続けて
いましたが、
あのブルーの小瓶でおなじみのむらた神薬は
平成10年ごろに村田神薬は製造を完全に終了しています。
その最後のむらた神薬の空き瓶が我が家にありますけどね。
青紫のきれいなガラスの小瓶ですよ。
私が平成初めころ、とある、薬屋で見つけて懐かしいので、購入したものですよ。
その瓶のラベルによると、むらた神薬の平成時代の
成分は、
トコンチンキ・トウガラシチンキ・芳香チンキ・ℓ-メントール・
苦味チンキ・龍脳・安息香酸。
などとなっています。
もちろん、明治大正ころのような
クロロホルムやモルヒネは入っていませんよ。
安心してください、入ってませんよ。
さらに生薬として
番淑。橙皮。山椒。トコン。丁子。桂皮。生姜。小豆冠
というのが含まれているようですね。
神薬は平成には、生薬系の薬に進化?変貌を遂げていたのです。
薬用酒の成分となんか似てませんか?
しかし、このむらた神薬は平成10年に終了しています。
今はありませんよ。
そして、、、、
今現在は調べたら、なんと神薬があったのですよ。
現在は、広貫堂のみで作られているようです。
もちろん、成分の安全なものだけです。
でも神薬といえばあのコバルトブルーの神秘的なガラス瓶ですよね。
この今現在の広貫堂の神薬はなんとチューブ入りですから、それだけで興ざめ?ですよね?
やはり神薬といえばあの、コバルトブルーの妖しい?小瓶でしょう?
チューブいりじゃあ?ねえ?
さて
この神薬の神秘的な小瓶は
今では、一部のガラス瓶コレクターの垂涎の的となっています。
神薬瓶は。まさにあこがれ?の的というわけですね。
昭和50年代ころまで広く全国で置き薬として配置されましたから、
廃村のゴミ捨て場などを発掘すると結構、神薬瓶が出てくるそうです。
こういう発掘コレクターもいるそうですね。
確かにほかの薬瓶にはないような神秘的なコバルトブルーの小瓶はまるで
魔法の霊薬の瓶みたいで想像を掻き立てる?といっていいでしょう。
ほんときれいなブルーの小瓶ですよ。
というわけで一つ手に入れて
掌中の玉のごとく目出てみたらいかがでしょうか?
ほんときれいな深いコバルトブルーの
神秘的な小瓶ですよ。
そういうことで
神薬の
瓶コレクターのお話で
今回は
おしまいですよ。