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絶対に堕としてやる 〜邪魔をするなら親友でも容赦しない〜  作者: もふもふな何か
絶対に諦めない 〜これが俺の幸せだ〜
41/43

if 31 村瀬志保


投稿します。

前回から予想以上の間が空いてしまいました。

今のコロナのワクチン接種で色々あって無気力、みたいになってました。


少しやる気が戻ったのでキリの良いところで投稿させてもらいます。

結局完結せず、すいません。



「私も、結構諦めが悪いんで」


弘和さんに伝えた後、急いで弘和さんの家から出る。急ぐ意味はない筈なのに。これではまるで逃げるようではないか。


(イライラする。こんな筈じゃなかったのに)


これ以上あの場には居たくなかった。あのまま居ると、何か、致命的な何かが起こってしまいそうで。


(上手くいってた筈だったのに)


弘和さんから電話が掛かってきたとき、私は長かったこの計画の完了を確信していた。弘和さんに疑われ、問い詰められることは予想していたし、ちゃんと何も知らない振りは出来ていた。栞姉えに連絡をとることになったのはその場の勢いだけど、結果的には上手くいっていた。そう、上手くいっていた筈だったのだ。


(なんで弘和さんは折れなかったんだろう?)


弘和さんの栞姉えに対する好意の強さはよく知っている。それは私が求めているものでもあるし、欲を言えば私が思っている以上の気持ちを持っていてほしいとも思う。その強い想いに惹かれた。その相手が私であれば、私はそれに負けないくらいの気持ちで弘和さんを愛するし、そうすれば、きっと幸せな家族になれる。だから、弘和さんの気持ちの強さはどれだけ高くてもいい。

でも、その強さは栞姉えと気持ちが繋がっていてのことだ。それなら、栞姉えに対する気持ちがどれだけ強くても、弘和さんが栞姉えを諦める理由をつくることは出来る。


(あっ、帰ってきてたんだ)


家の玄関の鍵を回したときに、自分の家に帰ってきたことに気付いた。今更何処かへ出ようという気は起きず、そのまま家に入って自分の部屋に向かう。ベッドに腰掛け、この位置からでも窓から少しだけ見える栞姉えの家をぼんやりと眺める。


(栞姉えには、栞姉えの幸せがある筈なのに・・・)


栞姉えに弘和さんを渡す気はない。だが、栞姉えの弘和さんへの好意は本物だろう。私が邪魔をしなければ、あのまま何事もなく付き合いを続けて将来は結婚する未来もあったかもしれない。周囲の誰もが祝福し、傍からみて幸せな家庭を築けるかもしれない。


(でもダメだ。栞姉えじゃ弘和さんと幸せにはなれない)


だけどその幸せには影がある。栞姉えは誰に対しても親身に接しようとする。仲の良い人でも悪い人でも同じように。自分から人に接しようとしないからボッチ気味だけど、そんな自分を気にしてか関わりを持った相手には親身になって対応しようとする。もしかしたら最大限良い自分を見せることでコミュニケーションをとろうとしているのかもしれないが、それが隙になる。

誰しも身内に対してはガードが緩くなるが、栞姉えはその身内の対象が広すぎる。関わった相手の誰もを自分の身内のように扱ってしまうから、悪意のある相手にも同じように接してしまう。そしてそれが取り返しがつかないことになるとしても。

計画した私が言うのもなんだが、浅沼先輩に犯されたのがいい例だろう。友達だから、という理由で誰も居ない家に彼氏でもない男を入れる時点で栞姉えの危機感の足りなさがよくわかる。そして理由はどうあれ、そのことを自分の内に抱えたまま周囲に隠そうとした。私や弘和さんに隠そうとしたのは栞姉えなりの優しさなのかもしれないが、その結果がこれだ。半年も弘和さんに隠して先輩と関係を持ってるんだからこれは浮気と捉えられても仕方がない。そして私にとって重要なのは、それが何も今だけの話ではないということだ。

今のような状況。それは例え弘和さんと結婚したとしても充分に起こりえる話だ。例えば近所で仲良くなった男が相談にでも来たら。例えば職場の同僚や上司に何処かに飲みにでも誘われたら。その時、栞姉えは自分が守るべき線引きを正しく引くことが出来るのか。

無理だろう。きっと栞姉えの引く線引きは、栞姉えが思っている以上に甘く、簡単に踏み込まれてしまうだろう。そして今と同じような、結婚してからだと更に辛い事態になることは容易に想像出来る。その顛末が発覚しようが隠し通そうが、どちらにしても幸せな家族とかけ離れたものだろう。


