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瀕死の私を助けてくれたのは、真紅の目隠しをした魔眼の騎士様でした。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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37/51

37:貴方に伝えたかった。

 



 ◇◇◇◇◇




「――――最後にリオの素顔が見たいです」


 魔法学院に入ったてまずやったのは、魔眼の解呪方法と、魔眼に完全に抗える方法探し。見つかりはしなかった。でも、分かったこともあった。


 稀に抗える者もいること。

 魔眼の者と魔力が同等かそれ以上であれば、抵抗魔法があれば数秒は耐えることも可能だということ。


 私のやることは決まった。

 魔法で戦えるようになることはもちろん、魔力の増強も同時進行する。

 

 リオの目を見て、ちゃんと伝えたいことがあったから。

 

「私ね、抵抗魔法を覚えたんです。だから、大丈夫です」


 抵抗魔法は使える者が驚くほどに少ない。

 それほどに難しく珍しいものだった。

 極めれば、相手にそのまま返すこともできる。そして、私はソレができるようになってしまった。なぜか持っていた膨大な力のおかげで。

 だけど、それはリオには絶対に秘密にしたい。なんとなく、『それだけは教えてはいけない』って本能が言うから。

 

「……保証はない」

「リオ、覚えていますか?」


 リオが魔力を使いすぎて酩酊したような状態になった日、リオの瞳を見た。でも、大丈夫だった。

 リオはたまたまだって言うけれど、私はなんとなく大丈夫だって思っている。


「あの日は、魔力が枯渇気味だった――――」

「リオはそう言うと思ってました。だから、抵抗魔法という保険を用意しました」

「何故、そこまでする」

「秘密です」

「ハァ。分かった、その願いを叶える。そうしないと、マキは引かないんだろう?」

「はい」


 ちゃんと、瞳を合わせて伝えたいから。


 リオがしばらく悩んだあとに大きな溜め息を吐いた。

 そして、気分が悪くなったら直ぐに止めることを約束した。


「魔眼が発動すると先ず目眩が起こる。そして、その目眩を無視すれば、ものの数秒で死に至る。目眩が起こったら、直ぐに合図すると約束してくれ」


 もしこれで私が倒れてしまえば、リオに大きな傷を残してしまう。リオは優しい人だから、一生後悔し続けてしまうだろう。だから、私は何が何でも魔眼に打ち勝たないといけない。

 

「約束します」

「ん……」


 私が抵抗魔法を発動させると、リオがシュルリと真紅の目隠しを解いていった。

 リオを苦しめる、呪い。リオを縛り付ける、楔。

 それが顕になる。


 白銀の睫毛で縁取られた、煌々と燃えるような赤い瞳。

 リオの瞳は、美しい。

 なのに、視線は別のところに向いている。

 

「リオ、ちゃんとこっちを見てください」

「………………気分は?」

「何も変化ありません」

「っ…………ん」


 リオがやっと私を見てくれた。

 リオとやっと見つめあえた。

 微笑むと、泣きそうな顔で微笑みかえしてくれた。


「リオ。ほら、大丈夫、なんともないです!」


 両手を広げ、くるりとリオの前で一回転した。

 予想通りだった。やっぱり、なんにも起こらない。


「リオ、好きです!」


 ちゃんと面と向かって伝えたかった。

 リオは怒るかもしれないけれど。


「バカだ…………危険を冒して、それを言って……何になるというんだ…………」


 そう呟いたリオの瞳からは、涙が溢れそうになっていた。




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