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コンクリートジャングルオブハザード ~ゾンビ世界で遊びましょう  作者: バッド
2章 初めての生存者と遊ぼう

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13話 ゲーム少女は新ミュータントと戯れる

 とてとてと可愛く駅前の小道を移動する少女。中身が詐欺なゲーム少女である。


「さて、駅前の商店街街道に入ったわけですが」


 遥は気配感知に今までと違う反応が多いことからサクヤに問いかける。


「そうですね。名前を決めるのが大変です」


 何の心配をしてるんだ。このポンコツメイドはとサクヤの返答に呆れてしまう。しかしサクヤは真面目なところもあるので、この返答だということは脅威はないのだろう。なんだかんだ言って信頼しているのだ。美人なメイドさんだし。


 商店街の街道は特に活動しているゾンビもいなかった。だが、死んでいるゾンビか人間か知らないが倒れているのが多いのである。


「ゾンビも食い物にするミュータント?」


 物音をたてると気づく系のミュータントかな? と遥はバイオ的な経験から考える。


「縄張りを作るミュータントもいそうです。あのミュータントのように」


 サクヤの返答と共にすごい勢いで近づいてくるミュータントが見えた。勿論遥も気配感知で気づいていた。


 だが、この間の黒ゴブリンより脅威は感じなかったので余裕な遥である。近づいてきたミュータントは犬であった。


「あぁ~、せめてドーベルマンであってほしかった」


 凶悪そうなドーベルマンなら普通に対処できるバイオ的なゲーム経験者である。だが、近づいてきた犬はポメラニアンとダックスフンドであった。倒すのに物凄い罪悪感を感じる犬種であった。


「まぁ、普通はあんなにドーベルマンはいないか」


 ドーベルマンが多いのは空港とかだろうなぁと思いながら身構える。倒したら動物愛護団体がPOPしないかとも少し思ってしまったりもする。POPした動物愛護団体は凄い強そうでもあると考えてしまった。毎度のごとく、くだらないことを戦闘中に考える。親切なスキル様がいなければ、食い殺されること間違いなしであった。


 眼前に飛びかかってきたポメラニアンを紙一重の見切りで横に回避するゲーム少女。


「悪いけど、当たらないから」


 余裕で次のダックスフントも回避する。眼前まできて気づいたが、2匹とも顔も体も肉が剥がれ落ちていた。


「倒す罪悪感が薄れる姿だねっと」


 瞬時に鉄パイプを振り、一瞬のうちに2匹とも切り裂くのであった。


 レキぼでぃはすでに人外のスピードをだせるステータスを持っている。強化されたゾンビ犬でも圧倒できる速さであった。


「サクヤ、よく考えたんだけどさ、ミュータントになる条件って何? ゲームのOPで言ってたけどいまいちわからなかったんだよね」


 いまいちどころか、OPの内容はすっかり忘れている遥であるがそこは誤魔化し今更ながら聞いてみる。


「ダークマテリアルは負の心を持つ生命体を変異させます。深い負の心をもった生命体が最初にダークマテリアルの力で変異したのです」


 真面目に答えてくれるサクヤ。最近では貴重な受け答えだ。


「鳥とかは? 敵にカラスとか鳩を見ないんだけど」


 疑問に思う内容を問いかける遥。


「負の心をもつものは大体人間が多いのです。次に虐げられている生命体ですね。伸び伸びと暮らしているカラスや鳩、負の心を最初からもちにくい植物などは変異はしません」


 なるほどとサクヤの返答を聞いて納得する。確かにカラスや鳩は伸び伸びと暮らしていそうだ。そして虐げられているとなると──。


「さっきの犬は虐待でもされていたか?」


 動物愛護団体が守ってくれていれば、先ほどのゾンビ犬は生まれなかったかもと思う。


「そうですね。普通のペットレベルでは変異しません」


 よくできました、と子供扱いで褒めようとするサクヤ。


「続いて変異するのが死の恐怖で一定の負の心を持ち、なおかつダークマテリアルに死ぬ直前に接触されている生命体です」


 ゾンビはオリジナルに殺されようとして死の恐怖で変異したなれの果てなのですと教えてくれるサクヤ。


「よくできた食物連鎖だこと」


 これでは、どんどんミュータントは増えて世界は滅亡するんじゃと心配する。


「いえ、ダークマテリアルは地表にあっても星の浄化の力を受けて、徐々に消えていきます。まぁ完全に消えてしまうのは、負の力を発生させる生命体が死にまくってライトマテリアルの力が増えてくる頃ですから、大体700年後ぐらいですかね」


 未来は滅亡からまぬがれます、とサクヤは教えてくれた。


「700年は生きていないから!」


 どうやら奇跡は望めないようだと確信したゲーム少女であった。


 商店街を抜けて、そろそろ駅前に入りそうである。敵も出てこなくなったので、ぽてぽてと鉄パイプを肩に担いで移動中。あれから少しのゾンビ犬猫が出てきたが、なんなく撃破できたので駅前まで苦労せずに移動できたのだ。


