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コンクリートジャングルオブハザード ~ゾンビ世界で遊びましょう  作者: バッド
14章 北海道に行こう

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219話 ゲーム少女は第二層へとアタックする

 スタタタと高速移動するレキ。引き続き第二層を攻略中。不安は残るが、ナインが自信たっぷりに大丈夫と請け負った新型防衛兵器チェスを信じることにしたのである。


 チェスの性能は見ていないが、ナインは信頼しているので、問題は発生しないだろう。おっさんの大丈夫は大丈夫ではないことを意味しているが、美少女なる金髪ツインテールメイドの大丈夫という言葉なら間違いない。


 メイドたちは信用するが、自分のことは欠片も信用していない遥らしい考えであった。さすがおっさん。さすおさである。意味が違うかもしれない。


 巨木から生い茂る枝葉や、地面から膝丈まで生えている雑草が存在しているはずなのに、枝葉を揺らさず、雑草は掻き分けることなく突き進む。


 超絶技巧なる体術。人ではどんな達人であろうとも無理な技である。高速移動しながら、方位を確認して目の前の壁と化した巨木へと視線を向けて拳を引き絞り声を放つ。


「旦那様。恐らくはここを一直線に突き進めばボスのいる場所だと思います」


「なら問題はないよね。オペレーションメテオを敢行しよう!」


 唐突に作戦名を決める遥であった。名前の意味はそのまんま敵の本部を叩こう作戦だ。翼を持っているロボットのパイロットはまったく情報を集めないで地球に降りたので酷い目にあっていたが、今回は情報を集めなくても大丈夫だろうと思って、名前をつけた遥。困ったら殴れば解決すると考えているレキも特に感想は言わない。


 てれって〜と口ずさむ遥。鈴のなるような可愛らしい声音で鼻歌を歌う。中身のおっさんは大気圏で燃え尽きても良いと思うのは間違いだろうか。


 レキは邪魔をしている鼻歌には動じずに拳を打ち放った。ドゴンと大きな音がして、巨木は大きくクレーターのように穴が空いて倒れるというより、砕け落ちる感じで地面に横たわる。


 ドスンドスンと工事のような大きな音をたてたせいで、わらわらとプリンスメロリンのパーティーやミノタウロスとそのペットのポチバイクが大群でドドドと足音荒くやってくるのが見えた。果物や野菜にお肉であるからして、ポチがそのままご飯として食べてもおかしくないラインナップだ。ポチはつまみ食いとかしないのだろうか?


 そんなアホな考えをしている遥とは別に冷静にサクヤが注意を促してくる。


「ご主人様。敵の大群が急速に接近していますよ。初層とは違い警備状態がしっかりとした層みたいですね」


「へー。層なんだ」


 美少女なのに言ってはいけないギャグを言う遥。サクヤがハンカチを目元につけて、そっと慰めの言葉を言う。


「ご主人様…………。お疲れなんですね………。美少女では言ってはいけないギャグを言うぐらいお疲れとは思いませんでした。少しボケるのは抑えますね」


 グスンと口で擬音を言ってはいるが、口元はにやにやしているサクヤである。


「違う? 違うよ? 言おうと思って言ったわけじゃないから! オヤジギャグになりやすい言葉ってあるでしょ? それなんだよ、それ」


「わかっています。わかっていますよ、たまにオヤジギャグを言わないと死んじゃうんですよね、わかります。わかりますとも」


「死んじゃうって、どこのおっさんだよ! もぉ〜」


 地団駄を踏む子供にしか見えないゲーム少女。そしてからかうのが生き甲斐になりつつあるサクヤ。


 相変わらずのコントをする二人の視界に大群が入ってくる。そんなアホな遥へと冷静な声音で注意をしてくるレキ。


「旦那様。まずはこの大群を撃破しましょう」


「了解。ちょっと多いけど大丈夫でしょ」


 気配感知では1万はくだらない数であるが、余裕綽々のレキである。そして、おっさんは本当にいらないと思われるコントっぷりだ。邪魔しかしていない。


「道を通って、近づいてくるのは失敗だよね。絵面的には良いかもしれないけど、実際はやってはいけないことだよね」


 大群が押し合いへし合い小道を通って近寄ってくるのを見ながら、その前に立ちはだかる一見したら脆弱そうな小柄なる美少女。


 スッと紅葉のようなおててを敵の大群へと向けて、小さく微笑み超常の力を発動させた。


『サイキックレーザー』


 空気が震え、空間が歪み始める。手を翳した直線上に、不可視であり極太のレーザーが放たれていく。


 道を突き進んでいたミュータントたちは、恐るべき威力の超常で作られたレーザーを受けて、次々と身体を捻じられて砕け散る。道を利用して速度を上げていたことが仇となり、ほとんどのミュータントたちは巻き込まれて、その身体を歪ませて消えていくのであった。


