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白銀のヴァールハイト  作者: A86
3章 ユーバーファル
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第59話 アリス(クレア視点)

最近、話が少しグダグダな気が……。皆ついてこれてるか心配です。

 銃の引き金を……引いた。

 カチッ

 今の音……弾切れ!?そういえば、ヴァイス・トイフェルと戦った時に無駄に弾を使っていた。それが裏目に出たんだ。


「どうやら、弾切れのようネ。でも、だからって助かった訳じゃないわヨ」


 私は彼女が喋っている隙を逃さなかった。私はアリスの両腕を掴み、地面に押し倒した。アリスは暴れ、訳の分からない言葉を口にする。足をばたつかせていた。


「離セ!」


「聞きなさい。イデアルグラースは何をしようとしているの?」


 すると、アリスは暴れるのをやめる。


「知らないわよ、ソンナノ。それより離シテ」


「知ってることでもいいから言いなさい」


「知っててもそれを話すとでも思ってんノ?」


 私は彼女に頭突きをくらわした。これで、頭は冷えたはず……。ところが――


「ッ……。よくもあたしを殴ったな小娘ー!!!!!」


 どうやら逆効果だったようだ。彼女は強引に腕を振りほどく。いつの間にそんな力を……。今度は彼女が私を押し倒して、何度も何度も私の顔を殴り続けた。痛い、痛い!顔が熱くなる。そして、足で私の腕を押さえた。


「何よ!謝りなさいヨ!!」


「誰が謝るものですか!謝るのはそっちよ!」


 彼女は私の顔を蹴った。眼鏡のレンズにヒビが少し入った。頭が痛い。

 スル…スル…スル…スル……


「ソウダ。ヴァイス・トイフェルがいたわネ。でも、ザンネーン。もう、止められる方法はないワ!」


「いっ……」


 頭を思いきり蹴られる。そのせいで脳震盪を起こした。本気で、殺される。このままじゃ……。


「やめろー!!」


「ガハッ……!」


 アリスが遠くに吹き飛ばされた。一体誰が?私はぼうっとする頭を起こし、彼女を殴った人物を見た。


「アーク……?」


「怪我はないか?」


「うん……」


 アリスがフラフラと立ち上がる。目は憎しみに燃えていた。


「ぐっ……あたしを…また、殴るナンテ……。いいわ、今回は見逃してアゲル。二対一は不利だしネ。ヴァイス・トイフェルに惨たらしく殺されるがいいワ……!」


 そう言うと彼女は屋根に飛び乗った。目を疑う出来事、普通の人では到底出来ないことだ。そして、彼女は向こうに走っていき、次第に見えなくなった。


「何とか……退けられた……ね」


 スルスル…スルスル…シュー

 ヴァイス・トイフェルの吐息……。私達は後ろを振り返るとヴァイス・トイフェルが群れをなして、こちらに向かってきていた。


「乗って。走るよ」


 私はアークに背負ってもらった。まだ頭がフラフラする。アークはそれでもお構いなしに走り始めた。速い。オリンピックに出場出来るんじゃないかと疑うくらい速かった。


「ところで、何でここにいるの?」


「いつまでたっても爆発が起きないから見に来たんだ。そしたら、君と紫の髪の女の子と戦っていたのを見つけた訳さ。あの子、何者なんだ?」


「アリス・バラード、イデアルグラースの幹部だよ」


 そう、あの子は本当に強かった。アークが来ていなかったら殺されていたかもしれない。考えてくると、今の戦いは偶然が重なって勝てたんだと思えてきた。

 シューシュー……シューシュー……


「それより、爆弾はどうしたの?」


「あの子に……壊されたの。どうすれば……」


「……この道は一本道だ。幸いなことにヴァイス・トイフェルがこの道を通っている。この先に、僕が仕掛けた爆弾があるからそこまで走ろう」


「走るって、追いつかれるよ絶対!」


「大丈夫。足には自信があるから……」


 アークの言ったことは本当だった。ヴァイス・トイフェルに追いつかれるどころかどんどんと引き離していった。ここまで速く走れる獣人はいた?いや、いないはず……。


「アーク、何者なの?」


「……中学校で足を鍛えていたんだ」


 ――私の疑問はその一言で済まされてしまった。

 私達は爆発地点にたどり着いた。既に起動出来てもいいようにセットされている。


「家の中に入ろう。そこなら安全だ」


 私達は人の家に入り、様子を伺う。すると、ヴァイス・トイフェルがやってきた。シューシューと白い霧を吐き出し、迫ってくる。中にいるから大丈夫だが、もし外にいたら絶対に助からないと思った。


「爆発させるよ。三、二、一」


 ドォォォォン!!

 巨大な、爆発音が聞こえた。ヴァイス・トイフェルの悲鳴が聞こえる。見るとヴァイス・トイフェルが東に進行を変えて、動いていた。なんとか、成功したんだ。


「後は、ダニエル先生が街の出入り口を塞いでいればいいんだけど……」


「うん……さっきはありがとう。アークが来なかったら、私は死んでいたかもしれないから」


「その事なんだけどさ、あのアリスって子ただの人間じゃないよね」


 私もそれは感じていた。人間とは思えない跳躍力、言葉の最後が機械音であること、あり得るとしたら……。


「ロボット……よね」


「そうだね。それが一番妥当だと思う」


 不完全な部分もあるけれど、彼女は生きていた。人工生命体なのか分からないけれど……。

 彼女はイデアルグラースの幹部の一人と言っていた。幹部が何人いるか分からない。彼女達が何をしようとしているのかも結局は分からなかった……。一体、何を企んでいるんだろう?

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