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瀕死の私を助けてくれたのは、真紅の目隠しをした魔眼の騎士様でした。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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12/51

12:名案だと思った。

 



「んっ! 美味しい」

「本当ですか?」

「ああ。こんなにも美味しいものは初めて食べたよ」


 普通のチキンクリームシチューなんだけど?

 鶏肉、人参、じゃがいも、玉ねぎ、良くわからないけど香り高いきのこ。ポルチーニっぽい気がするけど、本物は扱ったことがないから断言できない。


「ミルクスープのようだが、なぜこんなにもモッタリとした蕩けるような舌触りなんだい?」


 お鍋でお肉をしっかりと焼いて、野菜を投入。野菜全体に油をなじませて温まったら、そこに小麦粉を入れて、更にしっかりと炒める。そこに水と牛乳を同量入れて、少しの間だけコトコト煮込む。


「シチューって言うんですが、無いんですか?」

「シチューは牛肉を赤ワインとトマト系のソースで煮込んだものじゃないのか?」


 どうやらこっちの世界では、ブラウンシチューが普通らしい。


「なるほどー。これはチキンクリームシチューって言うんです」

「チキン、クリーム、シチュー、か」


 リオがスプーンを鼻に近づけて、クンクンと臭いを嗅いだ。食べ物は輪郭がしっかりと見えないから、臭いで判断することが多いらしい。


「きのこはミルクと相性がいいんだな。あと、芋も。とても美味い」

「おかわり、ありますよ?」

「ん。もう少しだけ、食べようかな」


 線が細くて、髪も長いからあんまり男性らしさを感じていなかったけれど、食はやっぱり男性らしい多さだった。リオ曰く、それでも騎士団の面々に比べればかなり食が細い方なのだとか。


「騎士団のエンゲル係数、怖いですね」

「エンゲル係数、とは?」


 笑い話的にしか使っていなかったので、正式な使い方と考え方の説明にかなり時間を要した。




 ごちそうさまをして、さて今日は早めに寝ようかと言う話になった。

 今まで借りていたベッドで寝ていいと言われて、リオはどこで寝るのだろうか、別部屋とかあったかな?と考えていたら、リオがリビングのテーブルとは別にある壁際のソファに座った。

 

「え?」

「ん?」

「リオ、ずっとそこで寝ていたんですか?」

「あー、うん?」


 なんでか、ごまかすような返事の仕方。

 そういえば小屋の説明もあまり聞いていなかった。そもそも、別部屋とかあるような気がしない。

 

「体を壊します。リオはベッドで寝てください」


 ソファは三人掛け。私なら余裕で寝れる。だけど、リオは背が高いからすごく窮屈になると思った。


「女の子をそんな風に扱えないよ」

「むーっ……じゃあ!」


 何がどうじゃあなのかわからない。けど、このときは、名案だと思った。


「――――ねっ?」

「……本気で言っているのか?」

「はい」

「っ…………ハァァァァ。ん、わかった」


 リオが目隠しをした上から目を押さえて、俯いて大きく溜息を吐いていた。




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