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白銀のヴァールハイト  作者: A86
2章 対白魔騎士団
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第31話 推理

今回、セリフは多いしいつもより駄文です……。

「皆集まってくれてありがとう」


 図書室、いつもと変わらない場所、変わらない時間帯に俺達四人は集まった。


「それで分かったの、犯人の目的」


「ああ、だいたいね。でも、でも一部想像で考えている所があるから」


 俺は周りを見渡し、人が近くにいないのを確認して、話し始めた。


「まず、ヴァイス・トイフェルの襲撃は二度あった。一度目は図書室、二度目は四階の西側、それであっているよね?」


「うん」


「はっきり言おう。俺達はヴァイス・トイフェルに気を取られたが、実際に見るべきだったのは襲撃場所の反対側だったんだ」


 俺の言葉にクレアとアークは首をかしげる。一方でミリーネは何か気づいたようだ。


「例えば教室Aと反対側にある教室Bがあるとする。ヴァイス・トイフェルは教室Aへと襲撃する。すると教師は教室Aへと集まって教室Bには警備も人も一時的に薄くなるだろ。犯人はそれを狙っていたんだ」


「そんな事、可能なの?」


「生徒は寮、教員はヴァイス・トイフェルの方へ行く。不可能ではないよ。そして、犯人の目的はーー」


「無窮の石!」


 ミリーネが叫んだ。俺はもう一度周りを見渡す。大丈夫、誰も気にかけてないようだ。


「この学校のどこかに無窮の石があるってカレン先生が言ってたことがあるんだよ。もしかしたら犯人はそれを探しているんじゃないかな?」


「うん、俺も同じことを考えていた。実際昨日、図書室の反対側へ行ってみたんだ。趣きのある部屋で、四階の東側の部屋ほどじゃないけれど荒らされていたよ。片付けたつもりなんだろうけど時間がなかったのか、少々雑だったし」


 俺は話を終えると三人は考え込んだ顔をした。


「そ、それだと、その事を先生に伝えないと」


「いや、まだ駄目だ。不確定要素が多すぎる。それに、もしかしたら今夜、犯人と直接会えるしかない」


「直接!?どこに?」


「一つ考えられる場所があるんだ。今夜行う予定だよ」


「あたしも行く。犯人に会ってみたいし、石を守らないと」


「……僕も行くよ」


 ミリーネとアークが手を挙げる。クレアは……手を挙げるべきかどうか悩んでいる。


「それじゃ、そういう事で……」


 俺は急いで、図書室を出た。今からすでに自分もドキドキしている。規則を再び破ることになるのもそうだが何より、犯人と直接会うとなると何が起きるか分からないのだから……。


「ちょっと待ってよ!」


 クレアの声が聞こえた。振り返ると彼女が真剣な顔で立っている。……当たり前だよな、これ。


「おかしいよ!何も規則を破ってまで調べる必要はもうないじゃない!学園長だって深入りしないようにって言うし……」


「でも、このまま何もしなければ死者がでるかもしれないだろ!それを黙っていろって言うのかよ」


「!……でも…」


 俺だって嫌だよ。本当は規則を破りたくない。でも、何もしなければヴァイス・トイフェルの襲撃がまだあるかもしれない。それだけは避けたかった。この真実は俺達だけが知っているかもしれない。場所だけでいい、場所さえ分かれば……。


「どうしてそこまで……?」


「……なぁクレア、リックならこの時どうすると思う?」


「えっ、…………………………ヴァイス・トイフェルの居場所を探す」


「そう、だよな。あいつならそうするよな……」


 突然リックの事を話に出したのは理由がある。リックのおせいで今があるのだから。


「俺さ……あいつが死んだ時に対白魔騎士団に入るかどうか悩んだ事があったんだ。ヴァイス・トイフェルと戦いたくない、その気持ちが強かった。でも結局対白魔騎士団に入ったけれど。……あいつの意思を継ぐのは一つの理由だ。本当の理由は、リックの事を知りたい。あいつがどうして対白魔騎士団に入ろうと思ったのかを知りたいんだ。だから、影響を受けているのかな。時々リックがやりそうな事をするんだ……。今回もそうだよ。それが本当の理由だ」


 クレアはしばらくの間、黙っていた。俺からだとクレアの表情は読み取ることができない。それでも、俺はじっと待ち続けた。


「…分かったわ。でも、私も行く。その方が安心するから」


「……うん」


 今夜、四人で犯人の元へと行くことになった。ヴァイス・トイフェルが潜むと思われる場所へ――

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