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コンクリートジャングルオブハザード ~ゾンビ世界で遊びましょう  作者: バッド
14章 北海道に行こう

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184話 漁火の少女

 始まりはお休みから始まった。何をして遊ぼうか、誰を誘おうかと思いながらも、外にでるのがその日は少し億劫だったから、携帯を見ながら明日考えればいいよねと夢うつつでベッドに寝っ転がりゴロゴロとしていた。


 せっかくの4連休なのに、最初の一日を部屋でゴロゴロして過ごすのかと、斉所英子は自分の計画性の無さに苦笑しながら、それでも動こうとはせずに携帯を眺めていた。今日も普通の一日がこのまま終わるんだろうなぁと思いながら。


 その考えはあっさりと打ち砕かれたのだけど。


 最初に気づいたのは、友人たちとやりとりをしていたグループ間のメッセであった。お昼も過ぎた頃だろうか。起きたのがもうお昼に近かったし、母さんも連休初日ということで、特になにも言わなかったし、2階建てのウチの部屋は2階にある。階下から掃除機をかける音が聞こえてのんびりとしていた。


 そんなのんびりとしていたところで、変なメッセが入り始めた。


「なんだか、人が襲われているみたい」

「通り魔かな? こっちにもいるよ」

「ちょっとおかしくない? あたしのほうにも襲われている人がいるよ」

「俺、動画撮っちゃったよ。これ流してもいいのかな?」

「警察は何をしているわけ?」


 なんだか、通り魔がでているらしい。でも、あちこちで同時に? とウチは不思議に思って眺めていた。ちょっとしたイベントでも起こっているように、次々とメッセは増えていき、ウチは家にいたのは失敗だっかなと考え始めた。なんだかお祭りのようで楽しそうだなんて気軽に考えていた。これからでも起きて、街に行ってみようかと思いながらもメッセを見ていく。


 メッセはどんどんどんどん増えていった。その様は見たことが無いほどで、不気味なほどであった。内容もどんどん増えるメッセに合わせて不気味になっていく。


「やだ、ゆーこが襲われた! 救急車!」

「おかしいだろ! こっちも襲われかけたから逃げてる最中」

「逃げてる最中にメッセをいれるお前w」

「誰か警察にれん」

「うそでしょ。こy」


 メッセはまるでホラーゲームの内容のように不気味に変わっていく。メッセを入れることができずに途中で終わっている内容もその不気味さに拍車をかけて。


 さすがにおかしいと思い、起床して着替えてから階下に降りていく。リビングには母さんがのんびりと掃除がおわったのであろう。お茶をだしてソファでテレビを見ていた。


「おかあさーん。なんかニュースやってない? なんか街がおかしいんだけど」


 うちは函館といっても港に近い。父さんが自前の船で漁師をしている。そのため、街から少し離れていた。でも函館なのでウチは都会者だよねと、いつも考えていた。そんな家だから、ちょっと街の様子が伝わってこないのかもしれない。そう思って母さんに聞いてみる。


 母さんはのんびりとこちらへと顔を向けて、答えてきた。体格の良い肝っ玉母さんという感じ。もう少しおしゃれをしてよと言うと、もう父さんと結婚したから、他の男を釣る必要はないのよと、いつも元気よく笑う。


