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21. 原作外の裏話

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 ラルカン使節の度重なるエスカス国視察には、同盟に関する事柄の他に、もうひとつ目的があった。

 魔石(ロカルナ)の中にいたフェリクスだからこそ違和感に気付いたこと、魔石(ロカルナ)の気配がするのである。理由は分からないが、エスカス国の王城へと出向く度にはっきりと感じるようになった。


 ある時フェリクスは、魔石(ロカルナ)の力に引き寄せられ、とうとう見つけてしまう。

「なぜ……シエロと共にあるはずの魔石(これ)がここに……」


 エスカス国の王に対峙し、返すようにと説得に奮闘したが、国王が聞き入れるはずもない。直ちにフェリクスたちは捕えられ、魔石(ロカルナ)の力により軟禁される。


 そこで活躍したのがフェリクスである。彼は室内の家電製品(まどうぐ)マイコン(ませき)から魔力同調の能力で自らを媒介させ魔石(ロカルナ)へ接続した。

 常に魔石(ロカルナ)の傍にいる国王との直接対話を可能としたのである。

 フェリクスは国王からなんとか事情を訊き出し、ウィルフレドと共に対応を吟味した上で、我が国(ラルカン)との友好条約と、全面的にエスカス国に有利な関税率の引き下げ、加えて農作物の一部輸入緩和をもって、この問題に決着をつけた。スピード解決である。


 かくしてエスカス国の王たち一行とラルカン国の主要登場人物全員がこの島に集合した。

 エスカス国王は魔石(ロカルナ)の片割れをシエロに返却し、魔石(ロカルナ)は元通り力を取り戻し、物語は大団円を迎えた。


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 なお、原作では、エスカス国で魔石(ロカルナ)を発見するのはもっと後のことだし、少年たちがエスカス国に入国するまで軟禁生活は続いているはずだった。また、魔石同士をP2P(ピアツーピア)で接続・通信可能にする能力などフェリクスにはなかった。


(まぁ私はこの島に残れれば問題ないからいいけど)


 一件落着したところで、私はウィルフレドに申し出た。


「ウィルフレド様。僕はこの島に残ります。どうかお許しください」


「なに。君は学校でも成績優秀と聞いている。在学中上位成績の者には卒業後に騎士爵を授かる選択肢を与えると取り決めたところなんだが、良いのか?」


「はい。僕はこの島と共に生きていきます」


「そうか。君がそう決めたのなら私は何も言うまい。達者で暮らすが良い」


「感謝いたします(フフッ、計画通り)」


 転移魔法陣へと移動する皆を見送り、私はそそくさと後ろへ下がる。あとはラストの少年たちの友情の誓いを見て、陣が発動するのを待つだけだ。


 やっと夢が叶った。私はここで平穏な生活を送る。雑魚なりになんとかストーリーへ組み込まれようと必死でやってきた。

 もう、頑張らなくてもいい。

 私はよくやった。やりきったのだ。


「そんなことは許さない」


 声のした横を見ると、フェリクスが真顔で私を見ていた。


「君は俺と一緒に帰るんだ」

 フェリクスが私の腕を掴む。


 私は首を振って意思表明をした。

「僕はここに住むと決めたんです。フェリクス様には大変お世話になって申し訳ないとは思っています(なんだ? 慰謝料か? 賠償金か? ムリムリムリ謝るから許して)」


「許さないと言っている」


「よさないかフェリクス。彼の心意気を尊重しよう。我々には頼もしい騎士たちがまだいるはずだ」


「そういう問題ではない。ミナトがここに残るというなら俺も残る。ここでミナトと暮らす」

「は?」

「え?」


フェリクスは腕を掴んだまま私の反応を求めている。

「どうしてもこの島に住みたいのだったら俺が折れてやる。それなら支障ないだろう?」


「あハイそうですね。確かにそれなら、何の支障も問題もないですけど(一兎を追ってたら二兎が)」


「ちょっと待て。おまえ恋人はどうした?! 国で待ってるんじゃないのか?!」


「それはもういいんだ。解決済みだ」

 フェリクスはもうウィルフレドを見ていなかった。

「ここで二人で居を構えて暮らすのも悪くないかもしれない」

 フェリクスは微笑んで私を掴む手の力を緩めた。なぜか許してくれる気になったようだ。ひと安心である。


「それはこの私が許さない! フェリクス! こちらへ来るんだ」

 ウィルフレドが声を荒らげるが、フェリクスは涼しげな顔で断固拒否の姿勢を貫いている。業を煮やしたウィルフレドはとうとう強行手段に訴えてきた。


「コンラド! ヤツを取り押さえろ!」

「あ? 俺がフェリクスとやり合ったらこの島壊れるだろ」


「トビアス! ヤツを諫めろ!」

「ええ~、別にいいんじゃない? 引継ぎはしてあるよ?」


「ミロ! ヤツを口説き落とせ!」

「なんで俺が。やだよフェリクス相手に神経使いたくない」


「ああもう! ではアダルベルト! ミナトを捕えろ!」


 なぜか私へ矛が向いた。


「悪いねミナトくん。我々のために諦めてくれ」

 アダルベルトの手から縄状の光が伸びる。


「うわぁ! なにこの魔法(コレぇ)?! (ハーミットパー○ル?!)」

 光る縄が体に巻き付いたと同時に持ち上げられ、と思ったらアダルベルトとウィルフレドの間に私は置かれた。転移魔法陣の上である。

 これはまずい。


「フェリクス、彼が惜しくば大人しくこちらへ来ることだ。私は手荒なことはしたくないが、この少年の運命は君が握っているんだよ」

 ウィルフレドはまるでム○カ大佐の如く脅し始めた。話が違う。


 私は必死に魔力を身体中から発散し、縄を破壊しようと(もが)く。魔力が尽きても良い。この場さえ切り抜ければ私は自由だ。今全力を出さずしていつ力を発揮するというのか。


「無駄だよミナトくん。俺の魔法が君ごときに破れるわけないだろ?」

 学生時代にウィルフレドをライバル視していただけあってさすがに手強すぎる。


「はぁ。わかったよ、大人しく帰ることにする」

 フェリクスは早々に諦めている。こいつはもう頼れない。私の魔力ももはや諦めに入りそうな状態だ。


 少年たちはラストシーンの別れの挨拶に向けて歩を進めている。


(嫌だ。私は負けない。ここで諦めてたまるか!! これがラストチャンスなんだ!!!!)

読んでいただきありがとうございます。毎日更新します。


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感想はお気軽にどうぞ。



「ハーミットパープル」はジョセフのスタンド能力で、紫色のイバラツタです。スタンドだけど人型ではなくて、縄みたいな能力です。便利だけど、正直、弱いと思ってます。



「私は、手荒なことはしたくないが、あの少年の運命は君が握っているんだよ」はムスカが放つ台詞です。ムスカに脅されたシータはこのあとパズーに別れを告げます…。

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