表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
瀕死の私を助けてくれたのは、真紅の目隠しをした魔眼の騎士様でした。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/51

49:崩壊。




「なんで…………なんでっ!!」


 リオの崩壊が止まらない。

 指先がポロポロサラサラと崩れ落ち、風に飛ばされていく。


「私の中で呪いが反発し合っているようだ」


 竜の呪い? いつ? さっき?

 私に向けられていた竜の怨嗟を含むような視線。

 それが、リオに? 私を庇ったせい?


「治療薬! 上級治療薬、飲んでください!」

「もう、飲んだ。無理のようだ」


 リオと私で一本ずつ持っていた。私の分はまだある。

 リオの口に無理矢理流し込んだけど、一瞬だけ顔色が戻るだけだった。


「マキちゃん! リオ!」


 異変を察知したディーノさんがこちらに向かって走って来てくれた。


「っ、ディーノさん…………リオが……リオがぁ」

「…………ディーノ……竜は死んだ。少しの間、マキと二人きりにしてくれ。目隠しを取りたい」

「っくそが! ………………地獄で待ってろよ!」

「ん」


 リオの口元は微笑んでいた。


「マキ、済まないが目隠しを」

「はい……」


 そっと、そっと、リオの目隠しを解いた。


「ん……良かった。大きな怪我はないな」

「はい。ありませんよ」


 リオが嬉しそうに微笑んだ。


「最後に、マキの顔を見られて良かった」

「っ…………リオ、本当に無理なんですか?」

「ああ、無理だ。魔力は失われつつある。崩壊は止まらない」

「でも――――」

「マキ、聞いてくれ」


 なにか方法があるんじゃないかって、元の世界の魔法の知識を思い出そうとしていた。

 今までも何度か治癒魔法を試したことはあった。でも何も発動しなかったけど、それでも。


「君に出逢えて、私の世界は彩り豊かになった。君に恋をした。君を愛した」

「っ……はい」

「マキ、愛してる」

「あ……ぅ、っ、あぅ……やだ…………」

「マキ、抱きしめてやれなくてすまない」

「リオ……やだ」

「ん。すまない」


 リオはただただ優しく微笑むばかりだった。

 伝えたいことがあるのに、上手く言葉が紡げない。


「やだ……」

「ん」

「終わったら…………リオに言わなきゃって………………」

「ん。いま、教えて」

「やだ……」

「マキ」

「やだ!」


 子供みたいに、嫌だしか言えなくて、リオを困らせてばっかりで。


「マキ、もう時間がないよ?」

「だって……」

「マキ」

「……赤ちゃん、出来たの。リオと私の赤ちゃん」

「っ! そうか、そうか!」


 涙でぼやけていたけれど、リオが驚いた顔をしたあと、満面の笑みになったのが見えた。

 ぐしぐしと目を擦り、涙を拭う。

 

「だから、死んじゃヤダ」

「ん」

「リオがいない世界は嫌なの」

「ん」

「っ! 『ん』ばっかり言わないでよ!」


 私は怒ってるのに、リオは嬉しそうに微笑むだけだった。


「ん。幸せだなぁ。マキ、ありがとう」

「馬鹿ぁ」


 崩壊がどんどんと進んでしまい足までも崩れ始め、リオの身体がグラリと揺らいだ。

 慌てて抱きとめると、ほとんど重さを感じなかった。


「あぁ……温かいな」


 リオがゆっくりと目を閉じた。


「最後にマキの元気な姿を見れて良かった。子どもの顔も見たかったが、それは高望みだろうな。一緒に育ててやれなくてすまない。どうか健やかに――――」

「っ、いやぁぁぁぁぁぁ!」




いつも読んでいただき、ありがとうございます。

シリアスなところで作者が出てきてすみません(*ノω・*)テヘ


さて。

エンディングは2パターン用意してますが……(まだ脳内)

ハピエンか、笛路大好きメリバか。

どっちをメインに据えようかしら←

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

↓ ↓ 笛路の別作品 ↓ ↓

新着投稿順

 人気順 

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