 残るのはポチバイクが僅か。寸前で攻撃に気づいて慌てて回避したのである。


 その間にも、スチャッとレキは既にフォトンライフルを構えていた。


「ぎりぎりで回避しましたか。ですがお疲れ様ですとしか言えませんね」


 軽く数回引き金をひくと、ポチバイクが回避した場所へと吸い込まれるように白光は撃ち込まれて、ポチバイクの頑丈なる装甲でできたバイクごと貫いて倒していく。


 数分後には迎撃にきた大群はあっさりと全滅したのである。このレベルはまったく相手にならないのであるからして。


「男爵ジャガーレムが邪魔かなと思ったけど、物理防御な技なのね、超能力には無防備だったわけか」


 ほむほむと圧倒的な戦いに満足して遥が敵の耐性の無さに安心するが


「どうなんでしょうか? なんだか敵の反応が良くなっている感じがします。なんというか判断が気のせいか良くなっている感じがするんです。この間の戦闘の結果を考えると、ポチバイクはサイキックレーザーを回避できないと思っていたのですが」


「レキがそう感じるなら、そうなのかもしれないなぁ。………う〜ん、少し嫌な予感がするな。ヨク=オトースの鉄というか武器が供給されていたのも予想外だし。これまではレイピアとか斧だったけど、絶対に機動兵器か銃が供給されているはずだからね」


 おっさんの嫌な予感は当たる可能性が高い。全然自慢にならないが。


 う〜んと迷いながら、ちっこい人差し指を顎にあてて、可愛く首を傾げながら話を続ける遥。


「この層ではまったくその存在は確認していない。供給量が少ないから一番奥のミュータントにのみ持たせているのか、元々無いのか……。どちらにしてもこの階層をクリアすればわかるでしょ」


「旦那様の言うとおりですね。手強い敵ならば、全て倒していけば問題はありません。ではオペレーションメテオを再開します」


 敵が全滅して、ゲームでは無いので再度のリポップもない。野菜たちが育つのはまだまだ時間がかかるのだろう。


「気配感知では敵は全滅したっぽいし、ボスとご対面といきますか」


 軽い口調の遥である。まだまだこの区域は問題ないと油断しているおっさんだった。まぁ、おっさんはデフォルトが油断している状態なので仕方ない。


 レキは合図に従い、再びダンジョンの壁と化している巨木へと拳を振るって砕いていく。小柄で脆弱そうにしか見えないレキは、その細い腕に似合わない強大なパワーでブルドーザの如く道を一直線に突き進む。ゲームであれば、パッチがあてられて修正ものの攻略法である。


              ◇


 しばらく移動をすると、鉄製の立派な紋様が描かれている大きな扉があった。


「ほむほむ。ボスっぽい扉だね。ここが第二層ボスかな?」


 遥がゲームっぽい扉を見て感想を言うと


「ご主人様。第60層エリアを解放せよ! exp40000 報酬?ですね」


 サクヤがフンスと鼻息荒く嬉しそうな表情でミッションの発生を知らせてくる。どうやらまたもやかなりのショートカットをした模様。


「まぁ、仕方ないよね。60層ならクリアのレベルだと思うんだけど。ミッションが発生したということはまだ先があるんだよね」


 このエリアは広すぎるよと憤慨する遥。第二層は40層からできていたらしい。宝箱も広すぎて探す気が起きない。残りの層で宝箱を探せば良いでしょうと、あっさりと妥協する豆腐並みの意思なおっさんである。


 ていやっと可愛らしい掛け声で扉へちっこいおててを押し当てて吹き飛ばすゲーム少女。第一層と同じくやりすぎちゃったと、小さく舌を出して照れるので、第一層もわざとだと判明した瞬間であった。


