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白銀のヴァールハイト  作者: A86
2章 対白魔騎士団
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第15話 城

なんか、駄文ですみません……。

 最初に目にしたのは巨大な門だった。その門がゆっくりと開き、俺達を通す。階段を上り、再び大広間へとたどり着いた。そこには一人の人間の女性が立っていた。黒い正装服で見た目は三十代前半に見える。正直言ってちょっと怖い雰囲気がある。


「ようこそ皆さん。まずはご入学おめでとうございます。これからあなたがたはこの学校の生徒です。許可がない限り無駄な外出は禁止しておりますのでお忘れなく。まず、準備が出来次第、講堂へあなたがたをお連れします。そこで出席を取りますので名前を呼ばれたら静かに手を挙げてください。ここにあなたがたの出席簿を記しておきますので、見るのをお忘れなく。それでは少しお待ちください、準備を初めますので」


 それ以上言ったあと、女性は奥へと消えていった。その途端に一同が出席簿を見る。おしくらまんじゅう状態で見るのがやっとだった。


「やった、僕達同じクラスだよ」


「そうか、もしかしたら寮も同じかもしれないな」


「うん。それにしてもさっき話をしてた人、なんか怖そうだったよね」


「やっぱりお前もそう思ったよな」


 思わず二人で笑ってしまう。そういえば、いつの間にかダニエルさんがいなかった。きっとあの女性と一緒に準備をしに行ったんだろう。

 この広間には絵画がたくさんあった。人の絵や、風景の絵といろいろある。……その中で一枚変わった絵があった。その絵は一匹の蜘蛛が描かれていて、一人の女性を襲っている絵だ。あの絵だけが他と違っている。それに、少し怖い気がした。


「なぁアーク、あの絵どう思う。蜘蛛が人の女性を襲っているあの絵」


「えっ、少し不気味な感じ……かな」


「………だよな……」


 違う、それだけじゃない。何かもっと……


「皆さんお静かに。準備ができました。適当に三列に並んでいいので来なさい」


 いつの間にか女性がやってきていた。まぁ、絵のことは気のせいだろうな。それより刀を隠さないと……。









◇◇◇


 女性のあとを歩き続ける。古めかしい通路や階段を通って。門を開けるとそこは劇場のような場所で上級生が何人か座っている程度だった。舞台にはダニエルさんや先生と思われる人達がいる。

その中で一段と威厳のある人物がいた。白い髪で、目が青い。紺色の貴族が着るような中世のような服を着ていた。


「では、これから名前を呼びます。呼ばれたら前の席から座っていってください。……アーク・クラムディン」


 アークが手を挙げ前に出て席に座った。

 それから次々と名前を呼ばれていく。そろそろ俺が呼ばれる頃だな。


「……デューク・フライハイト」


 ……きた。俺は即、手を挙げた。そして、そのまま前に進み、女性の真横を横切る。舞台にいる威厳のある人物はじっと自分を見ている気がする。刀、隠しきれたかな?

 そんな心配は一度置いとき、俺は前から二番目、左から三番目の右側にある席に座った。一気に緊張感がほどける。

 名前が呼ばれている間はずっと待っていなければならない。俺は早めに呼ばれたのでそれは、少し苦痛だった。アークなんて一番最初に呼ばれたんだからもっとつらいか、そんなことを思っていた時――




「……クレア・リース」


「………!」


 もう少しで後ろを振り向くところだった。今、クレアって……どうしてここに?彼女は対白魔騎士団に入るような奴じゃなかったのに……。

 彼女がどこに座ったところは分からない。前の方にいたからだ。でも、少なくとも俺のクラスにはいないことは雰囲気で分かる。

 それよりここにクレアがいる理由が分からなかった。……いや、ちょっと待て。いくらなんでも『クレア・リース』という名前をきいただけで本人と決め付けるのは早いだろう。顔を見てないんだし……別人の可能性がある。

 だけど、もし本人だったらどうする?どう向き合えば……。あの三年前のことをどう謝罪すればいいんだ?俺は頭の中がぐちゃぐちゃになりそうな感じになった。それだけでさっきまでの苦痛を忘れてしまった。


「それではこれから入学生の儀式を行います。まず始めに学園長によるお話です」


 気づいたとき、いつの間にか生徒全員が座っていた。学園長及び、威厳のある人物が立ち上がる。


「手短に終わらせよう。カレン・クラシア先生が言ったと思うが、当学校は全寮制で無駄な外出は禁止している。消灯時間は十時であることもお忘れなく。あともう一つ、三階の右奥にある部屋に近づいてはならないぞ。以上だ」


 それからしばらくの間、この学校での規則のことや在校生のスピーチがあった。終わったときには夜の九時になっていた。


「皆も疲れただろう。今日は休み、明日に授業のことを話そう。それでは、解散」


 その言葉を合図に一同は上級生の導きによって寮へと向かうことになった。俺もクタクタだったし、それはとてもありがたいことだ。

 ……クレアはどこにいるんだろう。

 ハッと俺は気づき周りを見渡した。でも、結局彼女を見つけることは出来なかった。

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