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白銀のヴァールハイト  作者: A86
1章 別れ
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第6話 洞穴の出口?

「雪崩だ!」


 リックが叫ぶ。地響きも起き、立ってもいられないくらいに揺れた。


「急いで外へ!早く!」


 来た道を戻ろうにも歩けず、はって進む以外他は無かった。

 すると、突然揺れが収まる。俺達はその瞬間を逃さなかった。


「今だ!」


 俺達3人は洞窟の入り口を目指し、ただただ走った。……入り口がふさがれてなければいいが。

 走って、走って、走り続ける。やがて月の光が見えた。助かる、急いで戻らないと。その気持ちだった。なのに、その希望は儚く消え失せた。

 外へ出ようとした瞬間、落石が起こったのだ。俺とリックはすぐに後ろに下がったが、クレアは落石の中へと突っ込んでいく――。


「クレア―――――――!!!」


 ………………。何も、聞こえない。ところが、























「コホッ……私は平気よ。何とか外へ出られたわ」


 外からクレアの声が聞こえてきた。リック安堵して胸をなでおろした後、こう言った。


「よかった。町におりて助けを呼んできてくれ。俺達は別の出口を探してみるから」


「うん!」


 その後、俺とリックは遺跡でもう一つの出口を探した。正直言って見つからない気がする。この遺跡はもう学者に隅々と探索されずみだ。そして、見つかったのは、落石でふさがれた所だけだった。おとなしく救助を待っていた方がいい気がした。


「なあリック、わざわざ出口を探さなくても助けを待っていた方が良くないか?」


「……確かにそうだな。見つかると思ったんだけどなぁ」


 俺達は遺跡に出入り口へと戻った。まだ土ぼこりがあって少々けむかった。月の光が少しだけ差すくらいだけの暗闇、そんな不安に陥りそうな状況で友人がいることに安心感を覚える。


「デューク、こんな質問するのは俺らしくないんだけど……はっきり言って俺が対白魔騎士団の話を聞くのは嫌か?」


「えっ……」


「いや、正直に答えていいんだ。嫌か、嫌じゃないか」


 リックが今までこんな質問をしたことがなかった。それほど、クレアの小言が気になったんだろう。


「別に嫌いじゃないよ。でも、さすがに親の許可がないのは駄目じゃないかな」


「……過保護なんだよ。子供の頃は全然外へ出してくれなかったし、今でも毎日定期健診をしてくるしさ」


「大変だね、それは」


 会話をしているおかげか、静寂で暗闇だった空間にかすかな笑いが漂い、明るい空間となった気がする。


「デューク」


「なに?」


「俺、中学を卒業したらクレアに告白しようと思っているんだ」


「卒業……二年後か?それにお前、騎士団へ入るんだろ。場合によっては遠距離になるんじゃ……」


「だからだよ。この先、彼女に会う機会が無くなるのなら、せめて自分の気持ちを伝えたいんだ」


「クレアの場合、かなり考え込みそうだな。何せ騎士団の方へ行くんだからな。ま、お前らのことはずっと応援している。あれこれ考えている暇があったら、その想いを伝えればいいんだ」


「まるで恋愛マスターみたいな言い方だな」


お互いに笑う。不安な気持ちは、もうなかった。

 突然右耳に、冷たい冷気が当たった。

 ……風?いや、間違いない、風だ。どこか外への道が通じているのか?


「?どうしたデューク」


「今、風が……。もしかしたら外へ出られるかも」


「何!?」


「こっち!」


 俺達は今にも崩れそうな道をゆっくりと歩いていった。外へ出られるという希望を持ちながら進んでいく。度々落ちそうながらも進んでいった。

 やがて、風の通っている穴を見つけた。大きさこそは小さいが、子供1人は抜けれそうだった。しかも雪で覆われている部分もあったのだ。雪崩の影響もあったのか、そこまで取り壊すことができた。


「よっと、引っ張るぞ」


 俺はリックを引っ張り出した。外は雪で覆われていて一面銀世界だった。あたりは深い霧でたちこめている。


「ついてるぞ俺達。向こうに町の光が見える。行こう」


 俺達は再びゆっくりと歩き始めた。……なんだろう、寒い。

 いや、雪が積もっているほどなんだから当たり前なんだけど……。

 違う。寒いのは深くたちこめる霧のほうだ。……一瞬だけ、ほんとに一瞬、恐ろしい考えが浮かんでしまった。……そんなはずはない、この地域にはいないはずだ……。そう、そのはずなんだ……。
























































 そして、それは運悪く当たることになる……。

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