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街を歩けばパンツが生えているのを見つける

今、目の前にあるものは果たして現実なのだろうか...

 

   視覚 触覚  聴覚 嗅覚 味覚


これらで感じ取られるものはただの脳の電気信号に過ぎない

現実とはなにか、夢とは何か

もし五感を感じ取ることのできる夢を見続けているとしたら

その夢は現実といえるのだろうか......


そんなことを俺が考える様になったきっかけは、

道端で落し物を拾い、一人の少女と出会ったことに始まる。



     ×       ×       ×

 


「みんなー!!!盛り上がってきたかな~~~?!!!

 こっからもっと、盛り上がっていくよお!! 」

 

巨大なビルが、立ち並ぶ都市の真ん中。

通勤ラッシュの早朝。

道路を塞ぐように設営された大きなステージ上で、

ツインテールがよく似合う、制服のような衣装をまとった少女は

その前に集まる人々に向かってマイクで叫んでいた。

最近この地域で、話題となっている歌手のARIAだ。

その彼女が街中でゲリラライブをしていた。

彼女の言葉に答えるように、そこに集まった観客もまた、大きな歓声を上げる。


再び手に持ったギターで少女は街全体に響くような爆音を鳴らし、

歌を再び歌い始めた。

  

歌われているのは、最近出たばかりの新曲。

彼女の活動スタイルは異質で、活動をゲリラライブに限定していた。

その為にそれを聞こうと観客が続々と増えてきている。

その結果、街で一番交通量が多い道路は一人の少女の歌によって道がふさがれ

道には行き場を失った車がひしめき合っていた。

  

さらにライブが盛り上がり始めたころ、

突如後ろから多数の耳障りなサイレンが鳴り始めた。

  

「無許可で道路を占拠しているものに告ぐ 

 今すぐステージを撤去しろ」



街の警備隊だ。

いくら彼女が人気者でも

街の交通網をマヒさせていることに変わりはない。

当然警備隊が、来ることとなる。

こうなっては彼女はライブをやめるしかないだろう。

  


だがしかし…


彼女は歌うことをやめなかった。

  

「…ちょっと邪魔が入ったけど

まだまだいっくよーーー!! 」

  

少女は警備隊の言葉を無視して、

一瞬静まり返った場を、持ちなおそうとする。

再度警備隊は警告した。

   

「今すぐそこから退去しろ

 さもなくば貴様をこのユニオンから追放するぞ」

  

警備隊の警告は強くなる。

しかしまたも彼女は警告を無視する。

  

「次の曲は『アライt―――!?


突如耳障りな甲高いモスキート音が街に響き渡る。

それは彼女のマイク音声が警備隊によって電波を遮られて

その残りを受信していたステレオが一部だけを再生してしまったのが要因だ。


「いいか、今すぐそっちに行く、そこから動くなよ」

  

数人の男が少女のもとに向かってくるのが見える。

  

「やばっ!! 」


少女はステージから飛び下り観客の中をかき分け逃げ出す。

追いかけようと警備隊も足早になるがとうとう見失った。

  

「逃げたか、あの中を逃げられては見つからん...仕方ない

 今は交通整理のが先だ、この状況をなんとかするぞ」

   

警備隊のリーダらしき男は、この麻痺した道路の解消を優先し

少女のことは後回しにすることにした。



     ×     ×     ×



「くっそ…なんでこんな真昼間から呼び出されねーと

 行けねーんだよ…」


青く澄みきった空から、光輝く太陽光が、俺の体に照りつける。

ただでさえ夏の都市部は、ヒートアイランドとか呼ばれる現象によって、クソ熱くなるというのに…

今日という太陽がハイパー元気な日に限って、友人から呼び出されるなんて、つくずく俺はついてない。

俺は、恨みつらみのこもった目で地面を眺め歩いていた。

そうやって歩いている地面に何かが落ちているのに気が付いた。


「…ん? なんでこんなものが道端に…」

   

縦13,0cm横8,0cm厚さ約1,0cmの板だ。

   

