303話 真実と虚構
ガラガラと瓦礫が崩れて、その音を聞きビクッと男は身体を恐怖で震わせた。
ちらりと瓦礫を見ると、ちゅぅちゅぅとネズミが陰から飛び出てきて男から離れていく。その様子をふうっと息を吐き安心して愚痴を口にする。
「なんでぇ、ネズミかよ、驚かせやがって」
薄汚れた服を着た男は髪がぼさぼさであり、靴も泥で汚れている。猫背できょろきょろとおちつかなく周りを確認しながら、手に持つショットガンを強く握りしめて再び歩き出す。
ここは関東外縁、大樹の守護が届かない場所であった。
周辺は静寂に包まれており、雪が溶けかけている中で男のザクザクとみぞれとなった雪を踏む音だけが耳に入る。
「ちっ。借金さえなければこんなことをせずにすんだのによぉ………。あのカジノはイカサマだ」
愚痴りながら歩く男はカジノで負けたのだろう愚痴を口にしながらも、怯えた様子で歩き、もはや自然界に残る遺跡と化していたビルの中でもまだマシな様子の建物に足を運ぶのであった。
どうやって男はここまで来たのであろうか? それはナンバー制が始まっても初期から作られたトラックは密かに隠されており、その裏の伝手を使いなんとか外縁に足を運んだのである。
「ここには金があるだろうよ………金を手に入れたら、借金を返してまた挑戦だ。きっと今度は勝ってみせるぜ」
へっへっへと口元を曲げて、自分の成功の未来を妄想しながらビルの中を探索する。
きょろきょろと辺りを確認するが、どうやらここ周辺は一応防衛隊の手が入ったのであろう、ゾンビの姿を見ない。
だが、どこからともなく呻き声が聞こえてくる感じがする。いや、あれは風の音だろうか?
現実に意識を戻して、机などの引き出しを開けて中身を確認していく。
引き出しを開けて、ロッカーの中をガシャンと音をたてて覗き込むが
「くそっ。碌なもんがないぞ。運び屋の野郎、ここは手つかずの場所だって言っていたじゃねぇかよ。なんで金目のもんがないんだ」
イライラとしながら、いくつかのオフィスを歩き回り呟く。
「運び屋に払った金もタダじゃないんだ。あれだって借金なんだぞ。返せなかったらやべえんだ」
元々現金などオフィスビルには置いていないだろう。あるとしたらゾンビが持つ財布の中だ。それか金庫の中であり、引き出しなどに現金を入れて置いておく人間は崩壊前も少ないに違いない。
金目のものならばパソコンなどを持っていけば良いが、あまり重いものを持っていきたくはない。だから現金をと欲にかられて探す男。
だが、しばらくしてから罵りを口にする。
「くそっ! なにもねぇじゃねぇか! 騙しやがったな、あの運び屋め!」
怒りから側においてあった埃に覆われているゴミ箱を力いっぱいに蹴る。
ガランガランと思った以上の音をたてて部屋を飛んでいくゴミ箱。その音を聞いて、予想外の音量であったと慌ててショットガンを握りしめて息を潜めて、そばの机の下へと隠れる。
数分は経過しただろうか? 汗を拭いながらゾンビたちの近づいてくる音がしないため安堵の息を吐く。
「けっ、驚かせやがって」
面倒だが、パソコンでも持っていくかと考え込む男性。
そこにまた瓦礫がガラガラと崩れる音がして、男性はショットガンを構えて驚いて音のしたほうに視線を向けるが、先程と同じようになにもなかった。
「なんだよ。何度も驚かすんじゃねぇよ」
ホッと息を吐き構えを解く男性だったが
「あら、驚かせてはいけなかったのかしら?」
後ろから女性の声がかけられる。
「ひぃっ!」
声をかけられて、飛び上がるように驚きをしめして男性はショットガンを身構えて声の方向を見る。
