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白銀のヴァールハイト  作者: A86
2章 対白魔騎士団
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第16話 寮での生活

「えっと、四〇二号室は……」


 俺は今、寮で自分の部屋を探していた。

 寮は学校の少し外れた高台の所にある。女子の寮は男子寮の反対側にあるらしい。

 上級生の導きで着いた後、俺は鍵をもらい部屋を探していたのだ。中は若干、古めかしい所こそはあるが、全体的に新しくできたんじゃないかと思うほど綺麗ではある。

 俺の部屋は四階の階段を上ってすぐ右にあった。ドアを開けるとあいつがいた。


「やあ、待ってたよ」


「ア、アーク!?」


 そこにはすでにルームメイト、アーク・クラムディンがいたのだ。リビングには俺達の荷物が置いてある。

 

「本当に驚いたよ。まさか君が僕のルームメイトだなんて」


「俺も驚いているさ。それよりお前のファミリーネーム、クラムディンなんだな……」


「電車で出会ったときは少し恥ずかしかったから言えなかったんだ……」


 部屋は通路や受付よりも綺麗だった。リビングは広く、一人一人の部屋となる空間があってとても充実している。


「デューク、これが明日の予定表だ」


机に明日の予定そして、一週間の時間割表も書かれてあった。平日は七時間目まであるが土曜日は五時間目までしかない。それがすごいかどうかは分からないけれど……

今の時間は九時半だ。明日は学校案内や、授業の説明がある。本格的に始まるのは明後日からだ。


「それにしてもこの学校大きいよな」


「うん、外観はフランスのモンサンミッシェルみたいだしね」


「あぁ、そうだよなぁ……(モンサンミッシェルってなんだっけ)」


もう夜は更けている。空はまるで漆黒の海に明かりが灯っているかのように美しい。月は形の整った半月だ。


「もう、寝ようか。明日から早いし」


「うんそうだね。おやすみ」


 部屋の明かりを消し、俺達はそれぞれのベットに潜り込む。窓からの光だけが照らしている状態だ。

 式の途中で学園長が俺を見たのは気のせいだよな。その割には目の視点があったし……。何か関係があるのだろうか?でも、あまり思いつかないし、やっぱり気のせいだろうな。


  ……クレアと出会ったらどうすればいいんだろう?そもそも俺が出会う権利なんてあるんだろうか?彼女と出会う権利なんて……。まだ本人がこの学校にいるとは断定できない。まずは『クレア・リース』という女子が何者かが分からなければならない。話はその後だ。


 そうして自分の中で結論が出たと思い、気づいた頃には深い深い眠りについていた。








 


 ……深い眠りでは夢を……見ない。

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