表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

ザマァ・タロウ①

「このギルドを追放する」


 記憶の中の父親は朴念仁(ぼくねんじん)だった。話をする時は決まって自分の自慢話。しかも、そのほとんどが嘘か本当か分からないような話だ。息子である自分から見ても、彼はろくでなしだったと思う。けれど、仕返しをされるほど愚かだったとは思わない。


 小さな街のギルドを経営していた父は、一人の男を解雇した。理由は単純な事で、仕事に対する姿勢だ。タロウと呼ばれていた男はその実力を隠しいつも簡単な仕事ばかりこなしていた。本人の性格的にあまり目立ちたくないという話だったような気がする。


 ギルドの経営というのは、中々どうして難しいもので、小さな実績を積み重ねるよりも、大きな実績が一つあれば、依頼が潤い経営は安定するそうだ。


 父はタロウが実力を隠していた事に気づき、危険な魔物の討伐依頼を受けるように頭を下げた。けれど、タロウは『そんな実力はない』の一点張り。だから父は、タロウを解雇して新たな仲間を雇った。


 すると、解雇されたタロウは今まで隠していた実力をあらわにし、父に対抗するようにギルドを立ち上げた。タロウのギルドは危険な依頼を次々とこなし、大きな実績を沢山積み上げ、街で一番のギルドにまでなった。


 タロウのギルドに人や依頼は流れ、父のギルドの経営は傾き、父はどうにかこれを解決するために、暴挙に出た。自身のランクよりも遥かに高い討伐依頼を単身で受けたのだ。もちろん、父は帰ってくる事はなかった。


 それから数日して分かった事だが、その討伐依頼というものはタロウの仕組んだ狡猾な罠だった。本来タロウのギルドに行くはずだった依頼を断り、父のギルドに行くように仕向け、父を単身で行かせるように煽ったのだ。


 町の酒場で武勇を語るようにタロウの女たちが触れ回っていたのを覚えている。俺が生まれて8回目の春に起こった話だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