そこには煽情的な服を着た妖艶な美女が立っていた。瓦礫と化し、埃と侵入した植物に覆われた廃墟となったビルに胸元を見せるような真っ赤なドレスを着て、ハイヒールを履いた、ロングの黒髪を腰まで伸ばしている。切れ長の目元に真っ赤なルージュを唇に塗り、まるで水商売の女性のようだ。しかも崩壊前の銀座あたりの高級バーにいそうな女性である。
その美しさは妖しくそして魅力的であり、それだけにこの場所にそんな姿で立っていることに恐怖を抱く。
「な、なんだてめぇは! こ、こっちはショットガンをもっているんだぞ! へ、下手な真似をしてみろ? あっという間にドカンとだぞ、ドカン!」
ショットガンを強く握りしめて、汗をかきながら怒鳴る男を見て、ふっと笑いを見せて答える美女。
「ふふっ、慌てないで。私の名前はクレムリオン。しがない情報屋よ」
「じょ、情報屋? こんなところで?」
妖艶に笑いながら、そんなことを言う女性に対して、戸惑いを見せる男。そうして女性を見ながら何かに気づいたように考え込む。
「そ、そういえば俺らの間で噂になっていたな………。どこからともなく現れる情報屋の女性………。噂とばかり思っていたんだが………。お前が情報屋?」
たおやかに腕を組んで、胸を強調しながらクレムリオンは魅了するように真っ赤なルージュの塗られた唇で笑う。
「そうよ。情報屋って、インパクトが大事なのよ。なので、こんな姿をしているっていうわけ」
「こんなところで命知らずだな………」
「そうでもないわ。ここは防衛隊がゾンビたちを片付けたからね。結構安全なのよ」
飄々と悪戯っぽく言うクレムリオンに疑いの姿勢を崩さずに男は尋ねる。
「で? お、俺になにを聞こうって言うんだ? た、対価は?」
噂どおりならば大金をくれるかもと話を思い出して、期待の籠った問いかけをする男にクレムリオンは笑みを崩さずに返事をする。
「そうね。この間の人は防衛隊がいると教えてくれたわ。貴方には大樹のことを聞きたいわね。お金なら支払うわよ?」
ちらりと胸から札束らしきものをちらつかせて聞いてくるクレムリオンに、男は胸に吸い付くように視線を向けてごくりと息を飲む。
「そ、そうか。金があるならなんでも聞いてくれ。へっへっへ、俺にもツキが回ってきたってことか?」
「そうね………。それなら、大樹本部の場所を知っているかしら?」
こちらを見ながらクレムリオンが尋ねてくるが
「あ~っと………。大樹本部は空中に浮かぶ島だって話だ。そんなところに俺はいけねえけどな」
忌々しそうに口にする。
「金持ちの野郎たちは皆その浮かぶ島ってのに避難していて、貧乏な俺たちはひぃひぃと地上でこうしてゴミ漁りってわけだ」
肩をすくめて答える薄汚れた男性の愚痴を聞いて、一瞬蔑みの目となるがすぐにそれを隠してクレムリオンは話を続ける。
「そう。それじゃ、防衛隊の装備ってなにかわかる?」
「あん? 俺たちと同じようなもんだ。アサルトライフルを基本装備でいつももっていやがるな。俺たちにもアサルトライフルがあれば、もっと上手く物資調達だってできるのに軍以外は持ってはいけないことになっていやがる」
常に愚痴を一言入れて返事をする男性の言葉に、クレムリオンは以前の人間と同じ内容だと頷く。
「それじゃ、大樹軍はどんな装備なのかしら?」
「あぁ、あいつらもかわらねぇよ。ただ、戦車もヘリもあるし、空中戦艦もある。どでかい戦艦だ、見ればきっと驚くし、あの戦艦ならどんな化け物にも負けないだろうよ」
男が大樹軍の装備を思いだしながら答えると、クレムリオンはふむと頷き、さらに話を促す。
「ねぇ、それだけの装備でミュータントを倒しているのかしら? 貴方が持っているような装備だけで?」
