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白銀のヴァールハイト  作者: A86
2章 対白魔騎士団
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第36話 破邪の利剣

「う……」


 目が覚めた時、俺はベットで寝ていた。いつまで寝てたんだろう。それよりここは、医務室みたいだ。他にベットが並んでいるし。

 そうだ!カルロス先生はどこに行ったんだ?まだ話も聞きたいことが聞けてないし――。


「どうやら、目覚めたようだな」


 どこからか声が聞こえた。右を向くとそこには……。


「学園長……」


 そう、学園長が俺のそばにいたのだ。いつの間に来ていたんだんだろう?全然気がつかなかった。


「そういえば、名前を言うのを忘れていたな。私の名前はスチュアート・サールウェルだ」


「……スチュアート……先生、どうしてここに?」


「実はお前に聞きたいことが一つあるのだ。事情は全て君の友人から聞いている。三人とも無事だ」


 皆無事なんだ、よかった。スチュアート先生は俺が寝ているベットに座ると、俺が持っていた刀を取り出した。


「お前は騎士団の中心部にあるチャペルで倒れているのをお前の友人が発見した。この刀のそばに……。一体、これはどこで手に入れたのかね?」


 ……いきなり何を聞いているんだろう?なぜ急に刀のことが出てきたのだろうか。それよりまず、正直に答えるべきだろうか、まぁ特に隠す必要はないからいいだろう。


「俺がこの学校に入学する前、お届け物として送られてきたんです。手紙も付いていて、どうやら俺の物らしいんですけれど……」


 スチュアート先生は話の途中で聞くようなことはせずに、時折頷きながら俺の話を聞いていた。話が終わるとしばらくの間、沈黙があった。やがて先生が口を開く。


「………………………………………そうか。そういうことなのか」


 スチュアート先生は何を納得しているんだろう。それより、刀のことを聞いたほうがいいだろう。

 

「あの……この刀は一体何なんでしょうか?」


「……私は以前、この刀を見たことがあるのだ。これは……破邪の利剣だ」


………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………え、どういうこと?


「破邪の利剣って三種の神器の一つの、ですか?」


「その通り。間違いない、私が実際に見たのだから」


 いきなりすぎて何がなんだかよく分からなくなっている。この刀、三種の神器だったのかよ!というか破邪の利剣が俺のだってどういうことなんだよ!!


「すみません、話が急すぎて何がなんだか……」


「そうだな。それよりこの刀を使って、何か変わったことはなかったかね?」


 変わったこと……。そういえば、カルロス先生に負けそうだった時、突然刀を抜くことができたり、体が軽くなったりした。あれは……一体……。


「はい、ありました。体が軽くなったりして戦いやすくなったりしました」


「破邪の利剣の伝説を知っているかね。この刀は真の所有者にしか力を与えない。つまり、この刀がお前に力を与えたのならば、それはお前が持っているべきだ」


 そう言うと、スチュアート先生は刀を俺に渡した。そうだ、刀の他に聞きたいことがある。


「カルロス先生は……どうなったんです?」


「……カルロスはすでにどこかへ消え去っていた。今は捜索中だ」


「そう、ですか」


 結局、カルロス先生から何も聞けなかったな。『あのお方』が誰なのかとか……。でも、これでヴァイス・トイフェルの脅威はなくなったんだ。もう怯える必要はない。


「あの部屋、チャペルの先にある部屋はなんだったんですか?」


「…………あの部屋は昔、ある人物の要望で作られたのだ。なぜあの部屋を作ったのかは分からないが、なにか案があったのだろう。部屋を作るよう頼んでいた人物は死んでしまったから、今となっては真相は闇の中だ」


 それがあの部屋の真実……まだ不確定な部分もあるが、作られた経緯は大体分かった。

他にも聞きたいことが……。


「先生は、この騎士団内に無窮の石があると思いますか?」


「……………それは分からない。もしかしたらまだ、眠っているかもしれないな」


 そして、スチュアート先生はゆっくり立ち上がると医務室の入り口へと向かっていく。何か思い出したのかクルリと振り返った。


「実技テストは明後日だからな。それから、今回は犯人を見つけてくれたこともあり罰則はないと思うが、これ以上は規則を破らないように、デューク・フライハイト」


 スチュアート先生は俺に微笑むと医務室から出て行った。……分かってますよ、それくらい。

今ので様々なことが分かった。刀の正体や部屋のことについて……。


 刀と同時に来た手紙の送り主、裏切りの亡者。何者なんだろうか。なぜ、破邪の利剣が俺の物だって分かったんだろう?


 俺は一晩中考えたが、やっぱり答えは見つからなかった。

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