それはクリスタルストレージと呼ばれるハイテク電子端末で――


昔の『ケータイ』が進化したようなもので、この世界においての必需品だ。

機能としてはメンバーズとしての身分証明書,連絡機能,財布,DOMを使った鞄として機能が詰まっていて、その他にもアプリケーションを入れることでその機能は無限大に広がってゆく。


ちなみに DOMとは、物質をデータ化、

そして端末の中に入れて、出したいときに再度物質化できる技術のことだ。

それにちなんで「クリスタルストレージの家」という言葉もあって、

クリスタルストレージがあれば家を作るのは容易であるという意味だったりする。

まあ実際に家が出せるほどの容量をこの端末は持ち合わせていないんだけどな。



「まさかこれを落すような馬鹿がこの世にいるとはなあ…

 たぶんロックはかかってるだろうが一様、

 警備隊に届ける前に、確認でもしとくか…」

  

慣れた手つきで俺は電源をつけ、画面をスライドする。

   

「まじかよ...ロックかかってないのか」

  

ストレージにはロックはかかってなかった。

いくらなんでもセキュリティーがおざなりすぎる。

だが俺だって一、善良たるユニオンのメンバーズ、

これを落として困っている持ち主に届けてやろう。

そう思い、身分証のアイコンをクリックする。

すると画面に名前と簡単なプロフィールが出た。

  



  『ノア・コリンズ』

   性別・女性

   年齢・15

   所属・未所属

  



どうやら持ち主は同じ年の少女だ。

しかし住民権がどこにも所属していない。

最近増えてきている移民の一人ということなのだろうか?

とりあえずこの辺を適当にふらついていれば、

何かを探している少女に会うだろう。

そいつに声をかけてやればたぶん、間違いはない。

少し時間はかかるかもしれないが…

このクソ熱い中、呼び出した友人を待ちぼうけさせるのには

ちょうどいい。

  

しかしその落とし主は俺が思っていたよりも

想像以上の速さで見つけることができた。


そして――今まで生きてきた中で一番衝撃的な出合い方だった気がする…





『パンツだ!―――パンツがベンチから生えだしている!! 』

  




その光景を見たとき俺は一瞬、目をそらした。

だって真夏の炎天下の中―――コートにその上にも厳重な、防寒具。

おまけにマスクとサングラスってっ。

いかにもやばそうな奴のそれを見ても気味が悪いだけだもの…

  

道行く人々が、ちらっとそのパンツを見ては

  

“あちゃ~…見るんじゃなかっったー…”

 

って顔をして通り過ぎてゆく。

  

正直俺だって落し物さへ拾わずにいつも通り過ごしていたのなら、

こんな奴に話しかけたくはなかった…

だがしかし、もしかしたら、こいつがあれの落とし主かもしれない。

いや落とし主だろ、だっていかにも頭があれな感じがするし。


「おいパンツ」

  

俺は投げやり気味にパンツに話しかける。


ビクッ!!

  

パンツが小さくびくつき

ゆっくりとパンツが逆立ちして人の姿となった。


「お前なんか探してるのか? 」

 

俺はゆっくりと言葉が通じるように話す。 


「…ストレージ落とした」

 

不審者が答える

ビンゴ!!こいつが落とし主だ。

だがなぜだか正直うれしくない。

たぶんそれは、こいつの登場の仕方が

衝撃的すぎて、落とし主が見つかったよりも

不審者みつけちゃったな、って感想が先だったからだと思う。

絶対落とし主だろうし、さっさと渡そう。

そして、まだこの不審者よりは信用できる友人のところに行こう。

 

「それじゃたぶんこれだな」

 

俺は先ほど拾った落し物を不審者に渡す。


「なんで...あなたが持っているの? 」

  

不審者が俺をまるで


“盗んだのはあなた? ”


って目で見てくる


「落ちてるのを拾ったんだよ」

  

とりあえず盗んでないことを伝えて

お礼の言葉が返ってきたら即退散しよう。


「ふーん...じゃあ―――」

  

不審者は俺が盗んでいないということが分かると

その場からすぐさま立ち去ろうとした。

お礼は!?

