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白銀のヴァールハイト  作者: A86
2章 対白魔騎士団
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第29話 罰則そして事件

ここ最近、話がグダグダな気がします。

「だる〜い」


 俺、アーク、クレア、ミリーネの四人は罰則を受けていた。使われている教室は『居残り部屋』。本来は物理実験室に使われているが、最近では居残り以外は全く使用されていないようだ。

 罰則の内容は本の書き取りである。三百ページもある本を渡されたノートに書き写さなければならないのだ。しかも、字も小さいため文字数が多くなる。これは、悲劇に近いことだった。こんな罰則を五回以上も受けたダニエル先生って一体……。

 監督の教師はカルロス先生だった。最初は俺達の様子を無言で見つめていたが、次第に飽きたのか持ってきたであろう書類を書いたりするようになった。

 俺達の方も最初は淡々と書いていたが三分の一が過ぎる頃には、腕が痛くなって休み休みに書くようになった。すでに五時半、一時間半も書き続いてもまだ終わらない。それどころか、半分も終わっていないのだ。こんな罰則、もう二度と受けたくない、素直にそう思った。

 三十分後、とうとう誰も手を動かせなくなった。それでも半分も終わっていない。だが、流石に限界がきていた。あと、もう少し……動け……。


「カルロス先生!」


 突然、他の先生が教室のドアを開いた。耳打ちでカルロス先生が話を聞くとこう言った。


「諸事情ができた。しばらくの間留守にするが、書き取りは続けるように」


 そして、カルロス先生は出てってしまった。それで現在に至る。


「もう〜腕が痛いったらありゃしない!なんでこんな思いしなきゃいけないの?」


「仕方ないよミリーネ……。罰則なんだから」


 ミリーネの我儘をクレアが抑える。誰だって、同じ気持ちだと思うぞ、これは。


「さぁ、話をしてても終わらないからやるぞ」


「……はーい」


 俺達は再び書き取りに戻った。腕は痛いが我慢しなければならない。……だるい。


 二時間たった。無心で書き続けたおかげであと数ページまでとなった。

 ガラッ……

 カルロス先生が戻ってきた。ただ目がおぼつかない状態である。


「どうしたんですか、先生ー」


 ミリーネが心配したのか、カルロス先生をたずねた。先生はしばらくの間無言だったが、ゆっくりと話し始める。


「なんでもない。……それより書き取りは終わったのか?」


「はい、皆終わっています」


 俺も丁度終わった。顔を上げるとどうやら俺が一番最後に終わったようだった。


「どうやらそのようだな。よし、帰っていいぞ」


「それより教えてください。何があったんですか?」


 今度はアークがたずねた。やっぱり皆気になるのだろう。俺だって先生の様子で少し心配になってくる。


「……ヴァイス・トイフェルがまた、侵入した」


教室が不気味なほど静かになったのを感じた。やっぱり誰かがヴァイス・トイフェルを騎士団内に招き入れていたんだ!


「それで、どうなったんですか?」


「……ヴァイス・トイフェルは俺達が倒した。犠牲者はいないから心配はいらない」


「……よかった」


クレアの『よかった』という声が自分の脳内で何度も何度も響いてくる。そう、今回は犠牲者がでなかった。でも、犯人はまだ……分かっていない。


 ヴァイス・トイフェルはどこにいたんだ……?

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