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白銀のヴァールハイト  作者: A86
4章 棺の中の獣と華麗な少女
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第76話 爆弾製作(クレア視点)

忙しい間に書いたので少し文章が拙いです。

爆弾の作り方をまったく知らないで書きました。ご了承ください。このダラダラ展開はあとちょっとで終わりますのでもうしばらくの間我慢してください。

 翌日、わたしは朝一に起きて、クラーク先生の元へと向かった。先生はいつも職員室で缶詰になっていると聞いていた。わたしは職員室のドアを二回叩き、開く。そしたら案の定、クラーク先生が仕事をしていた。


「先生!」


「おっ!どうしたこんな時間に」


 先生はちょっといかついライオン顔とは裏腹に、明るい声で接してくれる。


「先生、今日時間空いていますか?」


「ああ、大丈夫だぞ」


 わたしは頭を下げ、こう頼んだ。


「お願いです!わたしに爆弾の作り方を教えてください!」


 クラーク先生は元から爆弾製作が得意だったと聞いている。性格は少し変わった所があるけれど多種多様な爆弾を作ることが出来て、騎士団でも有名な人物らしい。その事もあって頼んでみたが結果は――


「いいぞ、別に」


「いいんですか!?」


 あっさり承諾してくれた。完全に即答である。


「ただし、一番作りやすいものしか教えられないけどな」


「それでいいです。ありがとうございます!」


「それより、どうして爆弾を作りたいって思ったんだ?」


 何故、爆弾を作りたいか……。そこには明確な理由がある。


「わたし、武器という武器をあまり持ってなくて。護身用に拳銃があるだけなんです。それで、以前拳銃すらも使えずにピンチに陥ったことがありました。あの時は一人だったからよかったんですけど、この先皆の足を引っ張ってしまうのが怖くて……。だからせめて、戦える力はもう少しつけた方がいいと思ったのです」


 これは、わたしの本当の理由だ。一年前の時みたいに……アリス・バラードにされた事を二度と繰り返さないために。


「そうか、よし!では作ろうではないか」


「どこで……ですか?」


「騎士団から少し離れた森の所でさ。さぁ行こう!」


 こうして、わたしの爆弾製作が始まった。


 爆弾を作る森は騎士団から少し遠く離れていた。青々と茂っており、自然豊かな森だった。こんなところで爆弾を作るなんてちょっと非道だな……。

 爆弾製作は当初、困難をきわめた。火薬の量を少しでも間違えてしまえば命取りになる。既に十数発も爆発している。木にとまっていた鳥達もどこかへ行ってしまった。この時の先生はいつもの陽気さはなく、若干スパルタであった。


「違う違う!その量だと敵どころか味方まで吹き飛んでしまうだろ!もっと少なくだ」


「こ、このくらいですか」


「いや、それだと小爆発程度で終わってしまう。もう少し多くしよう」


 爆弾の調合って難しい。素直にそう思った。わたし達が扱っているのは液体のため、量の配分がとても大変なのだ。これで一番作りやすいのならば難しいのって相当時間がかかるんだろうか?わたしは先生に聞いてみた。


「そうだな……早ければ一日で終わるが、材料の問題もあってな。三日はかかるだろう」


 そうこうしている内にわたしはついに爆弾を完成することが出来た。わたしが作ったのはスイッチを入れると、十秒後に爆発する、いわば時限爆弾である。


「せっかくだから爆発させてみようか」


 先生が提案をする。爆弾をセットしてスイッチを押し、一気に離れる。爆発まであと三、二、一……。


 …………爆発した。


 大きな噴煙、そこに舞い上がる埃、これは成功と言っていいのかもしれない。


「まあまあかな。クレア、お前に俺の作った爆弾を一つプレゼントしておくよ」


「えっ、それは危険じゃ……」


「大丈夫だって、ばれなきゃ平気だよ」


 先生は液体が入った特製の爆弾をくれた。変な気持ちだ。一体何に使えば……。ヴァイス・トイフェルに使う以外ないんだけれど……。


「クラーク、またやったのか!」


「げっ、ダニエル……」


 振り向くと怒りで顔が赤く染まり、歯を見せるダニエル先生の姿があった。ドスドスと近づいていき、クラーク先生の胸ぐらを掴む。


「お前、勝手に生徒に爆弾の作り方を教えてはならないと言っただろう!怪しいと思って来たらやっぱりこのザマか!」


「わ、悪かったよ。ほら、ビールおごるからさ」


「言い訳は無用だ。それに、そんなもので私の気を引けると思ったか!」


「………ごめんなさい」


 クラーク先生が謝る。違う、わたしが悪いんだ。


「違います先生!悪いのはわたしです」


「?…どういうことだ?」


「わたし、黒の騎士団に入ったのに弱くて……。クラーク先生は爆弾を作るのが得意だって聞いたのでお願いしたんです。ごめんなさい!」


 わたしは頭を深く下げた。そのせいでダニエル先生の表情が分からない。先生はため息を一つつくと、こう言った。


「分かったクラーク。今回は大目に見てやる」


「本当か!」


 わたしは頭を上げた。先生の顔が明るくなっている。


「その代わり、カレン先生に叱ってもらうがな」


「ひっ……それだけはやめてくれ!」


 クラーク先生の顔が一気に暗くなった。


「クレア、お前は戻って構わない」


「本当に、すみませんでした」


 わたしは足早々と立ち去った。森を出て、わたしは気付く。いけない!爆弾も持ったままだった。あとで返しにいかないと。


 この後の予定表を見た。今日の午後からミリーネとシャーランの集まりがある。時間は三時、今は二時だ。

 急がないと……!わたしは騎士団の方へ走っていった。

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