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白銀のヴァールハイト  作者: A86
2章 対白魔騎士団
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第23話 図書室にて

「図書室に行くのはいいけど、何しに?」


「勉強。待ち合わせている子がいるから早く行くぞ」


 ヴァイス・トイフェルが侵入してから二日がたった。あれから原因を突き止めているけれど、まだ何も分かっていない。一体どこから侵入したのか判明できていないのだ。


「準備できたよ。行こう」


 せめて、なんでこの地域にヴァイス・トイフェルがいるのかを知りたいな。あの後、カルロス先生に聞いたらヴァイス・トイフェルはこの地域にいないって断言してたし……。

 とりあえず今は図書室へ行こう。そこでなら少し気を紛らわせることができるかもしれないから。









◇◇◇


「待ってたよ、二人共。さぁ座って」


 俺達はクレアの言われた席に座る。図書室は昨日は一日中閉まっていたが、今日から再開をしていた。それでも、図書室にいる人数は少なかった。

 改めて見るとこの図書室はとんでもなく大きかった。天まで届きそうなほど本棚が高く、そこにぎっしりと本で埋め尽くされている。上の方にある本は落下防止のために開閉できるストッパーがあった。


「あんなに高いと、本が取れないんじゃないか?」


「あぁ……あれらの本棚は下で読みたい本を選ぶと、機械が選んだ本を取ってきてくれる仕掛けなの。機械が取り出したい本の所に着いたらストッパーが外れるようになっているんだって」」


「へぇー、そうなんだ」


 俺が感心していた時、快活な声が聞こえた。


「あー、もう来てたんだ」


「ミ、ミリーネこっち」


 この声と名前、どこかで聞いたような……。見ると一昨日のナイトの授業で質問をしてたりクレアの安否を気にしていた子だった。


「紹介するね。私のルームメイトである――」


「ミリーネ・アスタフェイです。よろしくね二人共」


 ミリーネは俺達に握手を求めた。握手をすると彼女は席に座る。……やたら明るい子だな。


「俺の名前はデューク・フライハイト。クレアとは幼馴染みなんだ」


「僕はアーク・クラムディン。よろしく」


「それじゃあ、勉強を始めまようか。分からないことがあったらここで参考書を使えるし……」


 するといきなりミリーネが巨大な本を持ってきた。ここの図書室は背の高い本棚の他によく読まれる本は普通の本棚に入れられている。参考書も普通の本棚に入れられていた。でも、この本は……。


「この本、何?」


「歴史書だよ。細かく言えば一番科学が発展した時代について書かれた本。その中でー好きなのがー、三種の神器だよー」


 クレアがまたそれか、という顔をしている。ミリーネが開いたページを見るとそこには、三つの絵と説明文が書かれていた。それぞれ剣と鏡と石の絵が描かれている。


「三種の神器って何なの?」


「はっきり言えば当時の科学で作られた自然の理に逆らう力を持った神器のこと。破邪の利剣とツァイトの鏡、そして無窮の石。これが神器それぞれの名称だよ。でも、三つとも見つかってないからまだ伝説だけどねー」


 自然に逆らう力を持つ……か。そんな物が実在したらとんでもないことになるな。悪用なんてされたら特にだ。


「あれっ、なにこれ?」


 ミリーネがページをめくっていると古い羊皮紙が挟まっていた。広げるとかなり大きかった。どうやら、対白魔騎士団の見取り図のようだが……。


「地図、だよねこれ」


「地図のわりには随分古いけどなアーク」


「どうしてここに……」


 クレアが不思議がっている。確かにそうだ。そもそも誰がここに挟んだんだろう?

それよりこの地図一箇所おかしい所が……。


「なぁ、この地図中央に書かれている、これ。こんなの校内にある地図には書かれていなかったぞ」


「あっ、本当だ」


 アークも俺の違和感に同意する。この地図だけなのか……。しかも中央にある部屋?らしき所に星印がある。これはなんなんだ……。


「なんか、見てはいけないものを見た気がする。何もなかったことにしようよ」


 ミリーネが提案をした。そうだな、これ以上深読みするのはまずいかもしれない。

 俺達は地図を挟んだまま本をもとに戻した。それと同時にチャイムが鳴り、俺達は教室へと戻る。あの地図しか描かれていない部屋は何だったのか?結局のところ分からなかった。……この時は。

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