 中は第一層と同じような大きな部屋であったが、中にいた敵を見て、ピクリと細い眉を動かす。


 なぜならば、中にいたのは第一層と同じくスライムベアーであったからである。


「……なんだか嫌な予感がするよね……。あいつは改良型だよね?」


 半透明な毛皮をもつ巨大な熊。


「どうやら前回の反省を活かして作成されたようです、旦那様」

 

 熊は腕やら脚を装甲で覆っておりスラスタの噴射口が見える。身体の周りにはオーブみたいな物が浮いており、肩にはキャノン。背中にはミサイルランチャーを背負っている。そしてその毛皮はオレンジ色をしていた。


「ご主人様。あいつの名前はベスベアーと名付けました!」


 久しぶりにネーミングセンスの無さを披露するサクヤである。まぁ、改でもマークツーでも、スライムなベスでもなんでも良いけどと遥は思いながらレキへと真面目な声音で言う。


「適当に倒しちゃって。無効化で食われたリソースを武装を装備することでカバーしているつもりみたいだけど」


「武装を使いこなせるか、熊さんはそんなに頭が良いのかを確かめるとしましょう」


 遥の話を受け継いで、レキが冷静な声音で答えてくれる。頼りになります、レキさんやと感謝するおっさんであった。あとは音ゲーのように超能力を使えば良いよねのスタイルであるので、そろそろ天罰が降ってもおかしくない。


 ベスベアーはこちらへと、ぐぉぉと叫んで背中のミサイルランチャーから音速のミサイルを次々と発射してくる。


 たまにはこちらも咆哮しますかと、可愛らしい声でぐぉぉと叫ぶ。常にレキの邪魔をするアホな遥である。もちろん意味はなかった。サクヤがその可愛らしさに悶えているだけだ。


 レキは接近してくるミサイルの軌道を読んで、トンッと軽く地面を蹴る。ジグザグに地面を移動して、ミサイルが誘導されるかを確認するが


「直線的なミサイルですね。近接信管もないのでは私相手には力不足です」


 真っ直ぐにミサイルが向かい軌道を変更せずにいるのを見て、眠たそうな目を熊さんに向けながら語りかけるレキ。


 トントンと軽く地面を蹴り、されど姿が消えるほどの速度で移動を行い、ミサイルの横まで来るとちっこいおててで、ホイッとミサイルをひっくり返す。


 噴煙を吹きながらレキ目掛けて高速で飛翔していたミサイルは、ひっくり返されてベスベアーへと目標を変えて飛んでいく。漫画みたいな迎撃方法であるからして、驚いたベスベアーは脚についているスラスタを噴射させて躱していく。


「回避しながらの攻撃はできないのですね。落第点です」


 敵の評価をしながら、フォトンライフルを撃ち込むレキ。白光が発生してベスベアーの身体を貫かんとするが、周りのオーブが白光の前に立ちはだかり、そのエネルギーを弾く。


 攻撃を防いだことに安心したのか、立ち止まり今度は肩のキャノンをレキへと撃とうとするベスベアーであるが、既に視界にはいなかった。


「エネルギー兵器を防ぐオーブ……興味深いですね」


 いつの間にかベスベアーの横に移動していたレキは、その手にオーブを抱えてジロジロと観察をしている。まさかフォトンを防げる防御兵器があるとは考えていなかったのであるからして。


 ベスベアーがすぐさま立ち上がり爪での攻撃を振り下ろす。


 巨木を砕き、戦車の装甲すら紙切れ同然とする爪での攻撃。ぶぉんと風の逆巻く音がしての攻撃だが、レキは冷静に身体を半身にして手を突き出していた。


 眼前に迫る爪を眺めながら、ひょいと手をそえて軌道をずらす。そのままベスベアーの身体にフォトンライフルをビッタリとつけて引き金を何回かひくと、あっさりと至近距離からの攻撃で身体を貫かせて大穴を空けるのであった。