「それだけって、お前は空中戦艦を見たことがないからわからないんだ。あれを見ればどんな化け物も倒せるって確信するぜ」
「なるほどね………。今までの人間も同じようなことを言っていたわ。それじゃ、最後の質問よ」
「な、なんだ?」
「個人で強い人間はいないのかしら? 強力なミュータントを個人で倒せる相手ね」
その言葉に顎に手をあてて考え込む男性。
「いるぞ。英雄と呼ばれるやつが何人かいる。ガトリング砲を4門構えた怪力な人間に、オーダーメイドの武器を持つ隊長たち。それぞれ強力な銃を持っている」
今までと同じ答えであるのだろう。クレムリオンは知っている内容だととばかりに聞いていた。
その態度に金をもらうにはもっと良い情報を渡さないといけないのだろうと男性は勝手に判断して、この間手に入れた情報を伝える。
「個人で強い力を持つのはあとは武器商人か。あいつも武器を売っているから強いはずだ」
「………。全員銃持ちなのね。ねぇ、噂に聞いたことあるんだけど、レキという少女が凄い力を持っていると聞いたことがあるけど、本当なのかしら? 今までの人間は噂のレベルでしか聞いたことが無いと言っていたけど」
そう問いかけてくるクレムリオンに、ぷっくくくと笑みを浮かべて得意げな表情を浮かべて答える男性。
「それは大樹の英雄をつくるプロパガンダだな。凄い強い力をもっている英雄がいるといって、見栄えの良い少女を看板にしているだけだ」
今までと違い、確信しているような男性の口ぶりに眉を顰めてクレムリオンは確認をする。
「随分自信満々で答えるのね。なんで看板だって確信できるの?」
その問いにひらひらと手を動かして、楽しそうに笑いながら言う男性。
「俺は知っているんだ。あの少女はたんに大樹のお偉いさんの娘かなにかなんだろうよ。看板にしてくれとコネでも使ったんだろう。実際に見たことがあるんだ。英雄の娘に簡単に担がれて運ばれるのをな。ジタバタと暴れてなんとか逃げようとしていたから、なにか悪さでもしたんだろう。ありゃ、たんなるひ弱な少女じゃねぇかと、正体がわかって大笑いを周りとしちまったぜ。そうしたら口を閉じるようにって、大樹からの援助を受けているやつらが慌てて止めに来たのが滑稽だった」
ケラケラと心底楽しそうに答える男性にクレムリオンはふむと深く頷く。
「なるほどね、嘘はついていないみたいだし、どうやら本当らしいわね。なんだ、人間はやっぱり銃頼りなのかしら?」
「当たり前だろう? スーパーヒーローなんていないんだよ。そんなのがいたら世界は崩壊していないっての」
「そうかしら………。まぁ、そうなんでしょうね。あ~あ、情報を集めていたけど、やっぱり人間は兵器頼りというのは変わっていないのね。それじゃ相手にならないわね」
これまでの情報を精査して、がっかりしたような声音でクレムリオンは呟く。
その様子を見ていた男は気になることがあるので、口にして尋ねた。この女性はどこから来たのだろうかと。
「なぁ、あんた? 情報屋って言ったけど、どこから来たんだ? 西日本か?」
話が終わったと判断した男性が尋ねるが、もう会話に飽きたのであろう。クレムリオンはちらりとこちらを見て答える。
「私は一応愛知よ。いえ、岐阜と言った方がいいのかしら。あそこの街から訪ねてきたの。脅威になるかと思ってね」
その答えに勢い込んで、体を乗り出すようにクレムリオンに尋ねる男性。変な情報を集めると思っていたら他の場所から来たと言うのだから興奮を隠しきれない。
「街? 本当に街があるのか? そこから来たのか? 住みやすい場所か?」
