表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
瀕死の私を助けてくれたのは、真紅の目隠しをした魔眼の騎士様でした。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/51

15:ありがとう。




 朝食を済ませたら、先ずは私が落ちていた場所に向かうことになった。

 リオの小屋から歩いて十分の場所らしい。

 

 歩きやすい靴はディーノさんが持ってきてくれていたので、それを履いたけれど、持ってきてくれていた服は完全に子供用だったので、シャツはリオのを借りた。

 スカートは、なぜか……そう、なぜかちょうどよかったので、ピンクのフリフリだけど、穿いた。

 リオは腰に剣を下げていた。念のためらしい。


 勾配が緩やかな山道を二人並んで歩く。


「結構遠かったんですね。私が落ちてるって良くわかりましたね」

「空が歪む瞬間は、大気も酷く揺れるからね。それから、空に開いた穴から大きな魔力の塊が落ちてくるのがわかってね」


 たぶん人か魔獣だろうと踏んで急いで駆けつけてくれたのだそう。

 リオが来てくれなかったら、本当に危なかったんだよね。


「ありがとう、リオ」

「どうした?」


 あの時、私は諦めていた。

 このまま一人で寂しく死んでいくんだなって。

 リオの足音が聞こえて、消えかけていた希望が再び光りだした。あとちょっと遅かったら、きっと心が壊れてた気がする。


 のんびりと歩いていると、リオが頭を撫でてきた。

 リオ、いつも頭撫でてくるけど、なんでだろうなぁ?

 ちょうどいい高さにあるとかなだけだろうけど。


「諦めないでくれて、ありがとう」

「へ?」

「私は、マキと出会えて良かったよ。生きていてくれて、ありがとう」

「っ……わ、わたしも…………会えて、良かった……です」

「ん」


 柔らかく微笑んだリオに更に頭を撫でられた。

 

 

 

「ん。マキ、着いたよ」


 到着したのは木々が立ち並んではいるものの、森というよりは林程度の場所。

 空中に放り出される場所がもう少しズレていたら、確実に地面に直接落ちていたと思う。


「あ!」


 見覚えのある黒いカバン。私の通勤用の何の変哲もないカバン。愛着とかない三千円くらいの安いカバン。

 だけど、今となってはとても貴重なものに思える。

 

 バタバタと駆け寄って拾い上げた。


「なにか見つけたのか?」

「はい。私の荷物です」

「ん、良かったな」


 リオがゆったりと歩きながらこちらに近づいてくる。

 そこで気付いた。

 見えていないのに、ちゃんと外も歩けている。本当に魔力だけを頼りに動けるんだ? 魔力って凄いな。

 あ、でも魔力がないものはあまり気づけないみたいだった。私の荷物がそうらしい。


「大きいものは魔力の跳ね返りでなんとなくわかるが、小さいものになるとあまり気付けないんだ」


 そこで、私に頼みたいことがあるのだとか。

 ある程度は拾い集めて物置きに置いているらしいけれど、拾い損ねもある気がするとのことだった。

 拾う目的としては、異世界の文明や知識を取り入れるため。そしてそれが価値のあるものだと判断された場合、リオの収入に上乗せされるらしい。


「へえぇぇぇ! じゃあ、頑張って探さなきゃ!」

「走らなくていい。転けて怪我するなよ?」

「はぁい」


 なんでだろう、なんとなく子供扱いされている気がする。

 よし! 私は大人で有能な社会人なんだってとこ、見せつけてやるぞ!




では明日!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

↓ ↓ 笛路の別作品 ↓ ↓

新着投稿順

 人気順 

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