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瀕死の私を助けてくれたのは、真紅の目隠しをした魔眼の騎士様でした。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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13/51

13:警戒心を。

 



 名案だと思ったんだけど、どうなのこれ?


 ベッドの真ん中に棒状に丸めた毛布。

 右手側に私、左手側にリオ。


 ベッドはかなり大きいから、二人で寝ても平気なサイズだからこそ、この提案をした。んだけど、よくよく考えたら、男の人と同じベッドで寝るのって初めてだ。

 女友達とは旅行のときとか、泊りの時に一緒に寝てたりしたけど。


「……自分で言っておきながらですけど、なんか緊張しますね?」

「っ…………マキ、君は…………」


 リオが仰向けの状態で、またもや目隠しの上から目元を押さえて、ハァァァァと大きな溜息を吐いた。

 どうしたんだろう? リオの顔をじっと見ていて、ふと気になった。


「眠るとき、目隠しは外さないんですか?」

「ん、何があるかわからないからね」

「そう、ですよね……」


 なんでかわからないけれど、少しだけ残念な気がした。


 それからはリオと向かい合って寝転び、他愛のない話をした。

 リオはシチューが気に入ったらしく、他にはどんな料理があるのかなど聞かれて、オムライスやドリアの洋食や和食、中華などで作れるものの説明。

 

「食材は豊富にあるから、色々と作ってくれると嬉しい」

「はい!」


 私からの質問にもリオは色々と答えてくれた。

 騎士団のこと、魔獣のこと、竜のこと、呪いのこと。


「呪いを使えるのは竜だけじゃないんですね」

「ああ。強い魔力を持った魔獣ならね……」

「解除する方法は……ない?」

「なくはない、が……少しね………………伝承しかないのと、その伝承も現実的ではないから」


 リオから苦笑いのような雰囲気が伝わってきた。

 もしかしたら聞かれたくなかったことだったのかも?


「無理に聞いてごめんなさい」

「マキ、そんな風に気にしなくていい。気になったことはいつでも聞いていい」


 ベッドの真ん中の境界毛布を少しだけ飛び出して、リオが頭を撫できた。


「むぅ。子供じゃないですよ?」

「ふふっ。大人は『むぅ』とかいう声を出していじけないだろう?」

「むぅぅぅ」

「ふっ、あはははは!」


 リオが楽しそうに笑っている、それだけで心が暖かくなる気がした。この感情は何なんだろう。




 ♦♦♦♦♦




 ベッドの隣でスヨスヨと変な寝息を立てているマキ。

 まさかの、二六歳。

 十四歳くらいだと思っていた、とか口が裂けても言えないな、と実年齢を聞いたときに焦ったのを思い出す。

 

 しかし、二六歳にもなって異性との同衾が――この場合は同じベッドを使うという意味だが――初めてだとは予想外過ぎた。

 ベッドの境界線を棒状に丸めた毛布にしようという提案に、納得する。この娘は本当に誰かと付き合ったことがいないんだろうなと。

 

「もう少し、警戒心を持ちなさい」


 その気になれば、簡単に乗り越えられる境界線。

 境界線と言えど、お互いの善意のみで効果があるもの。


 マキが起きている時に、わざと乗り越えて見せたが、普通に頭を撫でられてイジけていただけだった。

 この娘は危ない。

 ディーノに街に連れて行って貰う前に、しっかりと自衛を教え込まねばな――――。


 そう考えた時にキリリと鳩尾あたりが痛んだのは、気のせいだと思いたい。




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