その常識のない返事に呆気にとられた俺は

  

「おい....」

  

さすがにカチンと来て不審者の肩をひん掴んだ。

  

「ひゃ...」

 

とかすかに声が聞こえるが、例え女の子が相手でも

俺はこの軽率な奴に一言、カツを入れてやらねばならない。

  

「お礼ぐらいは言うべきだろう、ノア」


なんとなくお前の情報見てんだぜアピールのため

名前を呼んで止めてみる。

すると不審者が先ほどまで立ち去る一手をとっていたにもかかわらず

今度は俺にぐいぐいと近づいてくる。

 

「あなたどこまで見た?

どこまで知ったの?! 」

 

まるで声を変えるかのようにムリをしているような

しゃがれた声で不審者が詰め寄ってくる。

  

「鞄の中は見たの?! 」

 

不審者がさらに詰め寄ってくる。


「他は見てない!!名前だけ見たんだ! 」

  

あまりに近い――というかこれ以上寄ってくるなし不審者! 離れてほしさに叫んだ。

それを聞くと不審者はいったん俺と距離を置いた

  

「ちょっとこっちに来て! 」

  

と手を掴まれた。止めてくれ! そんな怪しい手で俺を連れ去らわないでくれ!

まだ、顔とかがわかる不審者ならいいんだけどな―――ってそれじゃ不審者でも何でもないか。


「ちょっと待て、どこに行く気だ」

  

「そこのファミレス!! 」


返ってきた返答はあまりにも、この状況に場違いな名前だった。


ああ...ファミレスですかそうですか

もうちょっと怖いお兄さんたちのいるところにでも連れられていくのかと思って

すごく肝を冷やしましたよ...はぁ

 

とりあえず炎天下の中で、話すのは俺も嫌なので

不審者に連れられてゆくことにした。


「で、どこまで見たの? 」

  

不審者が俺に聞く。

  

さっきから落し物届けてやっただけのに、逆切れされてる気がする…

さすがに寛大な心を持った俺も苛立ちが頂点に達してしまった。

  

「その前にお前は、拾ってやったことに対するお礼を言ったらどうなんだ! 」

  

不審者の問いかけを無視し、俺は声を張り上げ怒鳴った。

少々の沈黙を挟んだ後

 

「ご...ごめんなさい....

 拾ってくれてありがとう」


先ほどまでとは違い、もうしわけそうな声で謝ってきた。

以外にも素直に謝られたので俺も怒りが収まる。

そして俺は先ほどの問いに答える事にした。

  

「見たのは、落とし主を探すために見た身分証のところだけだ、

 他は見てない安心してくれ」

「他は本当に見てない? 」 

「ああ嘘はないぞ」

  

そういうと不審者は安心したのかほっと溜息を洩らした。

  

「というかお前、そのかっこ…怪しいぞ」

  

会った時から彼女はずっと、厚手のコートに加えてニット帽やマスクおまけに

黒くて大きいサングラスをしている。

その状態でファミレスに入ってきて、そして未だに一つも脱いでない。

先ほどから周囲の人々からの死線が痛い、やめてくれ――――俺まで不審者扱い食らうだろっ!!

  

「こ...これはその、外が寒いから」  

「そと寒くないよな?というかお前スゴイさっきから

 あつそうだよぁ」  

「えっと...外にはいっぱい花粉が飛んでいて」 

「いやいや そこまで厳重にするほど飛んじゃいねえよ」 

「えっと...えっと....」

 

不審者はとうとう黙り込み、ドリンクバーから持ってきた

飲み物を一心不乱に飲み続け――それからむせてしまった。

さすがにやりすぎたかもしれない、少し俺は反省した。

   

「おい大丈夫か? 」

  

紙ナプキンを数枚彼女に渡そうとしたその時だった。


    カラン…

  


マスクを外そうとした彼女が、一緒にサングラスを落としてしまいそれが

テーブルに転げ落ち――彼女の顔が見えた。



「お....おい お前って!! 」

  

  

そのマスクの下から現れた顔立ちの整った顔に

俺は一瞬、言葉を失った。

 

初めてしっかり描いた作品です。

意外と難しいですねw でも頑張っていきますよ!


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