 ヨロヨロとよろめき、碌に力を発揮できないでズズンと地面に倒れ伏すベスベアー。ちょっと同情しても良いやられ方だねと思う。


「たいした力も持っていない熊さんでしたね。蜂蜜を集めていれば良かったのに」


「身体能力は上がっていたみたいだけど、脅威度は変わらなかったね」


 遥も出番がなかったので、ちょっと残念だったねと思いながらも同意する。


 パチパチパチパチと拍手の音がしてこなければ、そのまま帰宅の予定であった。


 ん? 誰が拍手をしているわけと音の方へと顔を向けると黒いタキシードを着込んだ男性が立っているのが見えた。


 なんだか気障そうな男性でしかも悦に入っているようなドヤ顔であった。そしてドヤ顔以上に顔が蚊だ。蚊取り線香が必要そうな相手だ。


 あと、物凄い出落ち感のある敵だ。なんの力を持っているか簡単に予想できる。


 こちらを見すえて、丁寧な挨拶を気障なお辞儀を行い口を開く。


「まさか、これほど強い人間が存在しているとは驚きです、貴方様はどなたでしょうか?」


 レキはその返答を銃弾で返す。フォトンのエネルギーが敵をあっさりと貫くが、当たる寸前に身体を霧へと変化して回避された。


 瞬時に霧は再び蚊人間へと戻っていく。


 そうして、ニタリと口元を歪めて、話を続ける蚊人間。


「ふふふ、無駄ですよ。我が王に作られし私はむて」


 怯まずにドンドコ撃ちまくるレキのフォトン連射。


 またもや、ブワッと身体を霧化させる敵だが、変化した瞬間を狙いシュタンと地面を蹴り、目の前まで移動する。


 すぐさまちっこい人差し指を突き出して、空気を混ぜるようにくるくると回転させて


『アイスレイン』


 キラキラと輝く氷粒が無数に生み出されて、レキの周辺を凍らせていく。一面が銀世界となり、霧化していた蚊人間もあっさりと凍りつき、空中をダイヤモンドダストのように漂うのみとなった。


「ご主人様。第60層の解放をせよをクリアしました! 報酬はジルコニアジュエルですね」


 ニコニコ笑顔のサクヤが告げてきて、レベルが1上がっていることを確認する遥。


「ベスベアー退治時はミッションクリアとならなかったので、あの蚊がボスだったのでしょう。ちなみにあいつの名前はヴァンパイア蚊と名付けました! もうヴァンパイアかわかりませんけどね。プププ」


「誰が上手いこと言えと。まぁ、ミッションクリアとなったなら安心か。一番敵を倒せたか確認できる方法だしね」


 遥がジト目でサクヤを見つめながら、ゲーム的裏技を活用する。ヴァンパイアなら倒せたかは確認方法が難しそう。でもミッションクリアから安心だねと思うずるいゲーム少女。


 そしてサクヤはジト目のご主人様も可愛らしいです。とハァハァと息を荒らげていたので、このメイドはもう手遅れかもしれない。


 コテンと首を傾げて、レキが質問してくる。


「なぜ霧化したんでしょうか? 脆弱極まりない回避方法でしたが?」


「あ〜。たぶん超能力での攻撃を考慮していなかったんだろうね。一般人なら倒せない回避方法だよ。あと、目の前の強力な攻撃を防ぐことしか頭になかったんだろうし」


 所詮は蚊だったのだ。というか、改良しすぎて基本的な性能をないがしろにしている可能性があると思う。改良できるとよくある罠である。いつの間にか改良前のほうが強くなっていたりとか。


「旦那様、あと、敵はなにかを言おうとしていましたが、聞く前に倒して良かったんですか?」


 レキの不思議そうな疑問の声を遥は返す。


「大丈夫。どうせ重要な内容じゃないよ。きっと我が王の力を見よとか、そんな感じでしょ。漫画とかだとこのあとに激戦となるんだろうけど、あっさりと倒しちゃったしね」


 イベントスキップしたゲーム少女であった。まぁ、敵は隙だらけであったので仕方ない。


 むぅと腕を組んで遥は敵の素性を推察する。


「ヨク=オトースはどうやってタイライムたちを作ったのか不思議だったんだ。あいつは創作系には見えなかったから。どうやら供給源はここだったみたい」


 はぁ〜とため息を吐く。ここの敵はある程度自由に眷属を作れそうな予感。というかダンジョンマスターではないだろうか?


「致死トラップとか無いと良いけど………」


 不安なゲーム少女。以前に致死トラップは自分の力を減らすだけなのでボスは設置はしないとサクヤから聞いていたけど。


「ここのボスが知力派で、自分の力が少なくても気にしないタイプだとありそうだなぁ」


 罠感知スキルを上げるか迷いながら、帰還するゲーム少女であった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 [一言] お約束は虫〜
[一言] ここのボスはかしこぶって失敗するんだったか? 未だに思い出せない
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