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コンクリートジャングルオブハザード ~ゾンビ世界で遊びましょう  作者: バッド
9章 東京観光をしよう

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118話 ゲーム少女は大蛇退治をする

 フハハハと調子に乗っている新幹線大蛇。再生したところをレキに見せたことが余程嬉しいらしい。


 その首をくねくねとスネークダンスみたいにしてくねらせている。かなり調子に乗っている。自らの優位さに確信を持っているのだろう。


 気持ちはわかると遥は推察する。何しろ、レキは一呑みで倒せるだろう脆弱そうな相手である。ちっぽけな人間を前にして、自分は巨大な身体である。しかも再生能力つきである。負ける要素など無いと考えているのだ。


「さぁ、我が餌となれ、小娘! 神たる我の食物となることを光栄に思いながらな!」


 そう叫ぶと再び山手線大蛇が口を大きく開けて迫ってきた。


 しかし、今度は全ての山手線大蛇が口を開けて迫ってきたのである。さすがに一体や二体ではまずいと考えているのだ。


 その巨体を移動させることで、突風を巻き起こしながら突き進んでくる山手線大蛇。バカリと口を大きく開けて肉薄してくる。


「接近していただいた方が倒しやすくて助かります」


 肉薄してくる7体の大蛇を見ながら、レキはそう呟いてバーニアを吹かして、青い奔流と共に加速する。


 新幹線大蛇は、その様子を見ているので攻撃はしてこないで高見の見物らしい。なので、その横にいた大蛇に接近するレキ。


 バクンと大きく口を開けた山手線大蛇を前にバーニアの噴出を止めて、その加速した速度そのままに口近くに接近していく。


 そして口に入る寸前に、ギザギザの牙の正面上に足をのせて停止するレキ。そのままスタタと脚を動かし、首へ向けて走り出す。


 慌てたその大蛇は振り向こうとするが、すでにレキは首へと移動していた。


 他の大蛇がそれに気づいて首にいるレキへと噛みつき攻撃をしようと接近していく。


 レキは一番速く近づいてきた大蛇の牙に同じように足をのせてスタタとまた首へ向けて移動する。


 それを見た他の大蛇が同じように噛みつき攻撃を行おうとするが、やはり同じようにひょいひょいと回避していくレキ。


 ムキーと捕まえられないことから、ムキになり攻撃を繰り返す大蛇たち。


 そうして、くるくると飛び跳ねるレキと大蛇の舞はいつの間にか大蛇の首が雁字搦めになって終わりを告げる。


 古き良きテンプレだねぇと思う遥である。昔はよくこんな攻撃がアニメや漫画では流行っていたのだ。今はチートでぽいっと倒すのが流行っている。どちらも好きなおっさんである。


 雁字搦めになった大蛇の首を見てレキが反撃を行う。


『超技黄金剣一閃』


 可愛いい紅葉のようなおてての指をピシッと伸ばして手刀の形に変えて、必殺の黄金剣へと輝く粒子を覆わせて変えていく。


 右から左へと、即座に手をふると、ヒュッと黄金の軌跡が雁字搦めになった7体の首を通過する。そうして、ズルリと黄金の軌跡が通過した場所から、体がずれてその巨体がドドドドと轟音をたてて地上へと落下していく。


「くっ。列車再投入!」


 倒された山手線大蛇を見て、慌てて新幹線大蛇は再び叫び再生を試みるが、先程と違い再生が遅い。ぐにょぐにょと金属と肉塊が生まれてくるが、首が少しずつ再生していくのみであった。


「どうやら再生ができる速度は首の数によるみたいですね」


 バーニアを再び吹かして空中に浮いたレキが平然と眠そうな目で新幹線大蛇に視線を向ける。


「うぬっ。役立たずの他の首などいらんわ! 我が力を見よっ」

 

 新幹線大蛇は怒りに震え、咆哮と共に白い車両が光輝く。


『ゴッドトレインアタック!』


 先程から思っていたが、こいつは技名を叫んで攻撃してくれる優しいボスであるようだ。


 レキも呟いているので、少し気になっているのだが、まぁ発動が防がれたことは無いので気にしない遥。それに可愛いレキが呟いて必殺技を使うのも気に入っているのだ。思考がサクヤと同類のおっさんであった。


