もうひとつの最終話:紡がれる命とともに。
※こちらは笛路のヤツが癖を詰め込んだifメリバエンドです。
あの日からどれくらい経ったのかな。
未だにリオの顔が脳裏に蘇る。
涙は枯れることはない。
でも、同時に笑顔も溢れる。
「だぅあぅあぅぅぅ」
リオと同じシルバーブロンドの髪と、私に似た焦げ茶色の瞳を持つ息子――フォルティス。
本当はディバルダ聖山にいたかったけれど、魔獣の多い山での出産育児は難しく、王都で借りていた部屋に戻った。
ディーノさんや学院で出来た友達がよく遊びに来てくれるから、塞ぎ込まずに済んでいる。
やっとハイハイができるようになったフォルティスをディーノさんが抱き上げながら微笑む。
「マキちゃん、そろそろ俺に乗り換えない?」
「嫌です!」
「ちぇっ。相変わらずハッキリ言うなぁ。邪魔者はいなくなったのになぁ?」
「あははっ。リオはずっとここにいますから」
そっと心臓のに手を置く。
記憶は脳に刻まれるのだろうけど、きっと胸にも刻まれている。心の中に。私の全ての細胞に。
ディーノさんのこういう軽口のおかげで、ブレずに済んでいるのかもしれない。ディーノさんって軽く見えるけど優しい人なんだよなぁ、とは思うものの、私はやっぱりリオだけが愛しい人だなぁとも思う。
「フォルティスが大きくなったら、あそこに戻るんだろ?」
「はい。あそこが私の原点で、リオの意思がたくさん詰まっている場所ですから」
リオはディバルダ聖山で一生を過ごすと決めていたらしい。
リオが死んでしまい、しばらく小屋でボーッとしていた時、遺品整理を手伝ってくれていたディーノさんがリオの日記帳を見つけてきた。
日記なんて書いているところ見たことなかった。
どうしようかと思い悩んだものの、ディーノさんに読んだ方が良いと言われた。
日記帳の中には、リオの葛藤や後悔がたくさん書かれていた。それとともに、私への愛も。
『――――マキをここに縛り付けていいのだろうか? ひどく悩ましい。だが、愛しい人が側にいてくれるというのは、一分一秒が燦めいて見える』
『――――マキは幸せだろうか? 私は、毎日が幸せでたまらない。だから、マキも同じ気持ちでいてくれるといいなと願っている』
『――――マキ』
『――――マキ』
『――――マキ』
日記帳の後半は私のことばっかり書いてあった。
リオ、私のこと大好きじゃん! そう思うと、枯れかけていた涙がまた溢れた。
リオの日記を抱きしめて、わんわんと泣きまくった。
泣きまくって泣きまくって、ちゃんとこの世界で生きていこうと決めた。
リオが護りたかった世界を、私も護りたいから。
リオと私の大切な息子が生きていける世界を、少しでも平和にしたいから。
それだけの力が私にはあるから。
リオが好きでいてくれた、私でいたいから。
いつか、私の人生にカーテンが降りたとき、リオに笑顔で逢いに行きたいから。
私は紡がれた幼い命ともに、これからも前を向いて歩いていく。
―― fin ――
あいっ、メリバ大好き笛路のもうひとつの妄想でした!←
最後までお付き合いありがとうございました!
面白かったよ、おつかれちん、そんな感じでブクマや評価していただけますと、小躍りします!ヽ(=´▽`=)ノ
 




