第48話 静かな恐怖
エレベーターの扉が開いた時、二人の人物が倒れていた。その周りには皿の破片が散らばっている。
「息は……あるの。あまりにも動かないから最初はてっきり……」
「僕もそう思ったんだ。ちゃんと生きてはいる。でも起きないんだ」
ミリーネとアークが困ったように言った。俺は二人を揺さぶってみた。身動き一つもしない。
「本当だ。でもどうして?」
「分からない……。ただ、一つ分かるのはこれは自然の眠りじゃないことだ」
そう言うとアークは身震いをして、周りを見渡した。近くに敵がいないかを確かめるために。
他にも似たような現象になっている人はいるのだろうか。それにしても、植物状態になる人が出れば、今度は眠り続ける病気か……。どうなっているんだ、この街は。
「どう、何か分かったデューク?」
「いや……他にも眠っている人はいるのか?」
「ううん、この二人しか見ていないから」
「それでも……ちょっと静かすぎない?」
クレアがつぶやく。おかしい、急に……静かになっている。まさか……!
「ロビーへ行こう!手遅れじゃなければいいんだけど……」
俺達はロビーに向かって走り出した。大丈夫だろうか?皆……眠ってなければいいけれど。……傍らにはユリの花が咲いている……。
俺達はロビーにたどり着いた。案の定、受付の人も給仕の人も眠っていた。
「これは、一体……」
「……さっきの二人と同じだ。眠っているだけだよ」
一応全員の首に手を置いてみた。大丈夫、息はある。でも、どうして皆が眠っているんだ?俺達は平気なのに。
「私も……少し眠くなってきた……」
「寝ちゃ駄目だよ、クレア!起きて!」
ミリーネがクレアの頬を叩き、眠らないようにする。気付けばクレアの目の下に隈ができていた。
……リアムとシャーランはどうした?二人はどうなっている!?
「リアムとシャーランは!?」
「あの二人も眠っているかも……」
「確かめに行こう!」
二人がそれぞれいる部屋へと走った。俺とアークは部屋のドアを乱暴に開けた。
「っ……!どうした?」
リアムは机に向かって宿題をやっていた。よかった……起きていた。
「リアム、何も異常は無い?」
「……大丈夫だが…」
「一体何なの、急に?」
シャーランの声が聞こえる。振り向くと、彼女がクレアとミリーネの中心に立っていた。
「リアム、シャーラン聞いてくれ。実はーー」
俺はホテルで皆が深い眠りについている事を話した。リアムとシャーランは何も動じず、ただただ俺の話を聞いていた。
「ーーそれで、私達のことが気になってここに来たという訳ね」
「そうなんだ。それにしても二人が無事でよかったよ」
「でもどうしてあたし達は寝ないんだろうね?」
「きっと理由があるんだよ。それより他に起きている人がいないかを探そう」
俺とアークとリアム、クレアとミリーネとシャーランの二組で探すことになった。残りの、起きている人を探すために……。