 咆哮と共に、輝く車体となった新幹線大蛇が突撃してくる。光速ではないが、音速を超えていることがわかるように、衝撃波とソニックブームが発生している。


 何気に音速で動いても衝撃波もソニックブームも発動しないレキであるが、その攻撃に反応できる速度は持っていた。


 ぎりぎりで新幹線大蛇の車体を手で受け止めて、体を捌き滑るように新幹線大蛇の首へと腕で受け流して、小柄な体躯を移動していく。


 だが、纏った光がすでに攻撃力を持っていたのだろう。じりじりとリキッドがその攻撃力で溶けていき、装甲も歪み始める。


 危険を悟ったレキはすぐさま受け流していた首へと蹴りを叩きこみ、風を巻き起こしながら離れていく。


「ご主人様、あの光は高熱の光です! 触れればダメージが蓄積されていきます。火傷しないように気を付けてください」


 真面目モードのサクヤが焦った表情で注意をしてくる。新型機動兵器の装甲とリキッドバトルスーツのおかげでダメージはなかったが、リキッドが溶けていることから、かなりのダメージを負ったことが分かった。


 リキッドが無くなるので、服がチラチラと溶けている。それを見て取ったサクヤが再び叫ぶ。


「ご主人様、リキッドスーツの耐久力に気を付けてください。ぎりぎり危ない箇所のみが隠れるぐらいのダメージでお願いします!」


 いつもの変態銀髪メイドに戻るサクヤである。そんなにダメージ受けたら、レキも傷を負うでしょとぷんすこ怒る遥。


「食らわないから! 次で終わりにするから!」


「ええぇぇぇぇぇぇ。なんでいつもご主人様はボス戦をカットしようとするんですか! ちょっとはサービスをお願いします。特に私に!」


 ぎゃぁぎゃぁと叫びながらコントを始める二人である。常に緊張感を持たないアホたちであった。


「とどめだ、ゴッドトレインアタック!」


 再び光輝く新幹線大蛇。必殺技のみで倒すみたいである。意外と油断しないボスである。地道に力を隠しながら戦うという選択肢はないみたいだ。


 そこは褒めるところだけどねと、遥も超能力を使うこととした。


『念動体』


 レベル5のエンチャントである。物理攻撃耐性を大幅に上げて、各種ステータスも上げる超能力だ。何気に使うのは初めてだ。使おう使おうと思うのだが、いつも使っていないのは、大体レキが戦闘を終わらせてしまうからである。黄金の手甲が強すぎることもあった。


 レキの身体自体を覆うエンチャントサイキックと違い、身体の隅々までその力が付与されている。その細胞に、筋肉に、皮膚に。念動の力がレキの性能を大幅に上げていく。空間が歪み、レキの身体もその歪みに入り込んだように朧気になる。


『トリニティシステムオープン』


 続けてレキが機動兵器の力を解放する。蒼い光がレキを覆いその愛らしい体躯の力を増大させていく。そうしてレキの動きはその速さをもって全て残像を残せるような力を得た。


 というか遅く動いてもスローモーションのコマ割りみたいに残像が残るので、このシステムのゲーム的エフェクトであろう。かっこいいので問題は無いが、遅くても残像が残るのは少し恥ずかしいと遥は思う。


 時間制限付きのペナルティ付きだが戦闘を即終了させるつもりなので問題は無い。


 何しろ付与の重ねがけである。ゲームでやれば固定コンボとなるバランスブレイカーの技だ。多分修正は間違いない。

 

 しかし、現実世界での修正はないのである。レキはそのまま右手を体の線に沿うように持ち上げる。


 ビシッと手を伸ばして、指も伸ばして力を込める。


 込める力はいつもの黄金の粒子である。しかし、いつもと違うのはその粒子は空間の歪みの中に蒼い光が混じる黄金の光となっていく。


『超技念動黄金剣一閃』


 それを見ながらも、ひるまず肉迫してくる新幹線大蛇のゴッドトレインアタック。白い光がレキを吹き飛ばすべく接近する。


 それを見て回避もせずに身体を半身に構え、レキは上から下へとヒュッと腕を振り下ろした。


 トリニティシステムと念動体、そして黄金の光が融合した手刀は空間を引き裂き、歪ませ、空中に浮く砂を消滅させ、白く光り輝く新幹線大蛇を頭から、その光ごとあっさりと斬り裂いた。その地下に眠る胴体と共に空間を歪ます黄金と蒼き光が混じる軌跡は斬り裂いていった。