(栞姉えは弘和さんと幸せにはなれない)


だから栞姉えには栞姉えを縛り付けるような強引さを持った、そういう相手じゃないとダメだ。栞姉えはこのまま先輩と一緒になったほうが幸せになれる。


(・・・なんて、ね)


何度も繰り返し自分に言い聞かせてきた。それが私の都合のいい言い訳であることは分かっている。なんてことはない。ただ私は弘和さんと栞姉えを天秤にかけて弘和さんを選んだだけ。栞姉えの幸せを奪う側に立った私を肯定したくて、それらしい理由が欲しいだけ。


(だから・・・ 私は・・・)


そのままベッドに横になり、思考を続ける。制服がシワになると頭の片隅に浮かんだが、起き上がる気にはならなかった。

私は栞姉えの幸せを奪った。だけど私はそれで栞姉えが幸せになれないなんて思ってない。きっと栞姉えは幸せになれるし、その為に私が出来ることなら何だって手伝うつもりだ。


(だから浅沼先輩をここまで持ち上げたのに)


ハッキリ言って私は先輩のことが嫌いだ。栞姉えが好きなくせに弘和さんに勝てないからと身を引き、引いたかと思いきや栞姉えへの未練をずっと引き摺って見ているだけ。進むことも引くことも出来ずにフラフラしてるような先輩を栞姉えの相手にしてもいいものかと何度も考えた。でも、栞姉えへの気持ちは本当だと思ったから、手を貸すことにした。


  ♪〜♫〜♬〜


「なあ志保。もう充分だろ? 早く栞里を手に入れようぜ」


またか。まだ早いって言ってるのに、何で人の話を聞かないのか。


「ダメだよ。前にも言ったでしょ? もっと準備が出来てからだって」


私だって早く弘和さんが欲しい。でも今は時期が悪い。

浅沼先輩は気にしてないようだが、先輩達はもう直ぐ3年生。来年になれば高校生だ。受験を控えた今、私が接触しても相手にされないだろう。そんななかで先輩が栞姉えを手に入れても、私が弘和さんを手に入れられないのでは意味がない。実行に移すのは弘和さん達が高校へ入学した後。そこからなら、好きなだけ栞姉えにアタックしてもいい。そして私は同じ学校を目指す名目で栞姉えに勉強を教えてもらう。私と先輩で2人の時間を邪魔して、そのなかで私は弘和さんと面識を持つ。栞姉えの親友だと紹介されれば、弘和さんも私を邪険には扱わないだろう。後は弘和さんと親交を深めつつ、先輩が栞姉えを堕とすのを待つだけ。時間は掛かると思うけど、先輩のこの調子なら1年くらいで堕とせるんじゃないかな。


「でもよ・・・ 不安なんだよ」


「ん? 何が?」


あんなに自信を持ってたのに。


「いや、お前さ。俺にまた他の女子と付き合わせようとしてるじゃねえか」


ああ、そういうことか。


「大丈夫だよ。沢山の人と付き合ったって、栞姉えは先輩のことを嫌いにならないから」


内心は不安に思ったりすると思うけど、栞姉えはそれを表には出さず普段通り接してくれるだろう。ならなにも問題はない。今は先輩の力を付けるほうが大事だし、栞姉えには効果が薄そうだけど、軽薄そうに見える先輩のほうが栞姉えを堕とすときに有利になるかもしれない。栞姉えの倫理観を崩すとまではいかなくても、弘和さんに後ろめたさを感じるようになってくれれば、その後の動き易さは違ってくる筈だ。


「いや・・・ なんていうか、な」


「? どうしたの?」


「その、自分でも情けないんだけどよ・・・」


先輩は申し訳なさそうに言った。


「他の子と付き合ったら、俺、その子のことが好きになって、栞里のことを、あ、諦めてしまいそうでさ」


(・・・は?)


今この先輩は何を言ったんだ。栞姉えを、諦めると、そう言ったのかこいつは。


「別れた子も、これ以上一緒にいるのはマズいって思ってよ。怖くなって別れたんだ」


(・・・巫山戯ないでよ)


怒りで頭が沸騰しそうになる。なんの為に時間を掛けてこんなことをしていると思っているのか。


(あんたの為じゃない。私と、栞姉えを幸せにする為に、その為にここまで・・・)


黙っている私は先輩の話を聞いていると思っているのか、なにやら言い訳じみたことを言っている。そんなどうでもいい話は頭に入ってこないが、耳に聞こえるだけでも腹が立つ。


(こんな程度の気持ちで栞姉えを・・・)