住みやすい街がまだ生き残っているのならば、そちらに移動しようとでも言うのだろうか。人間らしい欲深い態度だと蔑みを見せるクレムリオン。
「そうね、弱肉強食の世界だから楽しいわよ。貴方じゃ数日持てばいいかしら」
「弱肉強食? そんなに恐ろしいところなのか………。止めといた方がいいな、くわばらくわばら」
「ほら、金よ、受け取りなさい」
豊満な胸から札束を放り投げて、地面へと落とすクレムリオン。
「なんてことしやがる! 金だぞ、金!」
慌てて、跪いて金を集める男。札がひらひらと空中へと舞い散るのを懸命に焦った表情を浮かべてかき集める。その姿はまさしく意地汚い人間そのものといった感じであった。
あわわとかき集める男性が懐に札をたっぷりと入れて、こちらへと卑屈な笑いを見せる。
「なぁ、愛知県の生き残りはなんで生き残れたんだ? 大樹と戦うつもりならやめておいた方がいいぜ。本当に空中戦艦はあるんだからな。そこらのチンピラなんぞあっという間にやられるだけだ。そ、そうだ、俺が口を利いてやっても良い。あんたを大樹に保護しても良いぞ?」
へっへっへと下種な下心を隠さずに、提案してくる男性を見ながらクレムリオンの手がぴくりと動く。
殺してしまおうかと、一瞬の殺気を見せるがその殺気を見て、男性はしりもちをつく。
「ひゃぁっ! な、なんだよ。お、俺にはショットガンがあるんだぞ? 変なことをしようとするとドカンだぜ、ドカン」
しりもちをついた自分を恥ずかしがる男がこれ見よがしにショットガンを振りまわしてみせる。身構えるわけでもなく、銃口を向けるのでもなく、単に振り回すその滑稽さにクレムリオンは呆れ果てる。
「殺す価値もなさそうな人間ね。貴方のような下種な人間を殺したら情報屋の名が廃るわ。見逃してあげるから感謝することね」
見下した笑みを浮かべて、クレムリオンは瓦礫で覆われた床を蹴る。
クレムリオンを中心に突風が巻き起こり、巻き起こされた突風に思わず目を瞑る男性。
「わぷっ! な、なんだ? なんだよ、この突風」
叫びながら、突風が収まったので慌ててクレムリオンへと抗議の声をあげるが
「あ、あん? ど、どこに行ったんだ?」
いつの間にか一陣の風を巻き起こしてクレムリオンはその場から去っていた。
人間技にあらざる速度で消え去ったのであろう。ポカンと馬鹿みたいに口を開けて、札をポケットから取り出して眺める。
「本物だよな………。なんだ今のは? 狐か狸か?」
古めかしい言葉を口にしてあっけにとられて佇む男。
しばらくの時間がたったのだろう。あっけにとられて、それでも手に入れた金を見ながらへっへっへと笑う男性に空中から声がかけられた。
「司令。あの魔人は去っていきました。すでにかなりの速度で愛知へと帰還の途についています」
空中から浮かび上がるようにシノブが現れて告げてくる。
男性は札を見ながらの笑いをおさめて、ふっと笑う。
「そうか。どうやら私の情報が最後になったようだな」
すっと背筋を伸ばして、薄く笑いながら答える男性。
「良かったよ。私が最後の情報源となって。これからも現れるのなら倒しておかないとなぁと考えていたし」
「胸ばかりをみていましたしね、ご主人様は」
ぷぷぷとウィンドウ越しにサクヤが笑い
「あとでたっぷりと私の胸を見せますね、マスター」
ふふふとウィンドウ越しにナインが本気の目で見つめてくる。
「あ~。さっきのは演技だよ、演技。どうやら愛知あたりから面倒な様子だよねぇ」
よいしょと汚れた椅子に座るくたびれたおっさんこと朝倉遥であった。一筋の汗を額から流してナインさんの最近のアグレッシブな行動に褐色少女の影を感じる今日この頃です。