 そんな母さんも不思議そうな表情で困惑を声音にのせて返事をしてくれた。


「そうね。テレビでもなんだか通り魔のテロップが多いわ。なにかあったのかしら?」


「なんかぁ、友達のメッセが変なんだぁ。街でなにかあったみたい」


 二人で顔を見合わせて不思議そうに会話をする。


「なにかあったのかしら? 街に今日はでないほうがいいかもね」


「えぇ~。ウチ、これから街に行こうと思っていたのにぃ」


 本当は今日は街に出る気なんて、まったくなかった。でも、そういわれたので残念そうに頬を膨らませて口を尖らして答える。


 母さんはその返事にフフッと笑って


「はいはい。その代わり今日はご飯を少し豪華にしようかしら?」


「やった~! ウチはハンバーグがいいなぁ」


 我ながら子供っぽいと思うが、母さんの作るハンバーグは一番美味しいのだ。私は母さんの手のひらに乗せられているような感じもしたけど、喜んで笑顔を見せる。


 しょうがないわねぇと、母さんがお肉を買いに行かないとと言ったとき


 バンとリビングルームのドアが大きな音をたてて開かれた。ガラス扉だから、そんなに乱暴に開けると壊れちゃうじゃんと、入ってきた人を見ると予想通り父さんだった。大柄な体格に少し日焼け跡が残る漁師。イカ釣りを中心にしているがまだ解禁されていない。普通の魚を釣っているが今日はもう仕事が終わったのだろう。


 いつも乱暴に開けるんだからと、母さんが注意しようとして父さんの表情に気づいた。なんだか顔が蒼褪めていて調子が悪そうだ。


 なにかあったのかと思ったら、父さんがリビングルームに響き渡るような大声で怒鳴った。


「すぐここを出るぞ! 急げ!」


 そして必死な表情でウチの腕を掴み、母さんについていくるように言う。


「父さん、なぁに? なにかあったの?」


 あまりにも必死な表情の父さん。こんな父さんは見たことが無い。不漁の日だって酒を飲んで、またすぐに豊漁になるさと笑い飛ばす人がこんな形相になるなんて思わなかった。


 その必死さに怒られるよりも怖さを感じて、なにが起こったのか聞いた。きっとなにかがあったのだと確信めいた質問をする。


「あなた、なにかあったの?」


 父さんをみて、母さんも不安げに問いかける。だが父さんはかぶりをふって


「身の回りの品を集めてこい! 急いでここを逃げるんだ!」


 その言葉にハッとしたようになり、ウチを掴んでいた手を離して寝室に走っていった。本当に身の回りの品を取りに行ったみたいだ。


「なにかあったみたいね。英子、貴方も身の回りの品を集めて!」


 父さんの行動に疑問は持つが、ウチも急いで部屋に戻り、いつも旅行に使うカバンを引っ張り出す。


「え~と、化粧品でしょ。お財布に衣服に………」


 旅行に行くように、うちは身の回りの品を入れた。なんだが怖い。凄い怖い事が起きているんだと思いながら。


「準備できたか? 急いで逃げるぞ!」


 階下から父さんが大声でせかしてくるので、うちはリュックを背負い階段を降りる。すでに父さんも母さんもリュックを背負って逃げる準備をしていた。


 そして父さんはきょろきょろと玄関を見て、置いてある金属バットを手に持つ。強く握りしめているのだろう。ぎゅっとこちらにも聞こえそうな感じで力をこめているのがわかる。


 金属バットの感触に頷いた父さんは、そのままウチらに顔を向けて


「船まで行くぞ! 絶対に離れるなよ!」


 そう言って、玄関のドアを開けた。住宅地は少し街から離れており、のんびりとしているように見えた。ただ、ガラスが割れる音だろうか? パリンと音がしてくる。


 その家々を見渡し、何故か凄い警戒をしながら父さんは歩き出す。


「ねぇねぇ、なにがおこったの、父さん?」


 なんだか怖くなり、父さんに聞いてみる。父さんは大柄な体格で力強い。チンピラを前にしても怯まない父さんが酷く怯えた表情で通りを歩いていく。


 返答がない父さんに困り、母さんへ視線を向けるが、首を横に振り否定する。母さんも何が起こったのかわからないらしい。


 再度、父さんに聞いてみようと考えたときだった。


 通りの向こうにある家の玄関がバンと壊れるように開き、人が出てきた。口を血まみれにして血走った眼できょろきょろと周りを見渡して、こちらに気が付いたのだろう。小走りのような遅さだけど、着実にこちらへと近寄ってきた。


