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白銀のヴァールハイト  作者: A86
4章 棺の中の獣と華麗な少女
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第97話 危機一髪

 ローブの人の容赦ない攻撃が続く。相手の剣を避けながら、刀で対応する。一つ一つの攻撃が重かった。長期戦になると、こっちのスタミナが切れそうだ。破邪の利剣を持っていたから気づかなかったけど、こんなにも攻撃に対応するのが大変なのか……。破邪の利剣を使ってあのカルロスを互角かそれ以上で戦えていたのだから、もし普通の刀で戦っていたりすれば……。考えただけで少しゾッとする。


 ローブの人は上から剣を振り落としてきた。真横に刀を持ち、受け止める。俺は足で蹴り上げた。ローブの人は少し後ろに下がり、体勢を整える。


 相手が俺に向かってきた。こっちに剣を向けながら突っ込んでくる。俺は、避けることはしないで、また刀で受け止めた。強い衝撃が伝わって手が震えるけれど、なんとか持ち堪える。手が痛い。刀が弾き飛ばされそうだ。


 今度は一回転をしてきた。勢いをつけてくる気だ。次のは普通に対応するのは難しい。俺も一回転をする。俺が持っている刀と相手の剣が同時に交錯した。また手が震えた。痛い。破邪の利剣では感じたことがない気分だ。


 剣が俺の心臓を狙って、迫ってきた。容赦なく突いてきて、俺は後ろに下がらざるを得ない。避けきれないところは刀で弾くしかない。


 二メートルくらい下がった頃だろうか、突然ローブの人は剣を上から振り下ろしてきた。俺も受け止めようとするがタイミングが少し遅かったのか、あまりにも強い衝撃が伝わってきた。


「っ……!」


 刀が……俺の手から落ちていく……。ローブの人が足で遠くに飛ばされてしまった。あの距離だと、取りに行こうにも難しい。手が、震えていた。俺が耐えられないなんて……。この一年半、俺は騎士団で何をやっていたんだ?刀が手から滑り落ちたことでたくさんの感情が押し寄せてきた。空しい手の中を見つめる。俺は、甘えていたんだろうか?破邪の利剣という神器というものに……。


 そう考えている内に次の攻撃がやってきた。真横から剣がやってくる。俺はジャンプして、後ろに下がる。服が少し掠った。血は出ていない。


 どうする?さっきのは避けれたけれど、次も避けれるかと訊かれると怪しい。武器を持っていないと、こんなにも恐怖が伝わってくるのか……。……一か八か、やってみるしかない。


 俺は相手の動きを見ずに、武器を取りに行った。ローブの人がそうはさせまいとこっちに向かってくる。冷静だったら、かなり無謀な考えだったと思うだろう。でも、この時は手段を選んでいる余裕はなかった。とにかく武器を取って反撃をしなければと思っていたのだ。


 刀まであと数センチ……。剣の切先が少し見えた。頼む……間に合ってくれ!……冷たい感触があった。刀に触れている!


「くっ……!」


 刀を右手に掴んで、転がって相手の攻撃を避けた。危なかった……。あと数秒遅れていたら、腹部から大量の血が流れていたかもしれない。


 俺は足で立ち上がる。その直後に俺は、回し蹴りを相手に喰らわした。相手が一瞬怯んだ。今だ!


 俺は迷いもせずに、相手の心臓を突き刺した。人じゃないかとも考えたが、この時はそう考えてなんていなかった。とにかく倒さなければ、そう思っていたのだ。


 刀が相手の心臓を貫いた。バチバチッという音がした。相手がロボットみたいな動きをする。そして、崩れ落ちるように倒れ、動かなくなった。いろいろと危なかったが勝った……。


 他の皆はどうなっているんだろう?俺は周りを見渡す。クレアの方は苦戦しているようだが、アークが加勢している。もうアークは倒していたのか……。ミリーネの方は、まだ戦っている。あっちの方を手伝った方がいいな。


 シャーランとミロワールは展望台を飛び出ていた。屋根の上に立っている。シャーランが矢を何本も放ってミロワールは手に持ってる杖みたいなもので弾いたり、流したりしている。その攻防がずっと続いていた。


 それよりまずはミリーネを助けなければ。そう思って俺は、彼女の元へと走って行った。

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