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白銀のヴァールハイト  作者: A86
4章 棺の中の獣と華麗な少女
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第72話 事情

話の展開、少し遅いですけどもう少しだけ我慢してください。

「あの一件のせいで僕の頭の中はメチャクチャだった。刑務所の中で立ち直るのに数ヶ月かかったよ。でも、考えたことで分かったんだ。この経験を……ヴァイス・トイフェルに出会った経験を活かせるんじゃないかって。僕はこの時に対白魔騎士団に入る決意をしたんだ。僕の懲役はたった数ヶ月だったからすぐ釈放された。そして、僕はすぐさま対白魔騎士団に行って新兵になれるかダニエルさんに頼みこんだわけだよ」


 そう言うとコンラッドさんは顔を下げ、少し暗い顔になる。


「本当に怖かった。刑務所の中で何度も君達に手紙を送りたいと思っていた。でも、できなかったよ。後ろめたさもあったんだ。でも、今は君達の目の前にいる。君達と一緒にいたいと思ったんだ」


 彼も、相当苦労したんだろう。俺達と同様に。それでも、自ら戦う道を選んだんだ。


「改めまして、よろしくね皆」


「こちらこそだよーコンラッドさん」


「出来れば、呼び捨てにしてくれないか?その方が話しやすいし」


 その方が彼はいいのだろう。さん付けをされるよりは。


「じゃあ……コンラッド、でいいのかな?」


「うん、それそれ。それがいいよ。今日から君達の補佐だってダニエルさんに言われたからね」


 補佐か。つまり今やっている課題を遂行する手伝いをするという訳だな。


「なんか君達今、課題を行っているんだって。僕はその手伝いをすればいいのかな?」


「多分、そういうことになると思います」


「その前にこの騎士団を案内してくれないかな?まだ、この中がどうなっているのかよく分からなくて……」


「もちろん!ついてきてください!」


 俺達はコンラッドに教室、屋上、講堂、中庭、などなどいろんな場所に連れて行った。彼は場所を移動する度にカメラで写真を撮ったりした。構造が分かるようにという事で地図の写真も撮る。綺麗に写ったようだ。


「それで、ここが寮だよー。男子寮は反対側だけどね」


「流石に写真を撮るのはまずいか……」


「いいですよ。記念に撮ってください」


「そ、そうか?じゃあ遠慮なく……」


 昼休みが終わるチャイムが鳴った。そろそろ戻らなければ。


「それでは、絵画の間で会いましょう」


「うん、後でね」


 俺達はコンラッドと別れ、それぞれの教室の席に戻った。今までずっとコンラッドさんと呼んでいたから思わずさん付けをしてしまいそうになる。


 アークはリストを読んでいた。次の課題『絵画の点検』についてだ。


「絵画の間にある絵画を全部見るんだろ?何枚あるんだ?」


「えっと、ちょっと待って。………嘘でしょ……二百枚だって」


「は?」


 二百!?そんなにあったのか、絵画の間には。しかし、頑張るしかない。これは学園長直々の課題なのだから。


「くっ……時間がかかるかもしれないがやるしかないな……」


 その時、ヴィルギルが俺達に近寄ってきた。そうだ、リアムのこと……いろいろあって聞けなかったんだ。


「オッス、二人共。なぁ、リアムから何か聞けたか?」


 やっぱりそうだ。だが、残念なことにまだ聞けていない。


「悪い、昨夜は時間がなくて聞くことが出来なかったよ」


「えーまじかよ。そっか、今日も課題を行うのか?」


「うん。今日こそ聞いてくるよ」


「分かった。何か聞いたら教えてくれよな」


 ヴィルギルは自分の席へ向かっていった。それでも俺の頭の中は今、リアムどころじゃなかった。コンラッドが帰ってきた、それだけでいっぱいだった。様々な考えが頭を横切る。俺は少しニヤついてしまった。アークは俺の表情を見て笑い、前を向いた。

 自分の未来が少し、ほんの少しだけ、明るくなった気がする。俺は初めてそう思った。

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