「むん!」


 そんな人に父さんは躊躇なく金属バットを頭に振り下ろす。ゴガンと骨を砕くような音がしてその人はあっさりと倒れこんだ。


 それを見て、あたしたちは慌てた。犯罪だ!父さんが犯罪者になっちゃうと。


「あなた! なんでそんなことを!」


 母さんが金切り声を上げて父さんを非難して、倒れこんだ人を介抱をしようと近寄ろうとする。


 その母さんの腕をグイッと強く引いて、父さんが怒鳴る。


「違うんだ! こんなやつらがそこら中にいるんだ! このまま逃げるぞ!」


 え? とポカンと口を開けて呆然とするウチら。父さんはなんて言ったの? 突飛すぎて頭にその言葉が入ってこない。


 そして思い出す。携帯でやりとりをしていた内容を。あれはまるで………。


 再び母さんが口を開こうとしたとき、キャーと叫び声が聞こえた。


 慌てて、そちらを見る。父さんが人殺しをしたところを見られたのだろうかと。


 だが、叫び声は父さんが人を倒したところをみたわけではなかった。やはり家から出てきた女性が後ろからついてきた男に覆いかぶされて、首元に噛みつかれている。


 ブチブチという音が聞こえそうなぐらいに、肉が裂かれて凄い血が出ているのが見えた。


 父さんは覆いかぶさっている男を金属バットで殴る。頭を狙ったのだろうが、少しずれて腕に当たり女性から離される男。


 すぐさま、父さんは金属バットで男の頭を叩き割った。血がどろりと流れて酷く嫌な臭い。


「大丈夫ですか?」


 母さんが女性に近寄り、様子を見るが頸動脈に食いついたのだろう。人ってこんなに血が出るんだと驚くほどにぴゅーぴゅーと流れ落ちていく。


 そして、女性の瞳に輝きが消える。ぐったりとして死んだとわかる。こんな目の前で人が現実で死ぬなんてと、ウチは腕を抱えて恐怖に体を震わす。


 だけど、恐怖はそこで終わりではなかった。いつか見た光景がデジャヴのように繰り返された。


 死んだと思った女性が身体を震わす。まだ生きていたのかと母さんが抱きかかえようとしたときに、その女性を父さんが思い切り蹴飛ばした。


「離れろ!」


 その行動は現実では見たことがない光景。でも、いつか見た光景。女性は身体を震わせたと思ったら、よろよろと立ちあがる。


「ひっ」


 息をのみ、女性を見る。彼女は白目を剥いて、明らかに死んでいるだろうに腕を伸ばして動き始めた。


「あぁぁ~」


 うめき声をあげて、近寄ろうとする女性を父さんは容赦なく頭へと金属バットを叩き込んだ。フルスイングでの躊躇いのない行動だった。


 ぐしゃりと音がして、女性も倒れこむ。そうしてビクリビクリと痙攣した後に本当に動かなくなった。


「なにこれ………。ゾンビ? ゾンビじゃん!」


 立て続けに起こる非日常の光景に、ウチはたまらず大声を上げた。こんなの映画の中だけの話だ。ゾンビ映画の中だけの話だ。現実とは思えない。


「急げ、そこら中こんなやつらで溢れかえっている!」


 ようやく状況を理解した母さんとウチは慌てて、父さんについて漁船まで走り出したのだった。


 漁船は大勢の人がいた。やはり漁師の家族なのだろう。知っている人も大勢いる。その中にウチらも入り、父さんの船に飛び乗る。もやいを外して、すぐ出発しようとする父さん。周りの漁船も次々と出発しようとしている。