「国道でゾンビを倒しすぎたか? 敵が少なすぎない?」


 もうちょっと出てきてほしい。目的のないレベル上げは嫌いだが目的地に向かうまでの敵は倒しまくってレベルを上げたいのである。


「おかしいですね。ここまで敵がいないのは想定外です。少数で強いミュータントがいるのかもしれません。注意してください、ご主人様」


 珍しくサクヤが注意してくる。その言葉を聞いて、ちょっと真面目になり、気配感知をフルパワーで発動する。


「ぬ?」


 しかしそこで違和感に気づく。気配感知で動き始めた敵がいたのである。


「気配感知で気づいた?」


 サクヤに聞いてみると


「感知系にカウンターで気づく敵でしょう。気を付けてください、ご主人様!」


 すぐに真面目な顔をしたサクヤの返答が来る。


「むむ!」


 ゲーム的な敵が多いな! と思いながらも遥も身構える。大きい生命体の反応なのだ。ドカーンドカーンと大きな音をたてながら、横道から一直線に家も貫通してミュータントが現れた。


「でかい!」


 遥は敵の全身を確認する。5、6メートルはある背丈の巨人である。鉄球ぽいのも持っている。


「そしてゲーム的な敵っぽい! なんで!?」


「ゲーム的な敵が多いのは現代病ですね。ゲーム的なイメージを持っている人間が多いからでしょう」


 と、サクヤが答えている間にも巨人は接近してきた。確かに巨人系は色々なゲームで出てくるクリーチャーだねと遥は思った。見た目より物凄い速い巨人である。


「ご主人様! あの敵はデカゾンビと名付けました!」


 あぁ、サクヤはやはりネーミングセンスがないなと思ったが、わかりやすいし覚えやすいからそれでいいやと思い接敵する。


 ぶん! という音と共に鉄球が投げられてくる。当たると粉々間違いなしと感情は言っている。


「とぅ!」


 しかし遥はちっこくて可愛い両手を構えて飛んでくる鉄球を受け止める。理性はあの威力なら十分に受け止めることができると言っていたのだ。物凄い不安だったが、この場合の理性とは=スキルの力なので信用して受け止めてみたのだ。


 理性=おっさんの場合は全く信じずに逃げているゲーム少女であった。



 ミシミシと踏ん張った足元から音がする。足からではなく、鉄球を受け止めて踏ん張った際の重量をアスファルトが受け崩れる音である。両手も少しじ~んとして顔を顰める。


「ではでは、こっちの番だ!」


 遥は受け止めた鉄球をそのままその可愛い両手を押し出すように投げ返した。どん!という音と共にデカゾンビは投げ返した鉄球を受け止める。


「ほいほい」


 と、遥は凄い速さで受け止めた巨人の懐に入る。もはや縮地レベルである。


『アイスブレード!』


 またもや迂闊にも口に出して発動させてしまう遥。それを見てカメラカメラと騒ぎ出す銀髪メイド。


 右手に生み出された氷の剣でデカゾンビの胸を切り裂くと、切り裂かれた胸は出血することもなくピシピシと傷から凍り付いていく。


「ていていていてい」


 可愛く口ずさみ切り裂きまくる。乱撃によりデカゾンビはビシビシと完全に凍り付く。


「ほいっと」


 アイスブレードを解除し鉄パイプに持ち変える遥。鉄パイプに切り替えてもう一度横薙ぎで攻撃をする。凍り付いたデカゾンビはその一撃を食らい粉々になるのであった。


「終わってみたら、楽勝だったな」


 ふぃ~と一息ついて遥は緊張を解いた。


「そうですね。見掛け倒しなやつでした。今手に入れたマテリアルで静止画、動画が高解像度で撮れるカメラを拠点で作りましょう、ご主人様。お早くお戻りを」


 すでに遥がせっかく倒したレアモンスターのマテリアルをパクる気満々なサクヤであった。よほどさっきの戦闘シーンを撮れなかったのが悔しかったみたいである。


 やれやれと思いながら、鉄パイプを担ぎなおし帰宅することにする。手に入れたアイテムはノーマルの『ライトマテリアル(中)、アイアンマテリアル(R)』であった。


 さすがDLCのパワーだなと過去の自分を褒めていた遥に声をかける人間がいた。


「君! 大丈夫?」


 薄汚れているが警官の制服をきた女警官が慌てた感じで、ゲーム少女に声をかけてきたのであった。


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― 新着の感想 ―
これって匂いはどうなっているんだろうね 充満しすぎて鼻がバカになっているパターン。 ゲーム的に匂いがないパターン。 ゲーム的少女のフローラルパワーが強すぎて全てをいい香りにしているパターン・・・ …
[良い点] この章をありがとう [一言] あ、こんばんわ警察さん *ニッコリ
[良い点] サクヤがちゃんと説明してる! こんなに真面目だったっけ!? [一言] 犬がしにます。
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