今のカクヨムって読まれるの? ――まあ、テクニックさえ学べば読まれるんじゃないかな? それに開拓されていない分野もあるし、好きなこと書いてお小遣いをもらえるかもよ
わたしはカクヨムとなろう両方で作品を公開している。
そんなわたしから見たカクヨムの現状をお伝えしたいと思う。
わたしがなろうで作品を公開し始めたのが2017年の4月。
対するカクヨムが2018年5月だ。
当時のカクヨムの印象は「読者などいない作者の相互だらけ」だった。
それで、なろうをメイン、カクヨムを作品のバックアップとして使わせて頂いていた。
当時、カクヨムは作者同士のポイントの投げ合いが多発していた。
あまり読まれていないのにポイントばかり肥大する作品が多数あったのである。
現在もこの現象は続いている。しかし、かなり目立たなくなっているのも事実だ。
読者が増えたぶん、相互が薄まってきたからだ。
もちろん、運営の取り締まり強化も関係している。
しかし、最大の要因は読者、作者の増加だろう。けっきょくはユーザー数がものを言うのがWEB小説なのだ。
まあ、わたしがどう思うかは重要じゃない。
数字として、どう変化したかを見るのが一番だろう。
その判断材料となるものをいくつか提供したいと思う。(自作品より)
作品A
な 2017年4月 PV 531230 ブ 937 pt 3601
カ 2018年5月 PV 37741 ブ 148 pt 114 なろう換算 456
※左から(な=なろう、カ=カクヨム)(日付=公開開始日)(PV=アクセス数)(ブ=ブックマーク)(pt=ポイント)。
この作品はなろうでは三作目。
カクヨムでは初めてとなる。
だから単純比較はできないが、DATAとしてはその時点でのサイトの状況を表してはいると思う。
圧倒的である。PVもポイントも一桁違う。
カクヨムには読者はいない、そんな感覚になるのも当たり前の話だ。
ただ、ポイントに関してだが、差が出るのも当然と言える。
一ユーザーが与えられるポイントが違うからだ。
なろうは評価点として2~10、ブックマークが2点として計上される。
対するカクヨムは評価点1~3、ブックマーク(カクヨムでの呼び名はフォロー)はポイントがつかない。
ようは一ユーザーが作品に与えられる最高ポイントは、なろう12、カクヨム3である。
四倍だ。
だから、参考値として、カクヨムには四倍した「なろう換算」を記させてもらった。
次は作品B
な 2020年7月 PV 18525 ブ 38 pt 298
カ 2019年4月 PV 1197 ブ 15 pt 13 なろう換算 52
これら比較で注目していただきたいのがPVだ。
どのていど読まれているかは、書き手として気になるところだろう。
しかし、このPVも、なろうが多く出る構造となっている。
まず、なろうはあらすじを読んだだけでもPVに反映する。
「どんな作品かな? あらすじを読んだけどやっぱやめよう」これでもPVに反映する。
カクヨムはPVに加算されるのは本文のみである。
また、アプリによるPVもある。(海外の違法サイトも)
なろうで作品を公開すると、外部のアプリによって自動でダウンロードされる。
これも読まれなくてもPVに加算されてしまう。
たとえば、100話ある作品だとする。途中の一話の誤字を直したとする。
その瞬間100PVほどつく。誤字を直しただけでだ。
とにかく、なんでもかんでもPVに加算するのがなろうだ。注意されたし。
とはいえ、それらを加味しても圧倒的になろうが読まれる。
三年前は比べるのがバカらしいぐらいの差があったのである。
次、作品C
な 2020年11月 PV 1449168 ブ 1134 pt 4654
カ 2022年 4月 PV 591526 ブ 1826 pt 432 なろう換算 1728
おわかりだろうか?
