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白銀のヴァールハイト  作者: A86
4章 棺の中の獣と華麗な少女
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第80話 鍵と恋(ミリーネ→クレア視点)

コメントが遅れてすみません。こっからまた、出来る限り毎日更新を頑張っていこうと思います。しばらく空いたせいで文章が拙くなってる気がする……。

「それで、用ってなんなのリアム?」


 あたしは、講堂でリアムと一緒にいた。人はまばらだし、距離があるから誰もあたし達の声を聞くことはない。それより、向こうから誘ってくれるなんて珍しいなー。


「どうしても……お前に頼みたい事があるんだ」


 おっ、おっ、おっ。あたしに頼みたいことってなーんだ。長い付き合いをしてきたおかげでようやく頼りにされてきたか。

 リアムはポケットに手を突っ込むと黒い鍵を取り出した。


「この鍵を……持っててもらいたい……」


 ………鍵かぁ。期待してたのとは違うけどまぁいいかな。


「分かったよ、リアム。ちゃんと持ってる!」


「…………頼んだぞ」


 あたしは、その鍵をしまった。その時、一人の男子生徒があたし達の方に近づいてきた。


「ここにいたのか。レポートは終わったのか?」


「……あぁ……もちろん」


 リアムと話している相手、一体誰だろう?


「どちら様?」


「……ヴィルギル・カイザー、俺のルームメイトだ」


 あー、ルームメイトの人か。どうりで気さくに話しかけてくると思ったよ。


「よろしくな、えっと……」


「ミリーネ・アスタフェイです!よろしくね、ヴィルギルー」


「というかお前、女友達いたのかよ!羨ましい……」


 ヴィルギルがあり得ないという顔でリアムに言った。失敬な!こう見えてあたし達は十年以上も一緒にいるんだから。


「まぁ……俺の親友といえば親友だけど……」


「なんだよそれ…………ミリーネ、その傷……」


 ヴィルギルがあたしの左肩を指した。傷……?

 

「!!!」


「あ……ああ……!」


「ち、違うのリアム!これはーー」


 あたしが言おうとした時にはすでに遅かった。リアムは数歩後ろに下がると、講堂を飛び出して行ってしまった。

 肩の傷がズキンと傷んだ気がする。痛い。


「何か、まずい事言ったか?」


「………ううん、大丈夫だよ……」


 講堂には他の人の話し声で埋め尽くされている。あたし達はその中でしばらくの間、沈黙を守り続けた。

沈黙を破ったのはヴィルギルだった。


「俺、あいつを追いかける。お前は?」


「……あたしは寮に戻るよ。最後の課題の準備をしないといけないから」


「そうか、じゃあな」


 ヴィルギルは講堂を出て行った。あたしは、その場にしばらくの間、留まった。


 ……リアムに見せちゃったな、傷……。









◇◇◇


 わたしは、いつも寮に帰っている道を通っていた。風が吹いてとても寒い。……シャーランの言葉、


 ――煮え切らないだったら、最初からそんな恋やめればいい。


 確かにその通りだ。これはわたしの甘え、恋に気付いているのに、前に進まない。いや、前に進むことができない。……わたしにはリックがいたから。今でも、彼のことを想っているから。

 分かってる。未練がましいのは分かってる。でも、怖い部分がある。このまま、デュークと一緒にいていいのか。リックにそんなことしていいのか。分からない。


――歌声がまた、聞こえた。悲しい、歌声。悲しくて、悲しくて、悲しくて……何かに押し潰されそうな感じだ。


 思い返せば、デュークは一言もわたしの事を好きだとは言っていない。気づいていない。言うべきかな?わたしの事、どう思ってるって。そんなことしていいのかな?ううん、これはわたしの問題だ。この問題を片付けることなら言ってもいいと思う。自分の気持ちに決着をつけるんだ。

 わたしは前に進み出して、寮に戻った。


 でも、わたしの事を好きだっていたら、どうすればいいの?

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