「神様と威張った割には弱かったですね」


 眠そうな目でレキは二つに分かれていく新幹線大蛇を見る。


 二つに分かれた身体で、この結果に信じられないような眼をしながら、レキを睨みながら、最後は絶望の目をして新幹線大蛇は死んでいった。


 ズドンと大きな音を立てて砂を大きく巻き上げて東京駅胴体はそのまま地下に沈み込んでいき、レキに倒されたのであった。


 それと共に光の波動が辺りに拡がっていき、その波動を受けて砂漠が変化していく。砂がただの平原となり、草原が生まれていく。空間に亀裂が入り、砕けていき、拡張された土地が戻っていく。そうしてバラバラになった地域も昔通りの場所に戻っていった。


 多分戻っていった。目の前には草原しかないのである。遠目で高層ビルが見えるのみ、そして空間拡張が無くなったことから、目の前に空中戦艦スズメが移動してきた。


 地上を見ると、鉄サソリや砂トカゲやらが、砂が消える中で動揺してうろうろしていた。隠れていただろう他のミュータント化した生物も徘徊しているのが見えた。かなりの量である。


 このエリアは強力なエリアのため、解放された反動も凄かったみたいである。


 ただし、崩壊したビルはその反動ですべて瓦礫になったか、砂粒となったか何も残っていない。建物すらも残らずに、オアシスすらも消えて、一面草原となっていた。


「まぁ、東京砂漠は消えて、東京草原となったということで」


 一筋の冷や汗を流しながら遥が呟く。ちょっと予想外の状況であったのだ。


 だが、鉄サソリなどは消えたり弱体化する様子はない。基本レベルが高かったために、弱体化も時間がかかるのだろう。鉄サソリが弱体化したら、銅サソリになるのだろうかと思う。


 そして、しばらくはここで雑魚狩りをしないと駄目だろうなぁと嘆息するゲーム少女。


「ご主人様、おめでとうございます! 『東京砂漠エリアを解放せよ。exp30000、アイテム報酬スターマテリアル、新宿欲望の火山エリアをクリアせよ。exp15000、報酬スキルコア、池袋の腐海エリアを解放せよ。exp15000、報酬スキルコア、品川非道なる研究所ダンジョンをクリアせよ。exp15000、報酬スキルコア、東京地下ダンジョンをクリアせよ。exp20000、報酬スキルコア、五つのエリアの支配者を倒せ』。exp30000、アイテム報酬ウォーマテリアルをクリアしました!」


 サクヤが信じられない内容を満面の笑顔で告げてくる。物凄い大量のクリアである。


 その結果を聞いて驚く遥。ステータスを見るとレベルがなんと34になっている。8もレベルが上がったのである。まじかよと目を疑う遥。適正を大幅に超えすぎていた敵みたいであった。


 実は山の手の大蛇はヤバイ敵であり、危ないところだったのかと、今更ながら冷や汗をかく。


 あまり強くない感じがしていたが、それは勘違いだと気づいた。本来であれば複雑な迷路の如き地下で戦う相手だ。


 恐らくは狭い通路の横穴や縦穴からぞろぞろと大蛇が這い出てくるはずだったのだろう。噛みつきもブレスも狭い通路内だ。回避できなかったに違いない。しかも多角的にそれぞれの穴から攻撃してきたはずだ。


 不気味であった窓に貼り付く苦悶の表情の人間の遺体も本来は窓からゾンビやグールとして這い出てきて、主人公を攻撃してくるのではなかっただろうか?


 そうして、ゾンビに足止めをくらい、大蛇は倒しても復活してくる。もちろん、地下なので敵の東京駅胴体は見えない。トドメに受け流しても装備が溶ける威力のゴッドトレインアタックである。それも狭い通路では受け流すこともできなかっただろう。


 直撃を喰らえば丸焦げとなり、蘇るのじゃ、この電撃で〜なパターンに入っていたことがわかる。


 やばかった。広い外で戦闘していたから弱いと思ったのだ。地下だと勝てるビジョンが浮かばなかったかもと、地下への入口を示すヒントが無くて、全てを戦艦で吹き飛ばして、外にボスを誘き寄せることができて、本当に良かったと胸を撫で下ろしたゲーム少女であった。


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