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自己診断の罠

作者: 霜月希侑


怠け、甘えから抜け出したい。


「ご飯食べれてる?」

「夜は眠れてる?」

よく聞かれるけどご飯も食べれているし、夜も眠れている。寧ろ食べ過ぎ寝過ぎだ。

ご飯も食べれて夜は眠れている時点で私は病気ではない。

「それなら大丈夫だね」

私の答えを聞いた誰もがそう答える。

だって私は怠けているだけだし、自分に甘いだけだから。





それでも、頑張らなくて良い理由が欲しくて

心療内科を受診してしまった。

今の時代、誰でも診断つくから。

本当は怠けているだけの私は世界一醜い。

もっと辛くても苦しくても一人で耐えて

頑張っている人がいるのに私は卑怯な人間だ。

毎日、受診したことを後悔する。

怠けている自分がますます嫌いになる。





毎日、罪悪感でいっぱい。

自分以外にも同じ人がいるんじゃないかって

期待してネットで検索する。

出てくるのは自分よりもっと酷い状況で

酷い症状で本当に病気の人たちばかり。

心も体も病みながら必死に頑張っている人がいる。

それなのに健康な私は何も頑張っていない。

怠けて自分を甘やかしてただでさえ醜い自分を更に醜くしている。





処方された薬は二週間以上継続して内服しないと効果が出ない。

それなのに私は涙が止まってしまった。

出勤前も勤務中もどんなに頑張っても

止まらなかった涙が止まってしまった。

まだ薬の効果なんて出てくるはずないのに。

こうしてまた、私は病気ではなくて単なる怠けだと証明された。

私が受診しなければ私が薬をもらわなければ

本当に苦しんでいる誰かが救われたかもしれない。

今はとても後悔している。





これからは怠けずに自分に厳しく生きていきたい。

甘えを許さずもっと真面目に生きていきたい。

もっと頑張って仕事でもプライベートでも

誰かの役に立つことが

私にできる唯一の罪滅ぼしだと思いたい。

謝って許されることではないけれど、

二度と同じ過ちは犯したくない。

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