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白銀のヴァールハイト  作者: A86
3章 ユーバーファル
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第48話 静かな恐怖

 エレベーターの扉が開いた時、二人の人物が倒れていた。その周りには皿の破片が散らばっている。


「息は……あるの。あまりにも動かないから最初はてっきり……」


「僕もそう思ったんだ。ちゃんと生きてはいる。でも起きないんだ」


 ミリーネとアークが困ったように言った。俺は二人を揺さぶってみた。身動き一つもしない。


「本当だ。でもどうして?」


「分からない……。ただ、一つ分かるのはこれは自然の眠りじゃないことだ」


 そう言うとアークは身震いをして、周りを見渡した。近くに敵がいないかを確かめるために。

 他にも似たような現象になっている人はいるのだろうか。それにしても、植物状態になる人が出れば、今度は眠り続ける病気か……。どうなっているんだ、この街は。


「どう、何か分かったデューク?」


「いや……他にも眠っている人はいるのか?」


「ううん、この二人しか見ていないから」


「それでも……ちょっと静かすぎない?」


 クレアがつぶやく。おかしい、急に……静かになっている。まさか……!


「ロビーへ行こう!手遅れじゃなければいいんだけど……」


 俺達はロビーに向かって走り出した。大丈夫だろうか?皆……眠ってなければいいけれど。……傍らにはユリの花が咲いている……。


 俺達はロビーにたどり着いた。案の定、受付の人も給仕の人も眠っていた。


「これは、一体……」


「……さっきの二人と同じだ。眠っているだけだよ」


 一応全員の首に手を置いてみた。大丈夫、息はある。でも、どうして皆が眠っているんだ?俺達は平気なのに。


「私も……少し眠くなってきた……」


「寝ちゃ駄目だよ、クレア!起きて!」


 ミリーネがクレアの頬を叩き、眠らないようにする。気付けばクレアの目の下に隈ができていた。

 ……リアムとシャーランはどうした?二人はどうなっている!?


「リアムとシャーランは!?」


「あの二人も眠っているかも……」


「確かめに行こう!」


 二人がそれぞれいる部屋へと走った。俺とアークは部屋のドアを乱暴に開けた。


「っ……!どうした?」


 リアムは机に向かって宿題をやっていた。よかった……起きていた。


「リアム、何も異常は無い?」


「……大丈夫だが…」


「一体何なの、急に?」


 シャーランの声が聞こえる。振り向くと、彼女がクレアとミリーネの中心に立っていた。


「リアム、シャーラン聞いてくれ。実はーー」


 俺はホテルで皆が深い眠りについている事を話した。リアムとシャーランは何も動じず、ただただ俺の話を聞いていた。


「ーーそれで、私達のことが気になってここに来たという訳ね」


「そうなんだ。それにしても二人が無事でよかったよ」


「でもどうしてあたし達は寝ないんだろうね?」


「きっと理由があるんだよ。それより他に起きている人がいないかを探そう」


 俺とアークとリアム、クレアとミリーネとシャーランの二組で探すことになった。残りの、起きている人を探すために……。

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