早く先輩を黙らせないと頭がおかしくなりそう。先輩への罵詈雑言。それを口に出そうとしたとき、以前も似たようなことがあったことを思い出した。先輩が女の子と付き合う前に自分の口から言ったこと。確かアニメやマンガだけの世界だ、だっけ。自分で言ったことを再現して、主人公にでもなったつもりか。

先輩への耐え難い怒りをギリギリのところで抑え、皮肉を込めて言う。


「ね? マンガの世界だけじゃないでしょ?」


  ♪〜♫〜♬〜


(本当はもっと穏便に進めるつもりだったのに)


先輩の栞姉えに対する想いの強さがあの程度だったのが予想外で、こんな計画になってしまった。

弘和さん達が高校に上がってから、という点は変わらないがやり方を大幅に変更した。先輩に経験を積ませることは同じでも、その先が違う。栞姉えと仲良くなんかさせない。そんな弱い気持ちじゃあ栞姉えを幸せにすることなんて出来ない。一歩間違えると全てが水の泡になるほどの綱渡りをさせ、後戻り出来ないよう徹底的に追い込んだ。栞姉えが誰かに助けを求めたら先輩は破滅するように過激な計画を立てた。先輩には常に栞姉えを意識させ、栞姉え以外に余計な気持ちを持たないよう、先輩のほうを栞姉えに縛り付けた。


(栞姉えが幸せにならないと先輩を選んだ意味が無い)


私は栞姉えから弘和さんを奪う。でも、栞姉えにも幸せになってほしい。だから先輩が弘和さんの変わりとなるよう、あのとき声を掛けたのだ。栞姉え以外にフラフラされるのは困る。栞姉えだけを愛してもらわないと。私は先輩が失敗したときのことを考えて、何も知らない後輩という立場でいることが1番都合がいいと思った。そのため、弘和さんと接触を持つことは高校に入るまで我慢することにした。栞姉えとの交流を前面に出して接触すると、栞姉えと先輩の関係に気付いているのでは、と弘和さんに勘繰られるかもしれなかったからだ。まあ、結局は私からそのことをバラすことになった訳だけど。


(やっぱり、上手くいっていたことは間違いない)


高校に入ってから計画を実行に移し、都度計画に修正を入れながらここまできた。


(本当に、あと一歩だったのに・・・)


振り返っても致命的な落ち度は無かった筈だ。これは弘和さんの強さを見誤ったと自分を納得させよう。


(でも・・・ まだ・・・)


弘和さんが栞姉えを諦めていないことは1番の問題だが、私が先輩に手を貸していたことはバレていない。栞姉えと先輩の関係を黙っていた理由も、弘和さんに伝えたように自分にチャンスがあると思ったというのは、尤もらしい理由になるだろう。栞姉えは合わせる顔がないと弘和さんを避けるだろうし、先輩を上手く使えばまだ何とかなるかもしれない。


(うん。まだ大丈夫)


気持ちを切り替えてベッドから起き上がる。頭をスッキリさせないと。


  ♪〜♫〜♬〜


凝ったものを作る気力もなく、簡素な夕食を食べて部屋に戻る。今日はゆっくり休んで、明日からまた頑張ろう。来週の学校までに少しでも弘和さんとの距離を縮めておかないと。

もう栞姉えに遠慮する自分を演じる必要はない。いつでも弘和さんの隣に居ることが出来る。嫌がられるかもしれないけど、栞姉えとの時間を取らせるわけにはいかない。今の2人の溝が埋まってしまえば、それこそ全て水の泡だ。私が弘和さんを引き付け、その間に先輩が栞姉えを堕とす。やることは何も変わらない。

そう思い休んでいると救急車のサイレンが聞こえてきた。なんとなく近いなと思っていると本当に近い。直ぐそこまで来ている。

サイレンが聞こえてくるほうのカーテンを引いて外を見ると、栞姉えの家に救急車が止まったところだった。


(えっ?)


栞姉えの家に入って行く2人の救急隊員を見て思考が止まる。そして私は運び出される栞姉えを、ただ呆然と見ていた。




前書きでも書きましたが本当に遅くなりました。

もし待っていてくれた方が居られましたら申し訳ありません。


今月中に完結するよう頑張るので、もし良ければ最後まで読んでくれると嬉しいです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ぶっ飛んだ感性を丁寧に書いてるところ。 [気になる点] ここからどうやってあの卒業式になるのか凄い気になるw [一言] 楽しみにしてます!
[一言] サイコパスかと思ってしまうくらいにキチった感性の持ち主ですわ。 思考のおかしさを理解させて実行に移さない様に精神科医にケアをお願いしたいわ。
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