表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
瀕死の私を助けてくれたのは、真紅の目隠しをした魔眼の騎士様でした。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/51

30:リオとの別れ。

 



 ――――やだ。


 リオの言葉を聞きたくない。

 ベッドの上で小さな三角座りになり、両耳をギュッと押さえ付けた。

 リオは私の両手首をガッシリと掴むと、横に引っ張って声が聞こえるようにしようとしてくる。


「マキ――――」

「やだ! 聞きたくない!」

「っ…………それでも、聞いてくれ」

「……や…………だ」


 迷惑なのは分かってる。

 出ていく約束も忘れてない。

 だけど、私はここにいたい。

 リオの側にいたい。

 

 依存しているって思われるかもしれない。でも、リオの側にいたかった。好き、だから。

 こんな形で離れ離れになりたくない。

 自分勝手だと分かっていても、止められない想いが生まれてしまった。


「マキ、君はここにいない方がいい。町で安全に暮らしなさい」

「っ、やだぁ」

「ここにいたらいつか後悔する」

「やだ……」

「私は耐えられない」

「っ! …………ごめんなさい」


 リオに迷惑をかけるのは間違ってる。想いを押し付けるのも間違っている。リオの負担になってどうするの!って思った。

 リオが安らかに暮らせることが大切なのに。

 自分の想いばっかりで、リオのことが頭から抜け落ちていた。


「来週、ディーノさんが来たら、出ていきます」

「…………ん」


 本当は、今から急いで追いかければ、ディーノさんに追い付くんだろうけど。少しでも一緒にいたかったから、気付かない振りをした。

 

 


 あの日からよそよそしくなってしまった。


 リオはリビングのソファに寝るようになった。

 もう五日も経ってしまったのに、何も話せていない。あと二日でディーノさんが来る。リオとお別れしなきゃいけない。

 

 ――――やだ。


 納得した振りをしている。

 本当は納得なんてしてない。


 夜中、こっそり寝室を抜け出して、リビングの床に座り込み、ソファで眠るリオを見つめる。

 昨日も、一昨日も、こっそり見つめて、部屋に戻っていた。

 気付かれていないと思っていた。


「…………マキ、一昨日からずっとそうしているが、何か言いたいのか?」

「っ……あ、え……起きてた、んですか?」

「あぁ」


 どうしよう。

 なんて言い訳しよう。


 頭の中をそんな言葉がぐるぐると回るだけで、何にも言えずただ俯くしか出来なかった。


「マキ?」

「っ……」

「言いたいことがあるなら、言ってくれ。マキ」


 リオがソファから起き上がり、床に座るとあぐらをかいた。私と同じ目線の高さになってくれる、優しい人。


「リオ、助けてくれてありがとう。私ね、もっと魔法の勉強します。いっぱい勉強して強くなります。だから……………………だから……だから、強くなったら、またここに来ても良いですか? またリオに会いに来ていいですか?」

「私に恩義は感じなくていい。私のことは忘れていい」


 よしよしと頭を撫でられた。

 忘れられるわけがない。

 

「……うん」


 でも、『うん』としか言えなかった。

 



 リオと二人で居られる最後の夜。

 どうしてもとお願いして、二人でベッドに寝た。

 全然眠れなくて、リオの胸にしがみついて眠っている振りをした。きっとリオは気付いていたと思う。

 だって、ずっと背中を撫でてくれていたから。


「マキ、そろそろ起きようか?」

「……はい」


 いつの間にか朝日が登っていた。

 一睡も出来なかった。


 私は今日、リオとお別れする――――。

 

 


お久しぶりです!

ちょこちょこ書いていこうと思いますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

↓ ↓ 笛路の別作品 ↓ ↓

新着投稿順

 人気順 

― 新着の感想 ―
[一言] 待ってました!更新ありがとうございます!
[一言] 更新ありがとうございます! 続きが楽しみです(*˘︶˘人)♡*。+
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