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7:魔力の揺らぎ。




 ◇◇◇◇◇




 妙な暖かさを感じて目を開けると、視界の左側に何故かチラチラ見える銀色とイケメンの存在。耳もとで柔らかな寝息が繰り返されていた。


「ひょわ――――いっだぁぁぁ!」


 びっくりして身動ぎして、脚に激痛。大きな声が出てしまった。


「マキ!? どうした? 大丈夫か?」


 リオが頬にそっと手をあて、顔を覗き込んでくる。近い。近い近い近い。あと、目隠しが地味に怖い。


「だだだだ大丈夫です」


 寝返りを打とうとしたら痛かった、と言わなくてもいい嘘を吐いたのはなんでなんだろう? 自分でも良くわからないけれど、リオが横にいてびっくりしたって言ったら、なんとなくだけど、傷ついてしまうんじゃ? と思った。

 リオが私の顔をジッと見つめるようにして「本当か?」と聞いてくる。見えていないはずなのに、なんでなんだろう。魔力の流れとかを見てるのかな?


「嘘を吐くと、魔力が揺らぐ」

「っ……!」

「動揺しても、揺らぐが…………マキの魔力はずっと揺らいでいるからわからない」


 ――――バレてないのね。


 ホッとした。

 でも、何でずっと揺らいでいるんだろう?


 それは、簡単な事だった。

 脚が痛いから。


「我慢し続けているだろう? 痛いなら痛いと言っていい。子供は余計な気遣いや我慢はしなくていい」

「…………そう、ですね」

「マキ?」


 やっぱりか! やっぱりなのか! 私、子供扱いされてたというか、子供だと思われていた! 働いていたって言ったのに、なんでだろうなぁ。


「マキ、何か気に触った…………いや? ん? 気になることがあるのか?」


 どうやらリオは私の魔力の揺らぎなどを感知して話しているらしい。魔力と感情は連動するってことか。これは、気をつけないといけないけど、どうやって気をつければいいんだろう?

 わからないことだらけだ。


「何でもないです」

「そう……か?」

「はい」


 リオは少しだけ怪訝そうだったけど、引いてくれた。そして、ベッドから起き上がると、部屋から出て行ってしまった。




 ぼーっと天井の木目を見ながら、更にぼーっとしつつ、元の世界のことを考える。

 アパート、どうなるんだろう?

 電気、ガス、水道代もどうなるんだろう?

 親族は疎遠だし、あまり関わりたくない人たちだから、いいや。

 私の存在は、消えたのかな?

 それとも失踪とか行方不明とか?

 理由は、会社倒産で給与未払いによる生活苦?


「あははは…………笑えない……」

「何が笑えないんだ?」


 失踪理由のあまりの酷さに乾いた笑い声をあげていたら、お茶らしきものを持ったリオがいつの間にかベッドの横に立っていた。

 寝そべって見上げているから、凄く大きい。というか、普通に背が高い気がする。一八〇センチは超してそう。

 んん? そんな人からすると、一五五センチは低い? そんなに低いとも思ってなかったけど、実は低い? んおぉ?




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