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瀕死の私を助けてくれたのは、真紅の目隠しをした魔眼の騎士様でした。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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31/51

31:すれ違う二人の想い。

 



 お昼少し前にディーノさんが迎えに来てくれた。

 ディーノさんに一緒に下山すると伝えると、ディーノさんは少なからず驚いた表情を見せた。


「いいのか?」

「はい」


 朝食の際にお別れは済ませた。

 無言でご飯を食べ終え、お皿を洗って、荷物の準備をした。

 小さなキャリーケース――時空の歪みから落ちて来たもの――に、ディーノさんからもらっていた服をできる限り詰め込んだ。

 元の世界の服とはちょっとデザインが違うので、元の世界の服は小屋に置いていくことになった。

 準備を終え、リオに「ディーノさんが来たら、行くね」と伝えると、リオは頷いて「元気で」とだけ答えてくれた。

 そして、魔獣の反応があるからと討伐に出てしまったのだ。


「ふぅん…………魔獣ねぇ?」


 ディーノさんは何か言いたそうだったけど、聞いても気にするなと言い、頭を撫でてきた。

 リオもディーノさんも、なんで頭を撫でるんだろう。

 子供扱いされると……ちょっと甘えが出てしまう。これからは、知らない国で、知らない場所で、ちゃんと働いて暮らしていかなきゃいけないのに。


 キャリーケースを持ちリオの小屋を出る。

 ドアを閉めて、小屋に向かって一礼をした。


 ――――またね。


 そんな想いを乗せて。

 いつか、ここに戻ってくるからね、と。




 ♦♦♦♦♦




 マキと最後の朝。

 会話なく進む食事にマキはソワソワしきりだった。何か会話をしなければと思うものの、口を開けば碌でもないことを言いそうで結局無言。

 魔獣が発生したと嘘を吐き、小屋を出た。ディーノの魔力を感知したから。


 ディーノになら、マキを預けられる。

 マキは、安全な場所で笑顔で暮らしていて欲しい。

 彼女がいた世界はあまりにも平和で、側で見ているには眩しすぎた。清らかなままでいて欲しいと願ってしまった。

 自分勝手な、願いだとわかっていようとも。


 城下町で新しく出来た友達と楽しそうに笑うマキの姿が、ありありと目に浮かぶ。

 陽の光に照らされ、黒い髪をサラリと揺らして、ぷっくりとした唇で弧を描く。

 見たこともないのに、見える。

 マキはそんな環境が似合う。

 

 ――――元気で。

 

 ディバルダ聖山の中腹からマキとディーノの魔力を追う。

 一帯に殺気を張り巡らせた。こうすれば中型の魔獣程度なら姿を隠す。大型が出てくれば瞬時に殲滅する。

 マキの出立の邪魔は誰にも何にもさせない。

 

 


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