 誰かが叫んだ。


「ゾンビが来たぞ!」


 叫び声と共に漁船から、埠頭を見るとゾンビたちがよろよろと血を流しながら大勢やってきていた。そこら中からどこに隠れていたのかと思うほどに。


「出発するぞ!」


 父さんがエンジンを起動させて、トトトと聞きなれた音と共に埠頭を離れていく漁船。埠頭を見ると逃げ切れなかったのだろう。漁船に乗り込もうとしているゾンビを押し返そうとして、次々と人々がゾンビに押し倒されて喰われていた。


 断末魔の悲鳴が、恐怖で逃げ惑う人々の叫び声が埠頭に響き渡る中、ウチらは無事に埠頭を脱出した。


 遠ざかる埠頭を見ながら、ふと携帯へと目を向ける。


「いつのまにかメッセが途絶えているや………」


 あれほど書かれていたメッセはいつの間にか途絶えていた。最後のメッセは印象深く、ただ一言書いてあった。


「誰か助けて」


 うちはそっと携帯の電源を落とした。もうメッセの追記は無いだろうと予想しながら。





 避難誘導の無線に従い、函館港を離れて、北海道の南部避難港にウチらは向かうことになった。


 宵闇が世界を包み込み、暗くなってきたため、一緒に航行している漁船がライトをつけ始める。


 ぽつぽつと点灯し始めて、イカ漁に使うライトも点灯させている船もある。暗闇がこわいのだろうか。この非現実的な世界で。他の船もそれに合わせてライトを盛大につけはじめる。


「なんだか、イカ漁に使う漁火みたい」


 周りが明るくなってくることに、少し安心感をもって母さんに話しかける。


「そうね。この騒ぎが終わったら、もう6月よ。イカ漁も解禁されるわ。そうしたら忙しくなるわね」


 母さんも漁火のような光景を見ながら答えてくれる。ウチは漁火の光景が幻想的で好きだ。こんな時でもなければ、この光景を楽しめたのにと悔しく思う。


 でも、少し不安だ。このゾンビ騒ぎはすぐに収束するのだろうか? 映画だと収束はしない。バッドエンドとなるのがほとんどだと知っている。


 現実なんだから、大丈夫だと自分に信じ込ませて、ウチはまた漁火のような光景を見るのであった。



 結局避難港には入れなかった。もう他の船で一杯だからという理由で、寂れた他の地方港へと避難することになったのだった。


 そこでもゾンビが大量にいたが、元々町に住んでいる人々が少なかったのだろう。自衛隊が駆除を始めていた。人手が足りないらしく、ゾンビを退治する人々を声高に呼びかけを行い、集めていた。


 その呼びかけに父さんは参加することとした。


「自衛隊が戦うんだから、いいじゃん! 父さんが戦うことは無いよ!」


 ウチは懸命に止めた。母さんも止めてくれると思っていた。


「自衛隊だけでは全然人が足りないらしい。なに、大丈夫だ。自衛隊の攻撃に漏れた僅かなゾンビを相手にすればいいらしいからな」


「ちょっと、母さんも止めてよ! 絶対に危ないから!」


 ウチが必死に止めるのに、母さんも父さんの考えに賛同する。信じられないことに。


「危ないけど、何故か船のエンジンが動きにくくなっているみたいなの。ここで安全な場所を作らないと、この先大変なことになるわ」


 真剣な表情で、教え聞かせるように母さんは伝えてくる。確かに何故か漁船のエンジンが動きにくい。あと、少ししたら完全に動かなくなるかもしれないと父さんが呟いていた。周りの漁船も次々と停止している。


「大丈夫だ。危なくなったら、逃げてくるからな」


 力強く微笑んで、腕を折り曲げて力こぶを見せて父さんは笑って、そう言った。


 それが父さんたちを見た最後であった。父さんは予想以上のゾンビの数に押し負けて死んで、母さんは入ってきたゾンビを前に、ウチを助けるために死んでしまった。その後で、自衛隊が駆けつけて助けてくれたが、ウチは両親をいっぺんに失い、呆然と悲しみのあまりに泣くこともできずに座り込んでいた。


