0番 プロローグ
これからどうしようか。
途方に暮れながら、彼はそう呟いた。
家を飛び出し、上京してから3ヶ月。
彼の貯金は底をついており、財布の中も雀の涙程度しか無く、明日食べれるかも怪しい。
「次のバイトの給料日は…」
そう声に出しスマホで日付を確認すると、次の給料日まで10日も掛かる事が分かった。
「腹減ったなぁ…」
ここ最近まともな飯を食べておらず、そろそろ体力的にも限界がきていた。
近くのコンビニに入り、惣菜パンの売り場に行くと俺は思わず顔を顰めてしまった
「また値上がりしてるよ」
そう愚痴を吐いたあと、俺は焼きそばパンと水を買い店を後にした。
店を後にし、帰路に着いている途中に俺は怪しげな老婆に引き止められた。
「お前さん、何か占ってかないかい?」
俺は宗教の勧誘か何かだと思い、老婆を無視してその場を後にしようとした。
「お前さん、お金に困っておるじゃろう。それに周りと馴染めずにいる。親にも助けてと言えないじゃろ?」
老婆にそう言われ俺は足を止めた。悔しいが全て当っている。
「今回は特別に100円で占ってやるぞ」
そう言われ俺は全財産236円の中から100円を取り出し占ってもらう事にした。
「何を占いたい?」
老婆はタロットカードを広げながら言った。
俺はこれからの事占ってもらう事にした。
老婆はタロットカードの束を混ぜ、一通りカードを混ぜた後山上からカードを1枚めくった。
「愚者…」
無計画に家を飛び出してきた愚か者の俺には、ピッタリなカードだ。
「愚者の正位置には始まり、自由と言う意味がある」
老婆はそう言い俺の手を握った後こう言った
「幸運を…」
その後俺は再び帰路に着いている途中に、工事現場を通りかかった。
その時上から危ないと言う声が聞こえ、声がした方を向くと。鉄骨が落ちてきており、もう目の前に迫っていた。
その時世界がとてもゆっくりになり、俺はふと占い師が言っていた事を思い出した。
「何が始まりだよ…終わりじゃねぇか…」
そう言った後、俺の目の前は真っ暗になった。
_________________________________________________
「____い、おーい!」
(あれ?声が聞こえる?確か俺は…落ちてきた鉄骨の下敷きになって…)
そう思い俺は恐る恐る目を開けると目の前には変わった服装の巨漢が立っており、俺は思わず目を見開いてしまっていた。
「あっ起きた、お前道の真ん中で寝てんじゃねーよ。全く…」
何が起きたのか分からず、取り敢えず起き上がり周りを見渡すと俺はその光景に目を疑ってしまった。
「えっ…?」
兎や猫の様な動物が二足歩行で歩いていたり、その動物と人が普通に会話していたりしていた。
起き上がって早々に、周りを見渡す俺を巨漢と周りの人達は奇人を見るような目で見ていた。
俺は状況を整理し、深く息を吸った後巨漢にここは何処か尋ねることにした。
「すみません…ここって何処でしょうか?」
「何処って…ここはリベルタス王国だが?もしかしてお前、外から来たのか?」
俺は今にも混乱しそうな頭を振り、自分が何処から来たのかを話す事にした。
「俺日本っていう国から来たんですけれども…」
「ニホン?聞いた事もねぇな…」
巨漢は首を傾げた後、すぐにその場を離れたさそうに言った。
「そんな事よりもう道のど真ん中で寝るなよ」
周りの人は俺を白い目で見ており、隣の人と耳打ちしあう人もいた。
巨漢が場を離れたあと俺もそそくさと逃げる様に、場を離れることにし鞄を持ったあとその場を後にした。