第17話 朝会
「早く食堂へ向かおう!」
俺達は今、朝会のある食堂へと走っていた。
まだ対白魔騎士団に来て間もない今、俺達にとってここはまだ迷路同然の場所だった。
しばらくの間、右往左往していたがたまたま校内の地図を見つけ、場所が分かったため急いでいるところだ。
「間に合うかな」
「大丈夫、まだ数分はある。この先を進めばたどり着くからな」
三分後、俺達は無事食堂にたどり着いた。教師の言われるがままに席に座った。
テーブルには食事がすでに置いてある。
あちこちのテーブルでは様々な人がおしゃべりに花を咲かせていた。その中で一番話題に出てる話は『称号』のことだ。
称号とは幾分か訓練を受けた兵士がもらう役職のことだ。今から三ヶ月後にあるテストでどの称号が適応かを判断される。種類は全部で六つある。
キング、クイーン、ルーク、ビショップ、ナイト、ポーンのことだ。それぞれ役割も立場も全く違う。ざっと言えば、攻撃側はクイーン、ルーク、ナイトで守備側がビショップ、どちらにも回れるのがキングとポーンだ。
「アークはどの称号がいいと思ってる?」
「キングかな。難しかったらビショップに選ばれると思う。デュークは?」
「俺はナイトだな。刀のこともあるし……」
称号について細かい説明はまだある。でも、その話はあとだ。
「皆さんお静かに!」
カレン・クラシア先生の一声で一同が黙る。学園長が前に出て朝礼台に立った。
「では、これから新入生に注意事項を説明しよう。まず、昨日も言ったが三階の右奥にある部屋に近づいてはならん。あそこはもろくて崩落の危険性があるからな。それから入ったばかりの生徒には大変物騒な話になると思うが、今年入った生徒は480人だ。これは例年とほぼ変わらない人数だ。しかし我々はここまで人数を必要としていない。そこで毎年のことだがこの480人を250人まで減らしているのだ。減らし方は、今から三ヶ月後のテストで上位から数えて250位までを範囲としておく、それ以下ははっきり言おう……退学だ」
周りが一気にどよめく。そりゃ、そうだろう。俺だって少し、動揺している。入学したばかりなのに退学という言葉を突きつけられたのだから。
「もちろん途中で退学するという手も構わない。己の限界を感じ、これ以上先へ進めないと思ったならな……。だが私は、出来れば最後まで諦めないでほしいとおもっている」
◇◇◇
夜、俺は何故か眠れなかった。就寝時間がかなり過ぎている。寮はしんと静まり返っていた。
今日はことさら心が重かった。朝会での話はもちろん、一日中学校を歩き続け、学校内を案内された。だとしてもまだ道を覚えきれていない。
480人から250人まで減らすというのは驚いた。三分の一近くの人数が削られると思うと震えが止まらない。それほど、この学校の門は厳しかった。
明日から授業が始まる。ここからが本格的な戦いが始まる。
熾烈な競争が、始まった。