 そんなウチは生き抜くことを決めて、同じように孤児となった子供たちを集めて、配給を貰いつつ、ゾンビの目を逃れて家々に入り込み、缶詰などを集めてきた。


 でも、冬も越えてそろそろ限界だ。ここらへんの缶詰などは既に採り尽くした。なんとか生きているけどそれだけだ。先の展望なんか見えない。もう救援隊が来るなんて、信じていなかった。


 ちらほらと北から避難民が来るけど、話を聞くにそちらも酷い状況らしい。どこも物資が足りずになんとか生きている状態で、ここに来たのは希望があるかもと考えてのことらしい。


 そして、ここも同じ状況とわかって、苦労して歩いてきたこともあり、絶望的な表情で通りに座り込んでしまう。


 もう世界は終わりなんだと考えていた。漁火漁が楽しみだと崩壊前には話していたと考えて涙する。


 そんないつもと同じ絶望しかなく、それでも生き抜いていたときだった。


 仲間の一人が息せき切って、住処にしている倉庫へと駆けこんで


「なんか、リュックにいっぱい入れている子供が歩いているよ!」


 このご時世にそんな子供が? 一人で? と不思議に思うが、たぶん北からの避難民だろう。両親を来る途中で亡くしたとかだろうか。なんにせよ、リュックになにか食べ物を持っているのなら分けてもらおう。ちょっと怖がらせればいい。それに一人でここで暮らしていくことは無理だ。代わりに一緒にここで住もうと誘おうと決めて、仲間たちと一緒にその子供のいる場所へと向かった。


 それがウチの転機であった。



 ぼんやりと空中戦艦の展望室でそんなことを思い出しながら、外の風景を見ていた。


「お疲れでしたね。お手伝いありがとうございました」


 可愛らしい美少女が私に声をかけてきた。そちらへと視線を向けると、可愛く小首を傾げてレッキーがニコニコと微笑んで立っていた。


「報酬には期待してください。しばらくは遊んで暮らしていけますよ」


 わっと両手を上げて、楽しそうに機嫌よく嬉し気に告げてくるレッキー。


「レッキーはいつも楽しそうだね。羨ましいよ」


 この娘はいつも楽しそうに生きている。羨ましいので、ちょっぴりと皮肉を混ぜて返事をする。


 ふふんと、胸をはりドヤ顔になりレッキーは言う。


「私は常に人生を楽しむことに決めているんです。楽しくないと人生じゃないですよね?」


「へいへい。お子様は気楽でいいですねぇ~」


 口を尖らせて、答える。もう少し歳をとったら、この子も現実が楽しいことばかりではないと気づくだろう。子供だからこその意見だと内心苦笑する。


 まぁ、自分も子供なんだけどと思っていると


「あぁ、そうだ。孤児院で英子さんのお仲間が待っていますよ。英子さんたちには孤児院の子供たちの生活をサポートしてもらいたいのです。後から、やりたいことがありましたら、そちらに転職しても良いですし。あ、そうだ。パーティーしましょう。パーティー。孤児院の設立と子供たちが再合流できたことを祝って………」


 楽し気に次々と話しかけてくるレッキーへと適当に相槌をうちながら、その会話内容に安全な場所へと近づいているんだと、安心しながら外の光景をみる。


 外は宵闇に包まれて暗くなっていた。そこへアナウンスがかかる。


「当艦は後15分で若木コミュニティに到着します。繰り返します。当艦は後15分で………」


 そろそろ若木コミュニティとやらに到着するらしい。宵闇の中に文明の灯りが見えてくる。


 ぽつりぽつりと灯りが点くのをみて、ウチは呟いた。


「漁火みたい………」


 周りが暗闇に包まれる中で、その部分だけが明るくなっていく。闇を排除するような美しい灯りにウチは涙するのであった。

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[一言] 立派なご両親だったよ……
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