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瀕死の私を助けてくれたのは、真紅の目隠しをした魔眼の騎士様でした。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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14/51

14:一緒に食べる。

 



 ◇◇◇◇◇




 温かいなぁと思いながら目蓋を開くと、目の前にはなんとなく見覚えのある黒っぽいシャツ。

 チラッと視線を上げると、真紅の目隠し。


「ぎょわっ!?」

「…………言っておくが、ここは私の陣地だからな?」

 

 私、リオを抱き枕にして寝ていたもよう。

 足はゴリゴリに絡めて、リオの身体に抱きついていた。

 

 慌ててリオを解放してベッドの下で土下座。


「それは…………いったいどういう格好なんだ?」

「私の国に古来より伝わっている、最上位の謝罪方法です」

「ふっ……はははっ! その格好が!? 腹が痛いのかと思った!」


 リオがベッドから起き上がりつつ髪をかき上げ、楽しそうに笑っている。なんかエロい。


「おはよう、マキ」

「……おはようございます」

「最上位の謝罪より、朝食を作ってくれた方が私は嬉しいが、どうだろう?」

「すぐさま作ります! 謝罪の気持ちをたっぷりと込めて!」

「いや、そういう意味じゃ――――」


 リオが何かボソリと呟いたけれど、寝室から勢いよく飛び出したせいでちゃんと聞き取れなかった。

 なにか言ったか聞いたけど、リオは何でもないと顔を背けてしまった。ちょっと怒ってるような? え? なんで?


 首をひねりつつも朝食の準備を始めた。

 ピーマンと玉ねぎと焼きナスのマリネと、目玉焼きと、カリカリ焼きベーコン。

 貯蔵庫に食パンがあったのでそれをスライスして、バターを塗ってから、トースターのようなもので焼く。私もリオもバターは先塗り派だった。


「普通の朝食だけど」

「これはピクルスだろうか?」

「野菜のマリネですよ」


 どうやらマリネがわからないらしい。マリネ液が簡単だから覚えているだけで、マリネが何なのかとか発祥とか何も知らない。


「ん、ピクルスよりも甘めで美味しいな」

「良かったぁ」


 バター先塗りのパンを齧ると、ジュワリとバターが滲み出て来て、脳内で幸福感を生む物質が作り上げられている気がする。

 そんな話をリオにすると、クスクスと笑いながらも「わかるよ」と言ってもらえた。


「ちょっと食べづらいですけど、パンの上に半熟の目玉焼き乗せてガブッてするのも、すごく美味しいですよね」

「フフッ。マキは食事が好きなんだな」

「ええ? 普通ですよ」


 食事が好きというよりは、誰かと食べるのが好きなのかもしれない。同じものを美味しいと思えるのも嬉しいし、相手が美味しいと思えるものを知るのも嬉しい。

 そんな話をすると、リオがうんうんと頷いていた。


「ん、確かに。私もマキと一緒に食事するのは楽しい」


 きっとこれは、一緒に私がいたから『マキと』と言っただけ。勘違いしたら駄目。


 リオの甘言に変な感情が芽生えそうで、必死で自我を抑え込んだ。

 



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