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白銀のヴァールハイト  作者: A86
2章 対白魔騎士団
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第24話 三種の神器

 放課後、俺は再び図書室を訪れた。本に挟まれた地図をもう一度見るためだ。

 先生に、届けたほうがいいかもしれない。あの地図はよっぽど昔に作られた物なのだろう。でなければ、中央に描かれてあった部屋の部分が説明のしようがなかった。それとも、あえて描かないようにしたとか……。

 とりあえず、地図を見てみよう。俺はミリーネが選んだ分厚い歴史書を見つける。そして、地図を挟んだページを開いた。


「……無い!」


 地図は挟まれていなかった。一体どこに?誰かが持ち去ったのだろうか。それとも、ここに挟んでいた奴が取ったのだろうか。真相は分からなかった。ただ、残されたのは地図が挟まれていた本だけだった……。









◇◇◇


 あれから図書室の秘書にも聞いてみたが、明確な答えは得られなかった。今、俺は寮へと戻っている途中だった。悩んでいても仕方がない。地図はなかったのだから。それ以上はどうしようもできない。


「やっほー、デューク」


 声の主はミリーネだった。腕には本を抱えている。


「これから、カレン先生に三種の神器について聞きに行くんだ。先生、三種の神器について知っているんだって。デュークも一緒に来ない?」


「そうだな……勉強は後でいいか。うん、一緒に行こう」


 こうして俺とミリーネはカレン先生のところへと向かうことになった。

 先生は二年の教室にいた。どうやら、ミリーネは先生と約束していたのだという。


「来ましたよ先生」


「ミリーネ・アスタフェイそれと、デューク・フライハイトね」


 そうだ、俺はこの先生と直接会うのは二度目になる。一度目は叱られたんだ……。気まずいのにどうして一緒に行こうなんて思ったんだろう。今、後悔してもしょうがないけれど。


「それで、話してください。三種の神器について」


 ミリーネが真顔になる。こいつが真剣になるのを見るのは初めてだな。


「……いいでしょう。まず最初に言いますが私が言うことは全て正しいとは限らない。中には人から聞いたのもあるわ。それでもいい?」


「はい!」


 ミリーネが答える。俺もそれでいいと思った。


「三種の神器は自然の理を逆らう力を持つというのは知っているでしょ」


「はい、図書室で知りました」


「私は三種の神器なんて信じていなかった。ただのおとぎ話だって相手にもしなかった。でも……私は今、三種の神器の存在を信じている」


「つまり、見たんですか!?神器を?」


「……ええ、ツァイトの鏡をね」


 驚いた。まさか、三種の神器を見た人がいるだなんて。しかも、こんな間近に……。


「男子生徒だったんだけどね。おれの家宝です、と言ったの。当時ここまで忙しくなかったから半分冗談で見せてみてって言うと、突然彼が消えたの。そして私の隣に立っていたわ……」


 先生の顔が少し暗くなる。よほどショックだったんだろう。ありもしなかった物を見せられて。


「それで、その人は?」


「死んでしまったわ。ヴァイス・トイフェルに喰われて……」


「そんな……」


 誰だったのか分からずじまい……か。でも、これで三種の神器が存在することが分かった。

 一体、その人は何者だったんだろう?家宝だってのは本当なんだろうか。


「三種の神器は、それぞれ違う力を持っているわ。破邪の利剣はどんな命も焼き尽くし、ツァイトの鏡は時を止められる。無窮の石は不死身になれると言われているわ」


「それって本当なんですか?」


「さぁ、ツァイトの鏡は本当だけど他の二つは人から聞いただけだから分からない。それでも、どこかにあるというのは信じているから。……一つだけこの騎士団内で噂があるの」


「噂?」


「そう、昔の理事長がこの騎士団のどこかに……無窮の石を隠したと言われている」


「えっ、どこですかそれ!」


「分からない。あくまで噂だけど……ね」









◇◇◇


 カレン先生の話はそれで終わりだった。イメージと違うな……カレン先生。やっぱ怒ったときだけ怖いだけなのかもしれない。

 俺達は先生に挨拶をした後、自分達の部屋へと向かった。


「それじゃあデューク、まったねー」


 ミリーネと別れると校内がいきなり静かになる。あいつ、あんなことをしてていいのか?試験で切り捨てられるかもしれない緊張感はないのだろうか。

 あいつのことだし、俺が忠告をしても聞かなそうだ……。俺は校内を歩きながらそう考える。

 俺は……うかうかなんてしていられない。リックの約束のためにも、こうしている今でも差をつけられている。黒の騎士団を目標に目指すのだ。

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