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白銀のヴァールハイト  作者: A86
4章 棺の中の獣と華麗な少女
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第69話 課題

 翌日の朝、俺達黒の騎士団は講堂に集められた。リアムとシャーランもいる。集めたのはカレン先生だ。


「皆、いるかしら?」


「はい。大丈夫です」


 この時間帯に呼び出されるのだからただ事ではないな。

 朝一番の講堂は静かだった。空気をひんやりとしていて独特な匂いが漂っている。趣きがあるのは確かだった。


「それじゃあ聞いて。今からあなた達に課題を出します」


「課題?」


「そう。これは学園長直々の任務を兼ねているわ」


 そういえば、昨日先生と出会った時に課題を出すとか何とかとか言ってたな。


「その、課題というのは何なんですか?」


「全部で三つ。一つ目は屋上の天使像の警備、二つ目は絵画の間の点検、そして三つ目は一年前に見つかった部屋の捜査よ。この三つはどれから始めても構わないわ。ここにリストがあるから詳しくはこれを見て」


 リストをアークが受け取る。意外と分厚いな。


「この仕事は決して楽なものは一つもないわ。必要となるのは、あなた達のチームワークよ」


 なるほど、この任務はチームワークが鍵になるのか。


「以上で話は終わりよ。質問はある?……無いならいいわ。今夜から始めることをお勧めするわよ。気をつけて」


 そして、カレン先生は歩み去っていった。講堂には俺達六人が取り残された。


「とりあえず、今日の夜に天使像の警備を行おう」


「そうね」


「異議なし!」


「……」


 アークの提案に全員が賛同する。屋上には行ったことないな。一体どうなっているんだろう。









◇◇◇


「屋上の天使像の警備っていつまでやるんだ?」


 朝のホームルームが終わり、俺はアークにたずねた。周りにいる皆は、席を立ち上がって友人のもとへ向かい楽しげに話している。俺とアークの席は前後で隣同士であった。


「えっと……リストによると夜明けまでだね」


「は?嘘だろ」


 夜明けということは寝る時間がないじゃないか。そもそもなんでそこまで起きてなきゃいけないんだ?


「どうやら、天使像で不審者を見かけたらしいよ」


「……じゃあつまり、その不審者を見つけ出せばいいんだな」


「うん。リストにはそう書いてある」


 不審者を見つけ出さないといけないのか。生徒か教師のどっちかだと思うけど。


「なあお前ら、さっきから何話してんだ?」


「「……」」


 突然割り込んできた人物、肌は色白で金髪であり、青い目を持っている。人間の男だ。


「なぁなぁ、何話してたんだ?」


「黒の騎士団に課題を言い渡されて、その打ち合わせだよ」


 アークが説明する。すると男は何かを思い出したような感じだった。


「そうか、二人は黒の騎士団だったな。いいよなーお前ら」


「あの……お前は一体……」


「あ、自己紹介し忘れてたな、俺の名前はヴィルギル・カイザー。二人のクラスメイトだ」


 なんだ、このクラスの人だったのか。


「それにしても、黒の騎士団って名前格好良くないか?」


「格好良くねーよ」


「俺も入りたかったな……。そういえば、俺のルームメイトも黒の騎士団だった気が……」


「え、その人の名前は?」


「リアム・テルフォードっていう名前だったな」


 こいつ、リアムのルームメイトだったのか。じゃあ、リアムの事について何か知っているかもしれないな。


「一つ聞くんだけど、リアムについて何か知ってる?」


 アークがヴィルギルに聞いた。すると、ヴィルギルが首をかしげる。

 もしかして、リアムはルームメイトとも話した事があまりないのか……。


「あまり知らねーな。あいつ無口だからさ。あんまり話した事がないんだ」


「そうなんだ……」


 やっぱり、誰ともあまり話した事がないんだな。もともと、コミュニケーションが苦手そうだったし。でも、これからチームとして戦っていくためにはそのコミュニケーションをなんとかしないと。


「あ、そういえばあいつ写真とかよく見てるな」


「「写真?」」


 俺とアークが口をそろえて言う。写真を見てるとは。そんな光景、見た事ないが。


「どんな写真なんだ?」


「えっと……こっそり見たんだけど虎獣人の親子が写ってたな。多分、リアムだと思うけど」


 リアムには父親しかいないと言っていた。やっぱり一人でいるのが寂しいのだろうか?


「ちょっと待てよ。確か一回、リアムが写真を見ていた時、泣いていた気がするんだ。歯ぎしりをして……」


 え、どういう意味だ。泣くのは分かるかもしれないが、なぜ歯ぎしりをしなければならないんだ。


「それって本当?」


「ああ、間違いなかったぜ」


 時折、父親が写っている写真を見て、歯ぎしりしながら涙を浮かべる……。うーん、分からない。

 チャイムが鳴った。授業開始の合図。皆がもとの席に戻っていく。ヴィルギルも俺達に「じゃあな」と言うと自分の席へと戻っていった。

 今回、リアムの事が分かったような分からなくなったような……。今夜、本人に直接聞いてみよう。

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