先程の演技が本当に演技だったのか、おっさんの素であったのかは不明であるが、実におっさんに似合っていた演技であったといえよう。おっさんにふさわしい脇役であった。100点満点だ。本当は演技ではないのではなかろうか。
「朧と霞が追跡しております。今度こそ敵のボスまで到着できると良いんですが」
シノブが考え込みながら聞いてくる。この間は失敗したので汚名返上だとも考えているのだろう。それとおっさんの護衛と追跡のどちらを選ぼうかとも葛藤していた様子。
「ん~。どうだろう。まぁ、とりあえず愛知の様子がわかればいいから深追いは止めるように伝えておいて。順序良く攻略していったほうがいいしね」
情報屋の噂を聞いたのは労働者からの連絡からであった。その情報も金になるとわかっている労働者が連絡してきたのだ。まぁ、住んでいる場所の軍隊が強力だから裏切ることはないだろう。漫画や小説と違い助けられたのに恨みをもつ人間はあまりいないのだった。というか小説などでこういう情報を隠すと後で碌なことにならないと理解している人たちでもあったりした。なのであっさりとばれた悲しい魔人クレムリオン。
その噂を聞いて、それらしい場所をうろつくこと1週間。おっさんにふさわしい役柄であり、これこそ天職であったのかもしれない。
そうしてようやく食いついてきた魔人であったが、最後の情報であった模様。出会えた時にはやったぁとゲーム少女ならばニコニコ笑顔で飛び上がって喜ぶだろうがおっさんなので、そんな様子は見せなかった。英断であるともいえるだろう。恐らくはゲーム少女ならばすぐに怪しさを看破されて戦闘からの殲滅となることは確定であったから。
「まぁ、あれだよね。情報が欲しい場所に潜入できなければ、裏付けの取れない情報のみになるはずなのに、あの情報屋は良いのかなぁ?」
関東圏内にはダークミュータントは入室不可である。まさか体が燃えながら情報集めをすることもできまい。
「ん~。あれは情報屋であり、その情報で混乱を巻き起こす魔人です。恐らくは相手側にこの情報を持ち込むつもりなのでは?」
サクヤが推察しながらの意見を言うが、なるほど、それならば相手のことも少しわかると考える。
「それなら、情報を渡す相手はクレムリオンを眷属としているやつじゃないこととなるね。そうなると敵のボスにはまだ出会えないかな?」
「行けばわかることですし、いつもの作戦でご主人様は行くんでしょ?」
コテンと首を傾げながらも悪戯そうに聞いてくるサクヤである。
「なにを言っているのかさっぱりわからないね。エレガントに潜入して敵地を攻略する作戦を考えるよ」
ふふふと自分の行動に自信がありまくるおっさん。もう既におっさんの脳内では潜入からの華麗なる活躍をするエージェントな美少女の姿が思い浮かぶ。本当にその通りに行動できるかはレキにかかっているだろう。レキに。
「マスター。気を付けてくださいね? 今回も一人で情報屋と会いに行くなんて不安だったのですから」
プンプンと怒って小さく頬を膨らませるナインに、怒られちゃったよと可愛らしいその姿に癒される遥。珍しくおっさんの姿であったのは演技スキルはおっさんしかもっていないからであったのだから仕方ない。
ドライでも良いが、殺されちゃうと嫌なので仕方ないのだ。魔人相手だとツヴァイでも少し微妙な感じとも考えた。
殺されても復活するゾンビよりしぶといおっさんなら安心安全なのだ。一番のチート持ちはおっさんであると判明しているのだから。
「さてさて、では潜入ミッションの準備を始めるよ! あ、静岡は適当に攻略しておいてね」
適当極まる指示を出して、自宅へと楽し気な表情を浮かべて帰還の途につくおっさんであった。