かなり差が縮まっている。
そればかりか、ブックマークの値はカクヨムが抜いた。サイト利用者が増えた証でもある。
そして、一番重要な値「PV」。これがある程度稼げるようになったのが大きい。
カクヨムにはインセンティブがある。
PVに応じて作者にお金を還元するシステムだ。
現在の目安は25VP=1円。(一話文章量によってけっこう変わる一話2500文字ぐらいでこの値)
作品Cならわたしの取り分は……。やめておこう、具体的に書くとなろう運営から警告がきそうな気がする。
とにかく去年のデーターでは、ある程度稼げる可能性があると示されたワケだ。
次、作品D
な 2023年 1月 PV 45275 ブ 47 pt 292
カ 2022年11月 PV 31085 ブ 183 pt 174 なろう換算 696
ついに逆転した。
PVは、ややなろう。しかし、その他の値ではカクヨムの方が大きい。
読まれてると実感できるのは、すでにカクヨムになっているのかもしれない。
サイトには、それぞれ特色がある。
カテゴリー、作風などでどちらが読まれるか変わってくると思うが、なろう、カクヨム両者の差はかなり埋まっているのではないだろうか。
――とはいえ、読者増は作者増でもある。
読まれるとなると、そちらで書こうと思うのが人の常だろう。
結果ライバルが増え、自作品が読まれにくくなるのも自然の流れである。
カクヨムが出来て7年。それなりに成熟してきた。
実績がない者にとっては、かなり厳しい戦いを強いられるのではないだろうか。
だが、何事も例外がある。
それが、創作論、エッセイジャンルだ。
とくにエッセイは、なろう一強と言ってもいいぐらいだ。ここがタイトルで書いた開拓されていない分野である。
しかも、だ。
連載作品を書いた人ならわかってもらえると思うが、書くようになると他者の作品を読まなくなってくる。
執筆仲間、あるいは自作に感想をくれた人の作品を読むぐらいである。
読むとしたら、唯一エッセイジャンルだ。
作品を書く合間、気分転換にエッセイを書いたり読んだりする。
エッセイには作品を読まれやすくするテクニックや、活動する上での注意点なども多い。
それらを求め、むしろ連載する前より読むまである。
開拓されきっていないばかりか、ライバルが増えれば増えるほど読まれるのがエッセイ、創作論なわけだ。
なろうで、たまに問題になる企画がある。
自主企画として、お題にそった作品を募集する。そして、それを一斉に投稿するわけだ。
ジャンル活性化のための企画だが、結果として参加者同士のポイントで、ランキングが企画作品で埋め尽くされてしまう。
この問題に対し思うのは、カクヨムに来てほしいなあ。だ。
あそこは自主企画が実装されている。
ジャンルが盛り上がれば盛り上がるほど、ほかの人も読まれる。
カクヨムはランキングが機能していない。
企画でランキングを埋め尽くすとか、マジありえないのである。
誰も損しない。
それどころか、同ジャンルを書いている人に恩恵がある。
だって、作者はエッセイしか読まなくなるから。
作品連載に疲れたときエッセイを読む。
カクヨムのテクニックを知りたいとき創作論を読む。
作品を投稿していて気づいたことを創作論に記す。
それがぜんぶインセンティブにつながるのだ。
それこそ、好きなことを書いてお小遣いがもらえる瞬間だろう。
参考として、わたしがカクヨムで投稿した創作論の値を記しておく。
カ 2022年5月 PV 58050 ブ 253 pt 345 なろう換算 1380
ぜひチャレンジしていただきたいと思う。
最後に。
わたしが推奨するのは、カクヨム、なろうのマルチ投稿である。(ほかのところでもいいよ!)
一個に絞るのは避けるべきだ。
小説を書いていると行き詰まることがある。思うように結果がでない、嫌な感想をもらう、運営から警告を受けるなどなど。
そんなとき必要なのが逃げ場所だ。
カクヨムがダメでもなろうがある。なろうがダメでも他がある。
そう思っていると、筆を折らなくてすむ。
どんな名作も書かなきゃ生まれない。
今日がダメでも明日評価されるかもしれない。
書き続けなければ、その日はこない。
書き続けるモチベーション、それをどう保つかを一番に考えていただけたらと思う。